特集:教育の現場から
2011年10月1日号
情報通信学部インターンシップの取り組み
即戦力になれる人材育成を目指し
入学直後から「職業観」を養う


国内外のIT企業で即戦力として活躍できるスキルの習熟を目指し、入学直後からキャリア形成を見据えた科目構成に基づく教育を展開している情報通信学部。その実践として、3年生を対象にしたインターンシップに取り組んでいる。今年は37人の学生が参加。夏季休暇期間を活用して企業での実習に臨んだ。

情報通信学部では、インターンシップを4つある学科すべての主専攻科目の一つに位置づけ、3年生の選択科目として開講。履修した学生は、社会人としてのマナーや心構えを学ぶ事前指導、10日間の企業実習、その後の報告書提出、学生や教職員を対象にした報告会での発表が求められ、その結果として2単位が与えられる。「単なる独立した科目ではなく、キャリア形成を意図した科目を1年時から用意し、入学直後から連続性や関連性を持って“働くこととは何か”を学べるのが特徴です」と、高輪教学課の石田昌俊課長は説明する。

具体的には、1年生必修の「通論」(情報メディア通論、経営システム工学通論など)で、自分の所属学科の学びの全体像を把握。学内外の多彩な講師陣から社会とのかかわりを知ることで、学習のモチベーションを上げる。続いて、2年生もしくは3年生の選択科目「企業研究」で、卒業後に就職を希望する業界の仕事内容や将来性を調査・分析する力を身につける。こうして順を追って学んだ上で、「インターンシップ」を体験できる仕組みを用意している。

社員の指導を受け SEの仕事を体験
今年度は59人の希望学生の中から、志望動機や派遣先企業とのマッチングなどを基準に選ばれた37人がインターンシップに参加。7月16日に高輪校舎で事前指導を受け、企業実習に臨んだ。

このうち、森山雄大さん、糸日谷(いとひや)優梨さん、金子あずささんの3人は、8月22日からITに関するコンサルティングや研修サービスなどを手がける螢愁襯僖奪(東京港区)へ。一緒にインターンシップを体験する日本大学の学生3人とともに、同社の藤田勉社長から「スキルを蓄え、日本や世界をリードする気概を持って成長してほしい」と激励を受けた後、ビジネスマナーやソフトウエア操作など2日間のオリエンテーションを経て、各配属部署での本格的な研修を開始した。

「SE(システム・エンジニア)の仕事に興味がある」という森山さんは、コンサルティング事業部に配属。4日から1週間、社員の指導で実際の業務を通じて仕事に必要な技術や能力、知識などを身につける「OJT研修」を体験した。同社が請け負うポータルサイトの設計やコンサルティングにかかわる資料のデータ整理、入力作業を通し、「SEの仕事はコミュニケーション能力や判断力、交渉力など多くのスキルが必要。IT業界のイメージが明確になった」と手応えを語る。

実習最終日の9月2日には、研修学生全員がパワーポイントなどのプレゼンテーションソフトを使い、藤田社長や中下俊夫学部長らを前に15分間ずつ研修成果を発表した。「授業でプレゼンテーションの手法を学んだが、それが仕事の現場でどのように役立つのかが分かった」と糸日谷さん。学生の発表を見守った中下学部長は、「大学では学べない多くのことを短期間で吸収した経験は、学生生活をさらに有意義なものにし、ほかの学生にもよい刺激をもたらすと確信している」と評価している。

日ごろの積み重ねで企業との関係を築く
学生にとっては得ることの多い取り組みだが、受け入れ側の企業には負担がかかる。そのため、高輪校舎では教学課とキャリア支援課が協力し、企業訪問を何度も重ねて学生の受け入れ先の交渉にあたっている。

「IT系企業が集中する品川エリアに近い高輪校舎は、インターンシップの派遣先企業との結びつきを深めるのに有利な立地」と話すのは、高輪キャリア支援課の植野一朗課長。日ごろの積み重ねが企業との信頼関係を培い、インターンシップに限らず学生の就職支援全般に結びついている。

なお、インターンシップの成果は、秋学期に各学科で開かれる報告会で発表される。石田課長は、「今までご協力いただいている多くの企業と密接に連絡を取りながら、学生、大学、企業の三者にとってより有益なインターンシップのあり方を模索していきたい」と今後の展望を語っている。

 
(写真上から)マニュアル翻訳やウェブ制作を体験した金子さん(中)。「ソフトを使いこなすスキルを磨かなくてはと実感」
(写真)研修成果を発表する森山さん。「人前で話すのは苦手じゃないと思っていたのに、実際にはとて緊張した。もっとプレゼン能力を
向上させたい」
(写真)事前指導では外部講師も招き、インターンシップの意義やマナーを学んだ