特集:教育の現場から
2020/04/01 正しい知識と理解で冷静な行動を
2019/06/01 学生の“市民性”を養う
2019/03/01 東日本大震災から8年
2020年4月1日号
正しい知識と理解で冷静な行動を
【特集】新型コロナウイルス対策

2019年末に中国・武漢市から拡大した新型コロナウイルス感染症「COVID-19」。世界保健機関(WHO)によると、3月27日時点の世界の感染者数は46万人、死者数は2万人をこえている。新型コロナウイルスとは何か、どう予防するのか、キャンパスライフで留意すべきことは何か――東海大学医学部付属病院臨床検査科診療科長で院内感染対策室長を務める医学部の宮地勇人教授と、健康推進センターの宮誠司所長(体育学部教授)に聞いた。

医学部・宮地教授に聞く

コロナウイルスは人や動物に感染症を引き起こすウイルスです。人に感染するものは6種類あるとされてきましたが、そのうち4種は風邪の原因になるもので、多くの人が6歳までに感染し、そのほとんどが軽症です。

重篤な呼吸器疾患を引き起こすコロナウイルスは、2002年に発生したSARS(サーズ:重症急性呼吸器症候群)と12年以降に発生しているMERS(マーズ:中東呼吸器症候群)の2種類が知られています。

ウイルスと同様に人に感染する微生物には細菌もありますが、ウイルスは細菌と異なり、自らタンパク質や核酸、エネルギーを作って分裂・増殖することができません。そのため宿主となる動物の細胞に侵入し、その力を利用して増殖します。SARSはコウモリ、MERSはヒトコブラクダが宿主で、遺伝子の変異により人に感染するようになったと考えられています。COVID-19も、コウモリが起源である可能性が指摘されています。

見えてきた COVID-19の特徴
風邪はゆっくり発症して微熱や鼻水、喉の痛み、咳といった局所症状が数日続きます。インフルエンザは急激な高熱、悪寒、関節痛などの全身症状の後に局所症状が現れます。これに対し、COVID-19は強い脱力感や筋肉痛があり、症状が長く続くのが特徴です。

こうした症状が出る24時間から48時間前でも検査で陽性反応が出ることがありますが、WHOによると、この段階では他人にうつす感染源となる頻度は低く、感染してから5、6日後に症状が出ると人に感染しやすくなるとされています。発症から1週間ほどは風邪に似た症状が続きますが、約80%は軽症のまま治癒し、20%は肺炎症状が悪化。2、3%が人工呼吸管理が必要になるなど重症化・重篤化します。インフルエンザは小児の感染率が高いのに対しCOVID-19は低く、糖尿病や腎臓病、心臓病などの疾患を持っている人や高齢者の重症化が報告されています。死亡率は最終的に約2%かそれ以下になると推測されます。

現時点で考えられる主な感染経路は、感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)とともに放出されたウイルスを口や鼻から吸い込む飛沫感染と、ウイルスが付着した場所に触ったり握手したりしてうつる接触感染です。

厚生労働省は、感染リスクが高いとされる「換気の悪い空間に多くの人が密集し、近距離での会話や発声が行われる場所」を避けるよう注意を促しています。

適切な予防実践で 安全性を確保
予防のために必ず実践してほしいのがマスクの着用とこまめな手洗いです。外出後は手指を石鹸で洗うか、70%以上のアルコール製剤で消毒します。ウイルスは目や鼻、口の粘膜から侵入するので、手洗い前に顔を触るのも避けましょう。携帯電話やドアノブなど、頻繁に手で触る場所を消毒し、部屋を清潔に保つことも大切です。

中国では3月にピークをこえて5月には収まるとの希望的予測が出され、各国も数カ月遅れで同様の経緯をたどるという見方があります。また、ウイルスの変異による根絶や、季節性のウイルス感染症として定着する可能性も考えられます。しかし、予断は許しません。大切なのは適切な知識と理解を持って、「正しく恐れる」ことです。十分な感染予防を実践し、安全性を確保してください。

※参考文献『感染症の科学―うつるしくみと予防―』宮地勇人著(東海大学出版会)

東海大学医学部付属病院 臨床検査科診療科長・医療監査部
院内感染対策室長
宮地勇人教授

(医学部基盤診療学系臨床検査学)
専門は臨床血液学、臨床検査学、
遺伝子検査学、感染症学。

 
日々の体調と向き合う 不安なときは各校舎健康推進室へ
健康推進センター・宮所長に聞く

各校舎健康推進室では、学生の皆さんが体調の悪いときやけがをしたとき、対人関係や学業などに困難や不安を抱えているときに対応しています。保健師やカウンセラーのいる“大学の保健室”のような場所ですから、キャンパス内で急に体調が悪くなったり、けがをしたりした場合にはいつでも訪ねてきてください。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、湘南健康推進室ではホームページに「健康管理表」を公開しました。毎朝体温を測り、喉の痛みやくしゃみといった症状がないか、自分の体と向き合って記入することで、いち早く体調の変化に気づくことができるはずです。37・5度以上の熱が4日以上続いている場合や強い倦怠感や息苦しさがあるときには各都道府県の「帰国者・接触者相談センター」に電話してください。

大学内では新型コロナウイルス感染症に対する検査や処置、治療はできませんが、判断に迷う場合は各校舎の健康推進室でも電話かメールで相談に応じています。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためには、自己管理が大切です。手洗い、アルコール消毒、咳エチケット=右図参照、体温測定、十分な食事とバランスのいい食事を心がけてください。部活動などで寮生活を送っている学生は外から菌を持ち込むことに気をつけ、クラスター(集団)の発生を防ぐことも重要です。「密閉空間であり換気が悪い」「近距離での会話や発声がある」「手の届く距離に多くの人がいる」という3条件がそろう場所がクラスター発生のリスクが高いので近づかないようにしてください=右上図参照。

また、体調不良の人を差別的に見るのではなく、気遣うことも必要。体調が悪い場合や熱があるときは無理をせず、登校や外出を控えて休みましょう。

大学からの情報は日々更新されていますので、東海大学のホームページやキャンパスライフエンジン、湘南健康推進室のホームページで最新の情報を得るようにしてください。

【湘南健康推進室】
電 話:0463-58-1211(代表)
メール:hokenc@tsc.u-tokai.ac.jp
湘南校舎緊急ダイアル:内線3999
※湘南校舎でけがや病気、事故等があった時に、湘南健康推進室または守衛室につながります

健康推進センター 宮誠司所長
(スポーツ医科学研究所所長、体育学部武道学科教授)
整形外科医師、学校医。専門はスポーツ医学。

 
就職活動への影響は?
キャリア就職センター・水島所長に聞く

新型コロナウイルスの感染拡大は、3月から本格的にスタートした就職活動にも影響している。就活生が注意すべき点などをキャリア就職センターの水島久光所長(文化社会学部教授)に聞いた。

キャリア就職センターとしては3月2日に、キャンパスライフエンジンで3年生(当時)に就職活動における注意点などを連絡しました。大規模な合同企業説明会も中止になっていますが、学内の就職支援行事はできる限り開催しています。

しかし、収束の兆しが見えない中、就職活動をしている学生の皆さんは不安に思うことも多いでしょう。不安を打ち消すには、情報を得ることが大切です。これを機にメディアを毎日チェックする習慣を身につけてください。ネットに散見する情報はデマも多いので、まずは各新聞社のTwitterをフォローするところから始めましょう。
 
また、コロナ関連のニュースには、経済や国際情勢など社会に出るうえで知っておくべき情報が凝縮されています。どの業界にも多かれ少なかれ影響が出ているはずですから、自分が志望する業界の現状も調べてみましょう。これから起こり得る影響も予想し、社会のニーズは何か、自分には何ができるのかを考えると、就職活動の視点が変わるかもしれません。
 
企業の動きとしては、就職活動のスケジュールを後ろ倒しにするケースと、オンライン面接などで予定通り進めるケースの2通りに分かれています。オンライン面接は、面接会場の独特な緊張感から解放され、皆さんの実力を発揮しやすいというメリットがあります。友人同士でビデオチャットしてみるなど、自宅での練習も有効でしょう。
 
そのほかにも就職活動で不安に思うこと、判断に困ることがあれば、各校舎のキャリア就職担当に相談してください。一人で抱え込まず、一緒に最善の方法を探していきましょう。

キャリア就職センター
水島久光所長

(文化社会学部広報メディア学科教授)
専門はメディア論、情報記号論、現代思想。

関連記事=新型コロナ感染拡大受け緊急アンケート 本紙学生モニターの疑問に宮地教授&水島所長が答えます