特集:教育の現場から
2014年9月1日号
15回目の節目を迎えたワークショップ
静岡地区美術展に向けて「想像の魚」を共同で制作
「第15回東海大学静岡地区美術展」の作品を制作するワークショップが、8月9日に付属翔洋高校(静岡市)で開かれた。静岡地区にある学園の各教育機関で学ぶ園児から学生までが協力して毎年実施している催し。今年は東海大学海洋科学博物館と連携し、想像の魚づくりに挑戦した。

合同ワークショップは、2000年から毎年行われてきた静岡地区の恒例行事。第1回から運営に携わってきた翔洋高の澤田祐一教諭は、「世代をこえて力を合わせ、新しい“何か”を作り上げるのが魅力」と語る。

15回の節目を迎える今年のテーマは、「『ウォッ魚!水族館』で泳ぐ想像の魚の骨を作ろう」。家庭や飲食店などから集めた魚の骨を使って、想像の魚や骨のアニメーションを作る。当日は付属幼稚園、翔洋高中等部、翔洋高、短期大学部で学ぶ園児、児童、生徒、学生合わせて36人が参加した。

博物館を見学してイメージを広げる

参加者らはアイデアを得るために、まずは同じ静岡地区にある東海大学海洋科学博物館へ。学芸員のレクチャーを受けながら館内を見学し、魚の骨の特徴や役割、骨格の違いなどを学んだ。

その後、翔洋高に戻った一行は年齢混成の5つのグループに分かれて作品づくりを開始。初対面の人ばかりとあって最初は少しぎこちなかったものの、魚の骨を触ったり、図鑑を眺めながらイメージを広げるうちに、次第に打ち解けて協力し合う姿が見られた。

「魚の骨で作品を作るなんて最初は想像もできなかったけれど、なんとか形にすることができたと思う」と伊豆川佳来さん(翔洋高3年)。宮澤知夏さん(同)は、「共同制作では、どこまで自分の色を出せばいいのか迷うこともある。でも、バラバラだった意見がまとまって一つの作品になるのは楽しみ」と話していた。

今後も高校生を中心に制作が続けられ、12月10日から14日まで静岡市の「グランシップで開催される「第15回東海大学静岡地区美術展」で展示される予定。

(写真上)「どんな魚を作ろうか?」。グループごとにアイデアを出し合った
(写真下)メモをとりながら学芸員の説明を聞く
 
担当教諭に聞く
交流を深めて高め合う
付属翔洋高校美術部顧問 澤田祐一 教諭

同じ静岡地区で学ぶ学園の仲間同士の交流をもっと深めたい――そんな思いから始まった合同ワークショップも、今年で15回目となりました。

催しの主役は子どもたち。各教育機関の教員からなる実行委員会のメンバーは、あくまでもサポート役です。作りながら考えることで、子どもたちの創造性を引き出すことを心がけています。

共同制作のテーマは毎年変わりますが、その年のトピックスや環境問題、建学の地・三保をモチーフにするとともに、美術館や博物館といった学外施設や専門家とのコラボレーションも大切にしています。作品づくりを通じて美術の楽しさに気づいてもらうだけでなく、多様なものの見方も養ってほしいからです。

この取り組みは私たち教員にとっても、知識や経験を共有し互いに高め合える成長の場。今後も変化を恐れずに、新しいことにチャレンジしていきたいと考えています。

 
これまでの主な作品を振り返る
授業や課外活動で制作した絵画や版画などを一堂に展示する静岡地区美術展。共同制作はその目玉となる作品だ。第1回は19世紀フランスの新印象派・スーラの点描画を題材に、CGによるオリジナル切手を使ったモザイク画を制作した(写真は過去の美術展パンフレット)。

■ペットボトルで『考える人』

ピカソの『泣く女』をテーマにした第2回から、短期大学部も共同制作に参加。これ以降、5つの教育機関が参加する現在のスタイルとなった。第1回から企画・運営に携わっている澤田教諭が「最も印象に残っている作品」というのが、第3回のロダンの『考える人』。静岡県立美術館と連携し、高さ180センチの実物大の像を約5000本の緑色のペットボトルで再現した。

■デザイナーの指導で“ゴッホの椅子”
ゴッホ生誕150年にあたる第4回では家具デザイナーの指導のもと、彼の作品にも登場
する“ゴッホの椅子”を制作。ステンドグラス製の『ひまわり』『アルルの跳ね橋』などとともに会場を彩った。

■エッシャーの眼「でんぐりでんぐり」
第8回の「エッシャーの眼」では、“ だまし絵” で有名な版画家・エッシャーの作品に登場する架空の生物「でんぐりでんぐり」を制作。参加した子どもたちの立体足型が、そのまま作品に使われた。

■廃棄される傘の布地を活用
江戸時代の絵師・尾形光琳生誕350年の第9回は、代表作『燕子花図屏風』をイメージした庭に挑戦。花びらには廃棄処分される傘の布地を再利用した。


■大震災や世界文化遺産登録を反映した作品も
東日本大震災が発生した第12回は、復興を願う「スマイルツリー(笑顔の木)」、学園ゆかりの地である三保松原を含む富士山が世界文化遺産に登録された第13回では、富士山をテーマに作品を作り上げた。