Column:Interview
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2017年6月1日号
防音材開発で文部科学大臣表彰
【卒業生訪問!】武紘一さん(工学部1962年度卒)

工学部応用理学科工業化学専攻を1962年度に卒業した武紘一さんがこのほど、文部科学大臣表彰の科学技術賞「技術部門」を受賞。4月19日に文部科学省で表彰式が開かれた。

この賞は、科学技術に携わる研究者、開発者の意欲や日本の科学技術水準の向上を目指し、顕著な成果を収めた開発者に贈られる。武さんは、防音材「吸遮音性に優れた通気性サンドイッチパネル」=右下写真=を開発。従来に比べ、軽量薄型で幅広い周波数帯で防音性が高いことから、高速道路や輸送機器、工場や一般住宅の騒音対策、音分野では音質向上に使用されている。

武さんは、「私の原点は学生時代に培った挑戦する力にある」と振り返る。大学時代には、工学部で水素吸蔵合金に関する研究をしながら、柔道部の主将を務めた。体育会常任委員長として学内のイベントなどにも尽力し、「学園の創立者・松前重義博士は、私たちに前に進み続けることの大切さを直接話してくれました。今でも忘れることができません」。

卒業後は、化学メーカーに就職。ウレタンを使った断熱材について研究を続けた。しかし54歳のとき、バブル崩壊のあおりを受け、出向先の系列会社が清算。「苦境に立たされ不安もあったが、技術者としてまだまだ世のため人のためになりたかった」と町工場で働きながら、夜は図書館でさまざまな本を読み、技術のヒントを探った。
 
そこで出会ったのが、防音材の研究だった。生け花の剣山にも使われ、軽量で防音効果の高い硬質フェノールフォームを蜂の巣状のハニカム構造に押し込む独自の方法で、2006年に特許を取得。同年には「静かさを科学する」という意味を込めて蠕轍覆鯲ち上げ、現在は海外も含め取得した20件の特許をもとに後継者を育成しながら技術開発に取り組む。
 
社訓には、「世のため、人のための技術開発」と記されている。11年の東日本大震災の際には、仮設住宅での騒音問題を解決しようと約100万円分の防音材を寄付した。

「これまでつらいことを何度も乗り越えていただけた賞。後輩たちにも挑戦する力を持って、人の力になれる人間になってもらいたい」