特集:教育の現場から
2015年9月1日号
【特別座談会】就職ってなんだ!?
本紙モニター記者が突撃!必要な心構えとは?
大学生活でしっかり“助走”
やりたい仕事にジャンプしよう

就職はゴールではなく、社会に出るためのスタート地点——。就職活動は卒業後の人生を大きく左右する。今年度から政府の要請と日本経済団体連合会の指針により、企業へのエントリー開始時期が4年時の3月に繰り下げとなった。就職活動の変容に不安を感じる学生も多い。今回は、キャリア就職センターの水島久光所長(文学部教授)に学生モニター記者3人が突撃。「インターンシップとは?」「必要な心構えは?」といった疑問に答えてもらった。

水島 座談会を始めるにあたって、皆さんの就職活動に対するイメージや活動状況を教えてください。

笠原 1年生のときに観光学部主催の職場見学に参加。2年生になってからは、志望している航空業界のインターンシップにも行きました。以前から持っていた華やかですてきなイメージを再認識すると同時に、仕事の過酷さや必要な努力も知りました。今はSPIの対策やエントリーシートの書き方などを学んでいます。

栃原 私は公務員になろうと勉強しています。大学に進学したときは、漠然と「民 間企業に入るのだろう」とイメージしていましたが、社会貢献や子どものために働きたいという思いが強まり、試験対策を始めました。

高松 今は高校の教員になりたいという目標があります。ただ、教職課程の授業などを通じて「狭き門だな」とも感じています。大学に入学してからまだ数カ月しか経っていないので、就職活動については右も左もわからないというのが正直なところ。今日は水島先生や先輩方の話を聞いて、多くを吸収できればと思っています。

インターンシップって?
水島 皆さんに共通するのは、早くから特定の業界に期待や憧れがあるんですね。大学生活を通じて、ほかの業界に目が行ったりはしませんか?
笠原 観光学部で地域の活性化について学び、興味がわきました。この業界のインターンシップも受けてみようと思っています。

高松 実はインターンシップという言葉は耳にしたことがありますが、内容まではよくわかっていないんです。

水島 実際に企業に出向いて行う職業体験のことです。企業の裏側を見られるだけでなく、世の中でこの業界はどのような役割を果たしているのかを知ることができます。就職活動に臨むうえで、社会の構造を知ることはとても大切。自分がつきたい職業のイメージを、はっきりさせることができるかもしれません。

栃原 私は公務員試験の勉強もあり、インターンシップへの参加は悩んでいるのですが......。

水島 両立は大変かもしれませんが、チャレンジしてみるべきでしょう。 今できることは何でもやっておく気持ちが大切です。就職はゴールではなく、社会に出るためのスタート地点にすぎませんから、大学時代にしっかりとした助走をつけてお いたほうが、本当にやりたい仕事に出合ったときに思いきりジャンプができますよ。

4年間の学びを生かす
高松 社会を理解するという点では、大学で政治学に触れて、世の中への見方が変わりました。これまではニュース番組をほとんど見ていなかったのですが、今では授業と関連する話題も多いので、コメンテーターの意見を聞いて、「それは違うな」と考えながら見るのが楽しいです。

水島 とてもいいことだと思います。相手の意見に「違う」と思うのは、相手の言っていることを理解しないとできません。さらに、授業を起点に考え方が変わったのも素晴らしい。

笠原 確かに企業の方と話すときには、大学で何を学んだか聞かれますよね。

水島 それぞれが日々取り組んでいる学業や課外活動が就職活動に直結します。そういう意味では、大学に入学したときから社会に出るための準備は始まっているといえますね。プレッシャーのかかる企業との面接でも、一生懸命取り組んできたことについては、自然と相手に話したくなるものです。魅力的な内容にもなるはずですし、「それは 何?詳しく教えて」と食いついてきたら、いい関係を築くチャンスです。栃原さんは、子どものためになる仕事につきたいと話していましたよね?

栃原 はい。ですが工学部の勉強が直接生きる場面は少ないかなとも感じます。

水島 でも、理科の実験は子どもにもすごく人気がありますよね。そこには子どもにとって何が大切かを考える基本があると思いますよ。東海大学には18学部77学科ありますが、そういった意味で、社会とつながっていない学科は一つもありません。

企業側にも立って考える

笠原 「今年から変わったスケジュールが近いうちにまた戻るかもしれない」と聞いたことがあります。今年度から変わったばかりで、すぐにまた変更になるものでしょうか?

水島 来年度すぐにということはないでしょう。ただ、現2年生の就職活動の時期が変わる可能性は否定できません。経済状況などによっては何が起こるかわかりませんし、頭に入れておくことも必要です。

笠原 そうなんですね。ところで、「スケジュールが変わり、インターシップの重要性が増した」とも聞きます。

水島 問題なのは、採用活動が始まる3年時の3月よりも前に、インターンシップを使って学生との接点づくりを行う企業が出てきたことです。

笠原 インターンシップが説明会の役割を果たしていたり、一次審査を免除されることもあると聞きました。

水島 よい人材を採用するために、採用活動前のインターンシップも判断材料にしようと考えているのでしょう。スケジュールが後ろ倒しされて、焦るのは学生だけではないことを頭に入れておくのは大切です。でも、面接で素晴らしい学生に出会って、「インターシップに参加していないから落とす」というのは企業にとっても得ではありません。今回の日程変更はむしろ、企業側への影響のほうが大きいと思います。企業の考え方を理解すれば、学生の皆さんも余裕を持って就職活動に臨めるかもしれませんね。ですから、いつでもいい出会いができるように、大学時代から常に、自身を磨いておきましょう。

就職支援を活用しよう
栃原 私は初対面の人と話すことが苦手なので、面接などに不安があります。

水島 確かに初めて企業の人と話す場が面接というのでは大変ですよね。キャリア就職センターでは、企業の方と出会えるさまざまなイベントを開催しています。東海大学出身の企業経営者を招いて学生と対話する企画も始めました。実際の就職 活動までまだ時間がある1〜2年生にとっても、いい機会になるかもしれません。コミュニケーションの力は一人で磨くことができませんから。

笠原 確かに、相手が何を考えて話しているのかを察するのは大事だなと感じます。

高松 高校時代に野球部のマネジャーをしていたのですが、監督に「人の考えの3歩前を歩き、相手が何をしてほしいのかを考えてやりなさい」と言われたのが印象に残っています。意識しすぎて失敗したこともありますが、自分の糧になってい ますね。

水島 多くの人と出会い、話す経験こそが自分の能力を伸ばすことにつながります。あとは社会を理解するための基本的な知識を身につけること。キャリア就職センタ ーではこの10月から、日本経済新聞社の協力で、「新聞で学ぶ経済の動きと仕組み」という特別講座も開講します。もちろん、センターの窓口ではいつでも相談を受け付けていますよ。ぜひ気軽にいらしてください。

 

(写真上から)
▽「貴重な話を聞けてよかった。何もわからない状態から大きく前進できた」と高松さん
▽公務員志望ながら、民間企業への就職も視野に入れる栃原さん。「企業へのインターンシップにも挑戦してしっかりと準備を進めたい」
▽「就職活動に向けた努力だけでなく、大学で学業に励むことも自分に合った企業と出会うための道」と水島所長
▽自身の就職活動を目前にして笠原さんは、「今日の話を参考に自分のことだけでなく、企業側の考えも頭に入れて臨みたい」