News:研究
2021年1月1日号
豊川悦司氏らのトークショーも
【企画展「俳優緒形拳とその時代」】
名優の活躍を振り返る

横浜市歴史博物館で開催されていた企画展「俳優緒形拳とその時代―戦後大衆文化史の軌跡―」が、昨年12月6日に最終日を迎えた。教育開発研究センターの馬場弘臣教授(文明研究所)と学生らが長年にわたって資料を整理し準備してきた企画展で、約2カ月の会期中には7600人をこえる来場があり、名優の活躍や歴史を振り返る多彩な講演会も行われた。

11月21日にはトークショー「緒形拳の作品とその魅力」が開かれ、俳優の豊川悦司氏とプロデューサーの貴島誠一郎氏らが登壇。約90人が参加し、貴島氏の連続ドラマ初プロデュース作品で、緒形さんと豊川氏の初共演作品となった『エ・アロール〜それがどうしたの〜』(2003年、TBS)のエピソードを中心に語り合った。

司会の江戸家まねき猫氏から「俳優・緒形拳から芝居についてアドバイスをもらったことは?」と問われた豊川氏は、「僕は台本から芝居を変えて演じることが多いので、緒形さんに“やりにくくてすみません”と言ったら、“やりにくい芝居なんて存在しない。今やっているものは芝居じゃない。人間同士の話なんだ”とおっしゃって。後にも先にも演技について言われたのはこの1回きり。今でも心に残っています」と振り返った。

馬場教授は、「豊川さんは湘南校舎に緒形さんに関する資料の整理を見に来てくれたことがあります。それだけ緒形さんのことを尊敬しているのだと感じました」と話し、緒形さんが東海大でトークショーを開いた際のエピソードも披露した。

緒形さん出演のお勧めの作品を紹介し合った後、貴島氏は、「昔のちょっと怖い緒形さんも、優しい緒形さんも、どちらも作品を見れば会うことができます。皆さんの心の中にも緒形さんがいるのではないでしょうか」とまとめた。

俳優アーカイブの可能性 馬場教授が展望語る

会期中に展示解説を行った馬場教授は、12月5日に「戦後大衆文化史と緒形拳―俳優アーカイブの可能性―」と題して講演した=右写真。略歴を紹介した後、約50年にわたる俳優人生を約10年ごとに5つのカテゴリーに分けて紹介。舞台、テレビ、映画と活躍の場を移し、「時代の変化とともに、各年代でそれぞれ違う緒形拳が存在していた」と解説した。

企画展を振り返り、「今後も緒形さんの資料整理を続けるとともに、一つひとつの芝居がどう評価されていたかも分析したい。緒形さん以外にもさまざまな人の人生を回顧しながら時代の中に落とし込み、データベースを作ってアーカイブとして残していくシステムも構築できれば」と展望を語った。

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(写真上)緒形さんとのエピソードを披露した貴島氏(左から2人目)、豊川氏(同3人目)、馬場教授(同4人目)