Column:ニュースの扉
2020年4月1日号
Q.商用化が始まった「5G」 次世代通信システムで社会はどう変わる?
A.高速・大容量通信で自動運転も視野に
工学部電気電子工学科 稲森真美子准教授

次世代モバイル通信技術「5G」。新聞やニュースで名前を聞いたことがある人も多いのでは?
 
5Gの「G」は、世代(Generation)のこと。初めの1Gは、1980年代に商用化されたアナログ無線技術を使ったモバイル通信技術でした。その後、2Gでデジタル通信となり、世代を重ねる中で大容量化と高速化が進んでいきました。

3月下旬から商用化が始まった5Gは、これまでの4Gと比べ、約20倍の高速・大容量通信が可能になり、100倍もの機器を同時に接続できるようになります。多くの人が大量のデータを同時に送受信しても、通信の遅れやエラーが生じにくい―この特徴こそ「5Gが世の中を変える」といわれる理由です。

これまでの携帯電話は、自分から情報を取りにいくものでした。5Gではそれが逆転し、それぞれの人に合った情報が勝手に送られてくる時代になります。たとえば、家の玄関に行くとその日の天気予報がデバイスからアナウンスされたり、お気に入りの店の前を通るとお買い得情報が送られてきたり……。心拍数などの情報をリアルタイムで記録し、疲れ具合を見て休むようアナウンスしてくれるようにもなります。

さらに、自動車の自動運転や遠隔医療にも活用が期待されています。自動運転は、車が人工衛星や前後を走る車と常時通信して安全を守るため、データ通信の遅延は絶対にあってはいけません。また、医師が遠隔地にあるロボットを使って手術する際にも、通信の安定は不可欠です。

一方で、大容量のデータを安定して送受信するための交通整理が課題となっており、私の研究室でも人工知能を支える機械学習を使って通信を最適化する研究に取り組んでいます。新しい通信技術は、常に人々の幸せへと貢献できる可能性があります。皆さんもぜひ、新技術の活用法を考えてみてください。

 


いなもり・まみこ 1982年鹿児島県生まれ。2009年慶應義塾大学大学院理工学研究科デザイン工学専攻博士課程修了。博士(工学)。専門は無線通信、無線電力伝送など。
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