News:研究
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2018年6月1日号
簡便で高効率の合成技術を開発
糖尿病治療薬をより身近に

理学部の荒井堅太講師と岩岡道夫教授らの研究グループがこのほど、インスリンを簡便に化学合成する新技術を開発。成果をまとめた論文が5月3日付で、イギリスの国際化学誌「Communications Chemistry」電子版に掲載された。

インスリン製剤は糖尿病の治療薬として広く用いられている。その元となる2本のペプチド鎖(A鎖とB鎖)が、双方に含まれる硫黄原子同士によってつながった特殊な形をしていることから、人工的な合成には熟練した技術や大がかりな装置が必要とされてきた。

荒井講師らの研究グループは昨年、双方の硫黄原子をより反応性の高いセレンに置き換えて水溶液中で混ぜ合わせる手法を用いて、セレノインスリンを化学合成することに世界で初めて成功。その成果をもとに、天然のA鎖とB鎖が水溶液中でインスリンに変化するメカニズムを詳細に検討したところ、マイナス10度でpH値を10に固定した水溶液中でA鎖とB鎖を同比率で混ぜ合わせると、硫黄原子を入れ替えなくても高収率で合成できることを発見した。さらに、ヒトインスリンで49%、インスリンと同様の構造を持つ「ヒト2型リラキシン」で47%の高い収率で合成できることを明らかにした。

荒井講師と岩岡教授は、「きわめて簡便な手法での合成に成功し、将来の糖尿病治療にも貢献できると期待している。この手法を使えば、さまざまなタイプのインスリンを合成できることも確認できています。今後は医学部などと連携し、応用の可能性を探っていきたい」と話している。
 
(写真)岩岡教授(左)と荒井講師