阿蘇地域の創造的復興を目指す地域循環共生圏の構築に向けて「森里川海研究所(仮称)」を設立環境省、熊本県と東海大学が1月17日、「阿蘇地域の創造的復興に向けた地域循環共生圏の構築に関する協定」を締結した。東海大では、平成28 年熊本地震で甚大な被害を受けた南阿蘇村に位置する阿蘇校舎を中心に、阿蘇地域の自然資源を活用した「森里川海研究所―里地・里山ビジネスラボ(仮称)」を設置。「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクや「国立公園満喫プロジェクト」に取り組む環境省、創造的復興を目指す熊本県と連携し、豊かな地域循環共生圏の構築を目指す。
今回の協定では、三者が相互に協力・連携し、研究、教育活動や地域創生活動につなげるべく「研究プロジェクト」と「地域創生プロジェクト」に取り組んでいく。東海大は、2019年度末を目途に地域循環共生圏の構築に関する学術的な研究教育の場となる「森里川海研究所(仮称)」を創設。熊本・阿蘇校舎の教員を中心に、湘南や清水など各校舎の教員も参画して、土木工学、経営学、情報科学、生態学など多彩な分野の専門家が自然環境保全や教育普及プログラムの開発に取り組む。また、「地域創生プロジェクト」では、阿蘇地域を水源に有明海まで続く白川流域の自然再生や地域の里山再生活動などを展開する計画となっている。
県は「地域創生プロジェクト」の事務を担い、併せて「南阿蘇村黒川地区創造的復興プロジェクト」を南阿蘇村とともに推進。来訪者に震災の脅威を的確に伝えることを目的に、阿蘇校舎の建物などを保存する「震災メモリアル園地」整備事業をはじめとした震災遺構周遊コースの策定などに取り組む。環境省はこれらの活動に対して助言や支援を行っていく。
17日に東京・霞が関の環境省で行われた署名式には中川雅治環境大臣、蒲島郁夫熊本県知事 、山田清志学長をはじめとした各機関の関係者が出席。南阿蘇村の吉良清一村長による立ち会いのもとで協定書に署名した。
中川大臣からは、「阿蘇地域をフィールドとして自然を活用した教育や地域創生に連携して取り組み、下流域の有明海までを見通した創造的復興へとつなげていただきたい」と期待が寄せられ、蒲島知事は、「このプロジェクトによって阿蘇の復興を加速させていきたい」と意欲を語った。また、山田学長は、「熊本県をはじめ南阿蘇村の復興に、大学としてできる最大級の協力を行っていきたい」と今後への抱負を述べた。
(写真)協定書に署名する(右から)山田学長、中川大臣、蒲島知事、立会人の吉良村長