News:研究
2021年6月1日号
糖尿病性腎臓病早期診断マーカー発見
【医学部医学科】
多様な病態への適用に期待

熊本大学の渡邊博志准教授らの研究グループと金沢大学の研究者、東海大学の深川雅史教授(医学部医学科内科学系腎・代謝内科学)らがこのほど、糖尿病性腎臓病の新たな早期診断マーカーを発見。その成果に関する論文が4月27日(日本時間)に、アメリカの糖尿病学会誌『Diabetes Care』に掲載された。

糖尿病性腎臓病は、網膜症、神経障害と並ぶ糖尿病の三大合併症の1つ。腎臓は血液をろ過して尿を生成し、老廃物を排出するなどの働きをしているが、糖尿病性腎臓病が進行すると機能が損なわれ、最終的に透析治療が必要になる。予後の改善は難しいため予防が第一だが、発症した場合にはできる限り早期の診断と適切な治療が重要となる。

これまでは、尿中タンパク質である微量なアルブミン量を測定して診断していたが、早期には異常が認められない症例もあり、新たな診断マーカーの開発が求められていた。

共同研究チームは、遺伝的な要因に運動不足、過食などの生活習慣が加わって発症すると考えられている2型糖尿病患者257人について、腎臓の病態進行と血清アルブミンの翻訳後修飾体(糖が付加したり酸化したりしたアルブミン)との関連を評価。糖尿病性腎臓病の進行に伴い、血清中に存在するアルブミンの酸化修飾体であるシステイン付加アルブミン(酸化型アルブミン)の値が上昇することを発見した。

この結果から、酸化型アルブミンが腎臓病の診断マーカーとして活用でき、従来の方法より早期に腎病態を反映できるという2つの可能性が見いだされ、さらに腎病態の進行を予測する診断マーカーとしても利用できると期待されている。

深川教授は、「近年、糖尿病による腎障害の病態が多様であるとわかってきました。そうした中、どのような病態であってもより早期に診断できる可能性を持ったマーカーを発見できたことは、大きな意義があると考えています」と話している。

 
(写真)深川教授