News:学園
2015年5月1日号
医療現場のスタッフが出前授業
【医・健科×翔洋高】高度な遺伝子実験に挑戦

生命科学の高度な実験に高校生が挑む――。医学部の基礎と臨床のスタッフが共同で出前授業する初の試みが、3月26、27日に付属翔洋高校(当時)で行われた。遺伝子解析の実験を通して、論理的思考力などを養う機会として企画されたもの。同高の1、2年生32人が参加した。

医学部の井上陽子客員研究員が中心となり、医学部と健康科学部の教員らがプログラムを検討。医学部の倫理委員会の承認も受けた。井上研究員は、「医療や科学捜査で遺伝子が注目を集める一方、高校生が生命科学の分野を深く知る機会が少ないのが現状。実験を体験することで正しく理解し、社会とのかかわりを認識する機会をつくりたいと考えた」と語る。

26日は、全体の流れや実験機器の使い方を井上研究員がレクチャーした後、口腔内の細胞からDNAを抽出し、ゼブラフィッシュとヒトに共通する遺伝子の一つについて配列を比較する遺伝子解析の基礎技術を体験したほか、PCR法を使って増幅したDNAを制限酵素で処理し、ヒトとゼブラフィッシュの相同遺伝子の配列について、遺伝子解析の基礎技術を体験した後、共通点と相違点を解析した。

実験の合間には、医学部の大友麻子助教や健康科学部の森屋宏美助教が、種内生物間とクローンでの遺伝情報の共通性と多様性を生み出すメカニズムや、遺伝子の仕組みを学ぶ幼児向け教材、遺伝子検査の倫理的な問題について講義。医学部付属病院で遺伝カウンセリングを担当している大貫優子講師や高橋千果非常勤医師が、遺伝子検査と出生前診断の手法や問題点などについて講義し、アルツハイマー病などを例に挙げケーススタディーを行った。

生徒たちは、「なぜヒトの顔が一人ずつ違うのかを理解できた」「今までなんとなく知っていた遺伝子が身近な問題だったことがわかった。ニュースの見方も変わると思う」と口々に話していた。
 
(写真上)医学部や海洋学部から借り受けた高度な機器を使って実験する生徒たち。最後には、井上研究員がヒトの多様性について考える講義を行った
(写真下)森屋助教による講義