特集:東海大生200人に聞きました
2014年11月1日号
「バイト敬語」はやめられない!?
間違っているとわかっていても……
「バイト敬語」はやめられない!?


ファストフード店やコンビニエンスストアといった接客の現場で耳にすることが多いのが、大学生をはじめとするアルバイト特有の言葉遣い―いわゆる「バイト敬語」だ。文法的には間違っているものの、自分でも意識せずに使っている人も多いのでは? 今回は東海大生200人に「バイト敬語」についてアンケート。その結果を言語学者の小林千草教授(文学部日本文学科)に解説してもらった。









4つのバイト敬語について、それぞれどのように感じるのかを聞いたところ、《こちらケチャップになります》を「気になる」33%に対し、52%が「気にならない」と答えた以外は、「気になる」「気にならない」がほぼ同じ割合という結果に。「バイト敬語を使っている人を見ると、気になる。使っていて恥ずかしくないのかと思う」(文学部4年・女子)など、問題意識が高い学生も多かった。

これに対して小林教授は、「ここ数年、テレビや新聞などでバイト敬語が取り上げられる機会が多くなりました。その結果、バイト敬語に違和感を覚える人が、社会全体で増えてきたのだと思います」と語る。

文化庁の「国語に関する世論調査」でも、《お会計のほう、1万円になります》を「気になる」と答えた割合が平成8年度調査では32・4%だったのに対し、平成14年度調査では50・6%に増加している。

「バイト敬語が生まれた背景には、“失礼のないように”という相手への気遣いがある」と小林教授は推察。「文法的には誤った使い方であることを認識して問題意識を共有することが、よりふさわしい言葉遣いを身につける出発点になります」とアドバイスする。

学生たちの声から
▽使っていて気になるものはあるが、さまざまな場所で使われて広く浸透してしまっているので、正しい言葉遣いに直すのはなかなか難しいと思う(生物学部2年・女子)
▽ある意味、当たり前になっているので違和感はないが、慣れは怖いと思う(教養学部4年・女子)
▽「なります」という言葉はおかしいから「です」にしなさいと、日ごろからアルバイト先の上司に言われている。そのため、自分が客となって買い物をするときに「なります」と言われると気になる(健康科学部3年・女子)
▽堅苦しい印象にならないようにしつつ、相手への敬意を表す方法として、ある程度のバイト敬語は許容できると思う(海洋学部4年・女子)
▽日本語として間違っているが、全国どこへ行ってもバイト敬語を聞く。新しい日本語として広まってしまっているので、これを訂正するのは不可能に近いので仕方ない(基盤工学部1年・男子)
▽高校生のときはうっかり使っていたかもしれない。バイト敬語を使うことは正しい日本語を理解していないことでもあるので、気をつけたい(基盤工学部2年・女子)
▽マニュアル化してしまい、本来コミュニケーションに使う「言葉自体」について特に考えずに使用しているように思う(情報通信学部4年・男子)
▽マニュアルどおりに使うのではなく、臨機応変に敬語を切り替える努力が必要だと思う(文学部1年・女子)
▽日本語本来の用法としては間違っているが、使い勝手や使用する場面によって言葉は変化していくものであると思うので、バイト敬語も日本語の変化した一つの形態であると感じる。しかし、正式な場面などで使用するのはよくないだろう(文学部4年・男子)
▽社会人として働く際に言葉遣いはとても重要になると思うので、バイト敬語について考えることはいい勉強になる(健康科学部1年・女子)


笑顔と真心を込めて相手に気持ちを伝えよう
文学部日本文学科 小林千草 教授

敬語は難しいという人も多いですが、最初は上手に使えなくてもいいのです。会話をしつつ、相手の反応を見ながら修正していくところに、言語の発達はあります。そのためにもいろいろな年代の人と接して、自分の話し方は間違っていないのかを考えることはとても大事なことです。ですから学生の皆さんのアルバイト経験は、決して無駄にはならないと思います。