特集:教育の現場から
2015年11月1日号
大学の知を地域へ、世界へ
教養学部の新たな取り組み
「SOHUM」の活動を生かす


教養学部が湘南校舎で9月19、20日に「ユネスコスクール支援大学間ネットワーク」の交流セミナーを初開催した。26日には昨年に続き「TOKAIおひろめ芸術祭」も開くなど、学部独自の教育活動である「SOHUMプログラム」を発展させ、地域に、世界に貢献する取り組みを展開している。

人間環境学科、国際学科、芸術学科を擁する教養学部では、特色の異なる3学科の教員と学生が協同して実践的に学ぶ「SOHUMプログラム」を2009年度から実施。学生は必修科目「人間学1」と「現代文明論2」で基礎を身につけ、選択科目「人間学2」やゼミナールで実践的な学びを深めている。戸谷毅史学部長は、「理系、文系、芸術系の学生が所属する学部ならではのプログラムを通して、学生には社会に出てから必要になる力を養ってほしい」と語る。

SOHUMでは、環境や国際理解、平和、人権、地域の文化などをテーマに7つのプロジェクトを設け、専門性や多様性を育む。この活動が評価され、今年度は「ユネスコスクール支援大学間ネットワーク」に加盟した。9月19、20日には活動第一弾として「UNESCO/ESD交流セミナー2015〜未来の学校について考えてみよう〜」を初開催。関東のユネスコスクール加盟校や、加盟希望の学校から生徒、学生、教員71人が参加した。

未来の学校を考える 世代を超えた交流も
セミナーの運営には教養学部の学生有志6人も協力した。大学間ネットワークの活動を担当する国際学科の小貫大輔教授は、「ユネスコスクールへの加盟支援などが主な活動ですが、学生にとってもセミナーの運営に携わったり、終了後に活動報告をまとめて加盟校に配布したりと、大切な学びの場になる」と話す。さらに、「参加者としても、自分たちが未来をつくり、背負っていくという責任を感じてもらえれば」と期待を寄せた。

期間中はユネスコについての講演やユネスコスクール加盟校の活動報告のほか、100年後の未来の学校について考えるワークショップも実施。SOHUMでの授業を生かして、キャンパス内での植物観察と草木染めも行った。セミナーの準備から携わった萬羽幸子さん(人間環境学科3年)は、「自然環境について学びたいと入学しましたが、SOHUMの授業でブラジル学校の子どもたちとかかわり、国際関係にも興味がわいて今回のセミナーに参加しました」と話す。普段はあまり接することのない高校生や教員とも意見をぶつけ合い、「同年代と話すのとは違う意見が聞けて勉強になった」と振り返った。

小貫教授は、「世代や専門分野が異なる人とかかわり、違った視点に触れることは、SOHUMの理念ともつながると思います。今後はさらに海外の学校や日本の外国人学校とも交流していきたい」と語っている。

[もう一つの話題]
3課程の特徴ある企画で“芸術の秋”を楽しもう

教養学部芸術学科が9月26日、湘南校舎で「TOKAIおひろめ芸術祭」を開催した。幅広い世代の市民が大学を訪れ、芸術を楽しむ機会にしようと「To-Collaboプログラム」の一環で昨年から始まった催し。音楽学課程、美術学課程、デザイン学課程の教職員と学生約120人が、各課程の特徴を生かした17の企画を用意した。

粘土で巨大な亀を制作したり、レーザー加工したパーツで紙飛行機を作ったりするブースのほか、1950年代から最近までのヒット曲を来場者と一緒に歌う「歌声広場」も設けられた。また、「平塚市・東海大学交流提携30周年」を記念したブースには、「湘南地域ブランド創造プロジェクト」と池村明生教授(デザイン学課程)のゼミの学生がデザインした平塚市の地産地消PRキャラクター「ベジ太」と「ひらつかタマ三郎」が登場。地元食材を使った料理をふるまった。

芸術祭を主導する池村教授は、「学部の取り組みを生かして、地域や社会に貢献していきたいと考えています。今回の催しを通して、地域の方々に芸術を体験する楽しさを感じてもらえればうれしい」と話していた。

学部長に聞く
社会に通用する力の育成を

教養学部 戸谷毅史 学部長

教養学部では、学生の“社会に通用する力”を育むという視点で、教育に取り組んできました。その大きな軸となっているのが、09年度に文部科学省の公募事業「大学教育・学生支援推進事業」に採択された「SOHUMプログラム」です。

八重山諸島や西表島の自然と暮らしを考えるプロジェクトのほか、日本で暮らす外国籍の子どもたちと交流するプロジェクト、北東アジアで環境デザインや社会事情を研究するプロジェクトなど、3学科5課程を有する教養学部ならではの取り組みが特徴です。

そうした教育を6年間続けてきたからこそ、文部科学省「地(知)の拠点整備事業」に採択された東海大学の地域貢献活動の取り組み「To-Collaboプログラム」の一環でおひろめ芸術祭や市民芸術講座を開いたり、ユネスコスクール支援大学間ネットワークに加盟したりすることができたのです。

SOHUMから発展したこれらの取り組みはまさに、東海大学が掲げるグローバル人材の育成や、「パブリック・アチーブメント型教育」の推進に通じるものです。教育内容は、時代に合わせて変えていかなければなりません。これからもよりいっそう、地域に貢献し、世界に羽ばたける人材の育成に取り組んでいきたいと思います。

 
(写真上)セミナー初日には、「かけがえのない地球環境を守ります」「みんなで力をあわせます」など、ユネスコの「わたしの平和宣言」を絵で表すワークショップに挑戦
(写真下)ベジ太とタマ三郎も登場し、来場者と音楽を楽しんだ
Key word ユネスコスクール支援大学間ネットワーク
新しい教育内容や手法の開発、持続可能な開発のための教育(ESD活動)を展開する「ユネスコスクール」を支援する学校の集まり。ネットワークづくりの促進などを通して、同スクールの活動や加盟を支援する。セミナーは同ネットワークによる活動の一環で、文部科学省「日本/ユネスコパートナーシップ事業」として行った。