Column:Interview
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2020年8月1日号
ITサービスで超高齢化社会を支える
【卒業生訪問!】
株式会社カナミックネットワーク代表取締役社長
山本拓真さん(工学部1999年度卒)


65歳以上の高齢者が総人口の3割に迫り、いまや超高齢社会に突入した日本では、増え続ける医療費や介護費の問題が深刻化している。山本拓真さんが代表取締役社長を務める株式会社カナミックネットワークは、医療や介護、子育てといった社会保障分野に特化し、多職種の人をつなぐクラウドサービスを提供しているIT企業だ。

大学卒業後は大手電機メーカーでトップエンジニアとして活躍していた。しかし、「プログラミングでインド人や中国人に勝つのは難しい。勝ち目があるのはクリエイティブ。世の中のニーズを見つけてソリューション(問題解決)を考え、創造する仕事がしたい」と2005年、父親が創業して5年目のカナミックネットワークへ転職を決めた。

介護や医療業界は未知の領域だった山本さんは、現場に入ることから始めた。「介護施設に行ったり、在宅医療の先生に同行して仕事内容を間近で見たりする中で感じたのは、介護従事者の高齢化とさまざまな問題へのソリューションが全くないことでした」

誰もが使いやすいシステムで地域社会やまちづくりに貢献
ある調査によると、「介護職の労働時間の約3割は事務作業」だという。「日本ならではの書類やはんこの文化をIT技術で改善していけば、現場の人たちにより効率よく働いてもらえるのではないか」と山本さん。

ITに不安があり、新しいシステムの導入に踏みきれない事業者も多いが、「『ITリテラシーが低い』という言葉を使わないことが信念。切符を買えば電車に乗れる、リモコンでテレビのチャンネルを替えられるというように、誰でも使えるようにすることがエンジニアとして最も重要だと考えています」。

14年に代表取締役社長に就任すると、18年には東証一部に上場させた。従業員1人から始まった会社を、介護IT業界で唯一の一部上場企業に育て上げた裏には、東海大での学びがあるという。

在学中は、「毎週のように徹夜しなければならなかった実験リポートが大変でした」と振り返る。「当時はパソコンが広まりつつある時代でしたが、先生から“パソコンは禁止”と言われ、リポートは指定の用紙にボールペンで手書きしました。でも、仲間と苦しみを乗り越え、あきらめずにやり遂げることで根性が鍛えられました」

「人々の老後を活性化させ、たとえ体が悪くなってもみんなに支えられて充実した人生になるように支援していきたい。そのための地域社会やまちづくりに取り組む」と話す。チャレンジ精神を持ちながら、幅広い分野で社会に貢献していく。