News:学生
2015年6月1日号
越喜来泊地区に「結っ小屋」建設
3.11生活復興支援プロジェクト
どんぐりハウス移築し
新たな地域交流の場に


チャレンジセンター「3・11生活復興支援プロジェクト」が、岩手県大船渡市三陸町越喜来(おきらい)泊地区に集会所「結っ小こ屋」(ゆいっこや)を建設し、4月26日に完成式が行われた。プロジェクトの学生や地域住民ら約50人が参加。テープカットなどで地区の新しい拠点の完成を祝った。

結っ小屋は、東日本大震災発生直後の2011年5月に、地域住民の要請を受けて建設した応急公民館「どんぐりハウス」を移築したもの。これまで地域集会の会場や全国から届く支援物資の備蓄倉庫として活用されてきたどんぐりハウスは、14年7月に本設の泊地区公民館が完成したため撤去されたが、地域住民からの「これまでの心のよりどころをただ解体してしまうのは忍びない」といった声を受けて再建が決定。津波到達地点の高台にある民有地が建設場所に決まり、今年の2月からが作業が進められてきた。

完成式の前日にはプロジェクトのメンバーや地域の子どもたちが建設廃材を再利用した花壇作りを実施。建物内には住民の手で、泊地区の復興への取り組みを伝える写真が掲示された。さらに前夜祭としてプロの音楽家を招いた演奏会も行われ、完成式に花を添えた。

好天に恵まれた式典当日は、住民が持ち寄った大漁旗が翻る下でテープカットや記念撮影を実施。あいさつに立ったチャレンジセンターの木村英樹所長(工学部教授)が、「結っ小屋は完成しましたが、これが復興支援の終わりではありません。地域住民の交流、震災を忘れないための場所として活用してください」と期待を語った。

学生たちは、「地元住民の皆さんのご協力で、カタチにすることができました。多くの人たちに集ってもらいたい」と口々に語っていた。

(写真上)完成を祝い地区の住民らが多数駆けつけた
(写真下)完成式前日には花壇を作り、建物を彩った
 
続く被災地復興支援活動
越喜来泊地区に新拠点
絆の「結っ小屋」が完成


チャレンジセンター「3・11生活復興支援プロジェクト」が東日本大震災発生直後の2011年4月から支援活動を続けている岩手県大船渡市三陸町越喜来(おきらい)泊地区。津波で流失した家屋の高台移転が完了するなど、復興に向けて一歩一歩前進する中、4月26日には当地で最初に建設した「どんぐりハウス」を移築した「結っ小屋(ゆいっこや)」が完成。プロジェクトでは、今後も周辺整備などの活動を展開していく。

「復興のシンボルとして活用してもらいたい」――学生たちは今年2月から10人〜20人のグループに分かれ、たびたび現地を訪問。地元住民の協力も受けながら、作業に取り組んできた。現場監督を務めた村上真緒さん(工学部4年)は、「工事期間中は冬季ということもあり、天候に左右されてなかなか作業が進まないこともありました」と振り返る。

どんぐりハウスは、プロジェクトが活動を始めるにあたって、簡易に建築できるようプロジェクトアドバイザーの杉本洋文教授(工学部)と当時のメンバーたちが開発した「ウッドブロック工法」が用いられている。木材をあらかじめ床や壁、屋根などの使用個所ごとに分けて作っておき、実際の建築ではそのパーツを土台の上に組み立てる仕組みだ。

「パーツは経年変化で歪みが出てしまい、再度組み立てようとすると形が合わず、新しい木材に作り替えたり、削り直したりする必要がありました。杉本先生の指導を受けながら、しっかりとしたものづくりに取り組めたと思います」と村上さんは振り返る。

昨年度にプロジェクト全体の学生リーダーを務めた花塚優人さん(同3年)は、「建設作業は体力的にもきついことが多いが、メンバー全員が安全を心がけ、メリハリをつけて作業にあたることで、事故なく完成することができました。住民の皆さんに喜んでもらえる施設ができて、ほっとしています」と充実の表情を見せた。

地区と大学の絆に 周辺の整備も進める

完成した結っ小屋の入り口には、学生たちが湘南校舎で作成してきた看板も掲げられた。新しい地域の拠点を前に、泊区長の林明さんは、「街の4割が津波で流され、余震も続き不安だらけだった時期から復興に協力してくれた東海大の皆さんとの絆の象徴ができてうれしく感じています」と話す。泊地区公民館長の前野浩哉さんは、「住民が積極的に集まり、地域のつながりをさらに深めていければ」と期待を語った。学生たちの活動を見守ってきた杉本教授は、「震災から4年を経て、今後はどのように復興するか、街のあり方を考える『エリアマネジメント』が重要になる。泊地区がさらに素晴らしい街となるよう、住民の皆さんとともに、結っ小屋を活用しながら取り組んでいきたい」と展望を語る。

ひとまず完成した結っ小屋だが、「建物表面の仕上げや防腐剤の塗布、周辺の整備など作業はまだまだ続きます」と花塚さん。以前屋根に載っていたソーラーパネルは、同じチャレンジセンターの「ライトパワープロジェクト」の協力を得て、7月初旬に再設置工事を行う計画だ。「時間の経過とともに、震災の記憶が風化してきているように感じる。でも実際に被災地を訪ね、その風景を目の当たりにすると、復興はまだまだ進んでいません。引き続き、被災地とともに歩んでいきます」と学生たちは口をそろえている。

(写真上から)
▽「結っ小屋」の名称は、人と人とを結ぶ出会いの場となることを願うとともに、語尾に「っこ」とつけるこの地方の方言を織り込んだ。地域の新たな拠点の完成に住民らの笑顔が輝く
▽2月から始まった建築作業。天候の影響で難航したが、学生たちは一つひとつ作業を進めた
▽建物内には震災からの歩みを記録した写真が飾られた
▽完成式の前夜祭では音楽家のツルノリヒロ氏のグループによるコンサートも開催