特集:教育の現場から
2015年8月1日号
たかなわ子どもカレッジが本格始動
高輪に小学生の集いの場
地域連携で学びを深める


情報通信学部生が学ぶ高輪校舎3号館を歩くと、子どもたちのにぎやかな声が聞こえてくる。地下1階にある「たかなわ子どもカレッジ」(TKC)に集う、校舎近隣にある小学校の児童たちだ。同校舎では、地域連携を進める「To-Collaboプログラム」の一環でつくられたこの施設を活用した、授業や学生による多彩な取り組みが始まっている。

大学の知的資源を活用して子ども向けの教育プログラムを作成し、学生が地域の住民や教育関係者と協力して指導者役を務めるTKCの取り組み。「To-Collabo プログラム」の地域志向教育研究経費に採択されている研究課題「世代を超えた知の共有と育成を目指した地域連動型教育プログラムの構築」による活動の一環として、昨年度から始まった。

校舎のある港区では、急激な子育て世代の人口増加や共働き家庭が増えた影響で、小学生が放課後に過ごす学童保育が不足している。このような課題に対し、キャンパスと地域が一体となって改善を目指すものだ。

昨年度には、港区高輪地区総合支所と児童館「港区立高輪子ども中高プラザ」の協力を得てキャンパス内にTKCを開設。週に3日開室し、毎回約20人の子どもたちが集まっている。また、子どもたちのためのスペースであると同時に、学生が地域住民らと交流する学びの空間でもある。

研究の代表を務める高輪教養教育センターの福稔教授は、「通りに面した立地で、子どもやお年寄りが気軽に入ってこられる場所となっています。そこで学生たちが子どもたちを教え、地域のお年寄りと交流する。その中で学生自身も学びを深めてもらいたい」と語る。

多様な催しを企画 子どもたちと交流
プロジェクトでは、子ども向け教育コンテンツの作成と実践を目標として、昨年度秋学期から「プロジェクト実践B、C、D」や「情報メディアゼミナール」「実践プロジェクト1、2」といった授業を開講。履修する学生たちは、大学での学びを生かして音楽や英語、ものづくりに関する教材制作や、季節ごとの催しを企画している。

渡辺晴美教授の「実践プロジェクト1」を履修し、ロボット遊びのイベントに携わった中里裕也さん(4年)は、「自分の専門を人のために役立てる方法を、あらためて考えることができました」と話す。

このイベントに参加した児童たちからは口々に、「とても楽しかった。自分でロボットを作れるようになりたい」といった声が聞かれ、保護者からは、「学生さんたちはとても親切で、安心して子どもを預けています」と好評を得ていた。

高輪教養教育センターの村松香織准教授による「プロジェクト実践C」では、学生たちが高輪地区の児童館を巡り、スタッフから現場の意見を聞き、子どもたちと実際にふれあう催しを企画。「縁日」と「水遊び」イベントを開き、子どもたちを招待した。

山口豪太さん(3年)は、「地域の方々と日程の調整やイベントの告知について話し合う中で、スケジュールの管理や、コミュニケーションのとり方を学ぶことができました」と振り返る。

福教授は、「各授業の履修学生たちはそれぞれの活動を振り返るレポートを提出し、自らの行動を総括してもらいます。そういった取り組み全体を通じ、社会に出て活躍できる力を身につけてほしい」と期待を語っている。

 
元気いっぱい水遊び

高輪校舎1号館の屋上テラスに響く子どもたちの歓声――。7月15日に行われた「水遊びをしよう!」には、小学校1年生から3年生計15人が参加した。村松准教授の「プロジェクト実践C」の授業を履修した学生が企画・運営したものだ。

学生たちはテラスにプールを置き、水鉄砲や浮き輪を用意。金魚すくいのコーナーも設置した。

宇田川穫さん(3年)は、「水を扱うので安全面には特に注意しました。子どもたちは想像以上に元気で、楽しんでもらえてよかった」と充実した表情を見せていた。


ロボットを動かそう

TKCを会場とした体験イベント「ロボットで遊んでみよう!!」は7月1日に開催。渡辺教授のゼミに所属し、「実践プロジェクト1」を履修した学生が、科学の面白さを地域の子どもたちに伝えようと企画した。参加した12人の児童は学生のサポートを受けながら、掃除ロボットをコントローラーで遠隔操作してコースに沿って走らせたり、ペットボトルを倒したりするゲームに挑戦した。


(写真上)夏ならではのイベントに子どもたちは大はしゃぎ
(写真下)TKCは毎週火曜、水曜、金曜に開室している
 
担当教員に聞く
対話する力を高めよう
高輪教養教育センター
福 稔 教授 

高輪校舎における「To-Collabo プログラム」の取り組みでは、連携協力に関する基本協定を結ぶ港区との協働に加えて、教育コンテンツ作成にも力を入れています。清水校舎の海洋学部と協力し、今年度は遠隔授業の手法も取り入れ、キャンパス間の連携強化を推進しています。

情報通信学部生の多くは技術者の道に進みますが、専門技術に関する知識だけでは本当の意味で社会に役立つ仕事はできません。この活動を通じて多世代との交流から人と対話する力を高め、有益な人材に育ってほしいと願っています。

地域貢献の活動に終わりはありません。今後も、TKCの受け入れ体制強化や高輪地区の特性に合わせた催しの開催、教育体制の充実を図っていきます。
To-Collaboプログラム
文部科学省の平成25年度「地(知)の拠点整備事業」に採択された東海大学のプロジェクトで、全国にキャンパスを有する大学ならではの「全国連動型地域連携活動」を柱に、地域特有の問題や共通課題を各校舎の職員、学生、研究者が共有し協力して解決策を見いだす取り組み。教員による「地域を志向した教育の推進につながる活動」に対して、「地域志向教育研究経費」を助成している。