News:教育
2021年1月1日号
よりよい国際社会づくりに貢献する
【ヨーロッパ学術センターが開設50周年】
オンラインで各種セミナーを開催

東海大学ヨーロッパ学術センターがこのほど開設50周年を迎え、これを記念した4回シリーズのQOLセミナーなどがオンラインで行われている。同センターは、日本とヨーロッパ諸国との学術・文化交流の促進を目的として1970年にデンマーク・コペンハーゲンに開設。セミナーはこれまでの成果を広く社会に還元し、よりよい国際社会づくりに貢献することを目的に開かれた。

【第3回QOLセミナー】
脱炭素社会の実現へ 最新のエネルギー研究を紹介

第3回東海大学ヨーロッパ学術センター開設50周年記念QOLセミナー「持続可能な社会の実現に向けた脱炭素エネルギーシステム:QOLの向上」が、昨年12月10日にオンラインで開催された。当日は約70人が聴講。川崎重工業蠅粒囘捗嗅藥(技術開発本部研究員)や東海大工学部の源馬龍太講師、デンマーク工科大学教授のマリエ・ムンスター氏とピーター・ヘンドリクセン氏、駐日デンマーク大使館のスーネ・ストローム氏、Energinet社CEOのピーター・マークセン氏が講演した。

最初にムンスター氏とストローム氏が、EUとデンマーク政府が進める脱炭素社会実現に
向けた政策方針や取り組みを紹介。ヨーロッパ諸国の中でもデンマークで脱炭素化が進んでいる現状や、風力と太陽光で発電したエネルギーをアンモニアに変換する技術を活用しつつ、エネルギー生産・供給網を効率化することでさらなる脱炭素化を推し進めていることなどについて実例を交えて語った。

続いて、角田氏が日本とオーストラリア両政府の支援を受けて展開している水素生産・活用に関する研究を紹介した。

源馬講師とマークセン氏、ヘンドリクセン氏は、各研究室で展開している研究を解説。水素吸蔵合金を使って二酸化炭素をメタンに変換する技術と風力発電で作った電力を水素に変換してパイプラインで輸送する構想、水の電気分解反応から水素を製造する技術を活用するシステムの現状と課題について語った。

各講演の終了後には、それぞれの技術の可能性や政策実現に向けた方策などについて活発な議論も展開された。


【第4回QOLセミナー】
文化や背景が異なる両国の高齢者ケアの違いを考える

昨年12月14日に第4回東海大学ヨーロッパ学術センター開設50周年記念QOLセミナー「QOLと高齢者へのケア〜文化の違いに見いだされるデンマークと日本のケアの質〜」が開催された。

同センターと健康学部による初めての共同企画としてWEBビデオ会議システム「Zoom」を使って実施され、認知症患者に対するケアを専門とするVIA大学准教授のレェッゲ・グリガセン氏と、健康学部健康マネジメント学科の阿部正昭教授が講演。約120人が聴講した。

グリガセン氏は、「デンマークのQOLと高齢者ケア〜介護が必要な高齢者へのサポート〜」と題して講演し、同国では教育や医療、社会サービスは税金で賄われており、高齢者のケアスタッフは無料で専門的な教育を受けられるといった現状を報告。一方で、高齢化や介護職に有能な人材を集められないといった課題に触れ、医療や介護の現場でオンライン化が進んでいる様子も説明した。

続いて阿部教授が「日本の高齢者介護と触れるケア〜触れるケアによるコミュニケーションの工夫〜」をテーマに、日本で注目されている4つの認知症ケアを紹介。「日本の介護の現場では傾聴や声かけ、見守り、心の動きに寄り添うという4つのコミュニケーションを大切にしています。これらの“寄り添うケア” には、以心伝心や阿吽の呼吸を大事にする日本ならではの背景があるのではないでしょうか。安心や心地よさ、愛情、信頼を伝えるケアが重視されています」と解説した。

質疑応答に続いて山田清志学長と堀真奈美学部長がコメントし、堀学部長は、「今後もお互いのいいところを学びながら連携が進むことを期待します」と話した。

 
(写真上)デンマークと日本の取り組みについて議論が展開された
(写真下)手で柔らかく包み込むように触れる「タクティールケア」を紹介