share

研究

2020/11/01

アレルギー性気管支肺真菌症の新しい診断基準を提唱

【医学部医学科】

医学部医学科の浅野浩一郎教授(内科学系呼吸器内科学)らの研究グループが、アレルギー性気管支肺真菌症(ABPM)の新しい臨床診断基準を提唱し、有用性を検証。その成果をまとめた論文が8月29日、国際医学雑誌『The Journal of Allergy and Clinical Immunology』オンライン版に掲載された。

ABPMは、大気中に浮遊する真菌(カビ)の胞子が気管支内の粘膜に生着・繁殖した際のアレルギー反応により発症する。悪化すると気管支の破壊(気管支が拡張したままになり粘液を吐き出しにくくなる)や、肺の線維化(線維が過剰に蓄積して硬くなり機能が低下する)を引き起こし、呼吸不全に至るケースもある。

早期に診断できれば有効な治療法があるが、これまで用いられてきた基準では正確な診断ができにくく、判明したときには病気が進行して治療が難しくなることが課題となっていた。

浅野教授は、日本各地の大学研究者や臨床医らと研究班を立ち上げ、2013年から全国調査を実施。ぜんそくの既往や血液検査、喀痰・気管支分泌物、胸部CTなどの所見10項目のうち、「6項目以上を満たせばABPMの診断確定」「5項目で疑い」とする、新しい診断基準を提唱した。

さらに、粘液採取による病理検査や日本の呼吸器・アレルギー専門施設の医師によりABPMと診断された事例と、ABPMと間違えやすい好酸球性肺炎やぜんそく、慢性肺アスペルギルス症の事例を比較し、新基準の有用性を検証。新基準では、特異度(陰性の場合に正しく陰性と判定できる割合)90%、感度(陽性を見逃さない割合)94~96%と、きわめて高い精度で診断できることを証明した。

浅野教授は、「発症初期の段階でも正しい診断ができる有用な基準であることを検証できました。新基準を広めるとともに、環境整備による発症予防法や新たな治療法の研究開発にも取り組みたい」と話している。

 

(写真上)浅野教授
(写真下)浅野教授らが提唱した新基準。『アレルギー性気管支肺真菌症の診療の手引き』(医学書院 監修:日本アレルギー学会/日本呼吸器学会 編集:アレルギー性気管支肺真菌症研究班)に掲載されている

研究記事一覧

2024/03/01

【建築都市学部】 山川教授らが世界最優秀賞に

2024/03/01

【東海大学】 早稲田大などとシンポジウム

2024/03/01

血液透析患者の予後を大規模データで解析

2024/03/01

【生物科学研究科】若手研究者支援に採択

2024/03/01

【工学研究科】リチウムイオン電池の研究で

2024/03/01

【生物学研究科】田中さんが最優秀学生講演賞

2024/03/01

【理学研究科】大河内さんが審査員奨励賞

2024/02/01

【TRIC】宇宙考古学研究の最前線

2024/02/01

高度な研究に専念できる環境を支援

2024/02/01

【生物学部】北准教授の研究グループが

2024/02/01

【政治経済学部】国際ワークショップを開催

2024/02/01

【医学部】アメリカ外科学会が功績をたたえる

2024/02/01

【医学部医学科】血小板の活性を抑制する

2024/01/01

アジア農業シンポジウムを開催

2024/01/01

【教養学部】池村教授に環境芸術学会賞

2024/01/01

【品川キャンパス】関東大震災から100年

2024/01/01

中国・清華大と共同セミナー

2023/12/01

【文明研究所】劇作家・北條秀司研究の成果を披露

2023/12/01

【文理融合学部】「電気式人工喉頭」開発に貢献

2023/12/01

【海洋学部】山田教授に離島振興協議会特別表彰

2023/12/01

【児童教育学部】雲財講師が論文賞受賞

2023/12/01

【医学部医学科】 膝軟骨を「細胞シート」で再生する

2023/12/01

【医学部医学科】 和佐野准教授に学会賞

2023/12/01

【医学部看護学科】ウイルス由来遺伝子の機能解明

2023/11/01

【先進生命科学研究所】セレン化合物の研究で

2023/11/01

【観光学部】移動体通信の利便性向上

2023/11/01

【医学部医学科】今井講師に消化器免疫学会奨励賞

2023/11/01

【建築都市学部】LEDの“まぶしさ”を計測

2023/10/01

研究力強化へ「次世代研究創成拠点」設置

2023/10/01

【工学部】微細脳血管手術に新たな光

2023/10/01

KMITLとジョイントセミナー

2023/10/01

【静岡キャンパス】国際漁業学芸大会シンポジウム

2023/10/01

研究シーズを企業にアピール

2023/10/01

【医学部医学科】AIで革新的診断技術を開発

2023/10/01

【医学部医学科】中川准教授に遺伝学会奨励賞

2023/09/01

【WBC・SPC】 SPORTECにブース出展

2023/09/01

【文明研究所】湘南で人間科学の国際会議

2023/08/01

【情報技術センター】線状降水帯のメカニズム解明へ

2023/08/01

【医学部医学科】漢方医学への貢献に評価

2023/08/01

【体育学部】笹木准教授 優秀発表賞を受賞

2023/08/01

【海洋学部】「三保松さば」をお披露目

2023/07/01

【医学部医学科】NK細胞白血病の新たな治療薬を発見

2023/07/01

【医学部医学科】肺炎桿菌の感染防御機構を解明

2023/07/01

【工学部】宮沢教授に功労賞

2023/06/01

【医学部医学科】慢性腎臓病患者の診療改善へ

2023/06/01

【建築都市学部】イタリア南部の都市史に光

2023/06/01

【医学部付属病院】前立腺がんの最新・低侵襲治療

2023/05/01

【国際学部】タギザーデ准教授に文科大臣表彰

2023/05/01

【海洋学部】マダコ養殖技術に進展

2023/05/01

【文明研究所】人文学と身体性をテーマにシンポ