特集:東海大生200人に聞きました
2021/11/01 どこに満足? 不満足?
2021/09/01 Q.あなたの地元の「ソウルフード」は?
2021/08/01 「SDGs」から考えよう
2021年11月1日号
どこに満足? 不満足?
自分を見つめ直してみれば

新型コロナウイルス感染症の影響による「ステイホーム」や「大人数の飲食禁止」といった行動の制限が、2年近くに及んでいる。この期間が、自らを見つめ直し、自身と対話する機会になったという人もいるのでは。今、東海大生たちは自分をどのように捉えているのだろうか。100人に聞いた。(構成・編集部)

「自分自身に満足していますか?」との質問には59%が、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えている。内閣府が発表した「令和元年版 子供・若者白書※」(以下、白書)で同様の回答をした人は45.1%。調査の時期や対象年齢が異なるので単純に比較はできないが、東海大生は日本の若者と比べて自分に満足している人が多いといえるだろう。

「満足を感じるところ、満足を感じるとき」に関する質問には、「決めたことを継続できる」(工学部3年・女子)、「行動力があり、積極的に物事に取り組むことができる」(医学部2年・女子)といった前向きな性格や、「人に感謝されるとき」(文化社会学部3年・男子)、「他人から、頑張っているね、すごいね、と言われると肯定感が上がる」(健康学部4年・女子)など、他者から認められたときを挙げる学生が多かった。

中には、「特に不満なく過ごせているから」(政治経済学部2年・男子)という回答も。「感情を打ち明けられる家族や友人がいる」(情報理工学部3年・女子)のように、人間関係を挙げる学生もいた。

「満足していないところ、不満足を感じるとき」については、「最後までやりきることができない」(体育学部1年・男子)、「成功体験がない」(情報通信学部4年・女子)、「短所ばかりに目がいってしまう」(海洋学部4年・女子)など、克服すべき課題ともいえる回答が目立った。

また、「人と違うのは当たり前なのに比べてしまう」(基盤工学部3年・女子)のように、他人と比較して劣っていることを不満に思うという回答も複数あり、「自粛生活で家にこもってから自己肯定感が上がり、ストレスもなくなってきた。無意識に人と比較していたのだと気づいた」(文化社会学部1年・女子)と分析する学生もいた。

「自分には長所があると思いますか?」との問いに「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた学生は76%(白書では62.2%)。「自分は役に立たないと強く感じますか?」との問いに「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」と答えたのは70%(白書では48.2%)で、いずれも日本の若者と比して、自分を肯定的に捉える者が多い傾向がみられた。(※調査時期:平成30年11〜12月/調査対象:満13〜29歳の男女)

学生たちの声から
Q.自分のどんなところに満足していますか。またはどのようなときに満足を感じますか?
▼ 明るくて誰とでも仲よくなれる。人の嫌なところも受け入れる(文化社会学部3年・女子)
▼ 学力、身体能力など特に困るような成績ではなかったので、今まであまり苦労したことがない(工学部3年・女子)
▼ コロナ禍でも充実した生活を送れている(国際文化学部2年・女子)
▼ メンタルが病まないようにするのがうまい(経営学部2年・男子)
▼ 多趣味でいろいろな友達ができたこと。何でも興味を持つところ(医学部4年・女子)
▼ 大学だけでなく学外の活動にも多く参加して学べている(農学部2年・女子)
▼ すべて、顔も好きだし性格も好き(健康学部2年・女子)
▼ 人を喜ばせるのが好きなところ。人や社会の役に立ったと実感したとき(観光学部3年・女子)

Q.自分のどんなところに満足していないのでしょうか。またはどのようなときに不満足を感じますか?
▼ 即、行動できない(理学部2年・男子)
▼ 人と接するのが苦手で、うまく話せず反省することが多い。不器用でほかの人ができることができなかったり、時間がかかったりするから(海洋学部3年・女子)
▼ インターンシップの選考に落ちると自己肯定感が高まらない(観光学部3年・男子)
▼ 自分に自信がない、考え方がネガティブ、神経質(文化社会学部3年・女子)
▼ 思いどおりにならない自分がいる(教養学部2年・女子)
▼ アルバイトや就活などでミスをしたとき。自分は無力なのではないかと思う(海洋学部4年・男子)
▼ 目標を達成できないとあきらめてしまう(医学部1年・女子)

留学生に聞きました

本アンケートには留学生30人も協力してくれた。「自分自身に満足していますか?」との問いに、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えたの70%。満足している点として、「独立している」「自己負担で留学している」「日常の問題を自分で解決できる」など自立心を挙げる学生が目立った。「自分を支えてくれる周囲や家族」についての回答もあった。

一方、満足していない点として、「英語が苦手」「人前で話すのがうまくない」など、言語力に関する意見が複数あったほか、「優柔不断になりがちでチャンスを失う」「自分の背中を押したいができない」といった回答もあった。

「自分には長所があると思いますか?」との質問に「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答したのが93%と多かった半面、「自分は役に立たないと強く感じますか?」との質問に「思わない」「どちらかといえば思わない」と答えたのは53%だった。

留学生たちが、「文化や習慣が異なる環境で学ぶ」という自らの選択や自身の長所を肯定しながら学んでいる姿がうかがえた。

深い話ができる友人をつくり
自分を閉じず外に目を開いて

スチューデントアチーブメントセンター 
田中彰吾 教授

日本の平均的な若者像から考えて、東海大学では自分を肯定的に捉えている学生の割合が高かったのはうれしいことでした。多くの学生が自分の長所を認め、前向きに学び、成長を実感できているのだと思います。またこの結果には、学生たちが育った家庭の状況や、東海大の教育環境も反映されているといえるのではないでしょうか。

自分に満足できないからといって「ダメだ」とは思わないでください。自己アイデンティティを模索する青年期にあってはごく自然なことです。青年期にはさまざまな面で自分と他人を比較しがちです。少しでも劣っていると落ち込み、ちょっと優れていると有頂天になって、落胆と高揚の間を揺れ動く。そんなときは冷静に自分を見つめることも必要でしょう。

「自分が役に立つか」を考える際には、「どんなときに、誰の役に立てるか」という視点を持ってください。評価の軸は1つではなく多様であることを意識しながら、学んでほしいと思います。

学生たちに接していると、自己アイデンティティを確立していく過程には、「生きる意味」といった深い話を共有できる友人が決定的に大切だと感じます。自分に満足していない学生たちのコメントからは、「自身の内面に絡め取られて閉じている」という印象を受けましたが、実は外に目を開かせてくれるのが友人との深い話なのです。

自分にはないが相手にはあるものや、その逆を発見して視野が広がっていく。そうすれば自然に自分に自信が持てるようになるはずです。もちろん家族でも先生でもいい。ぜひ深い話ができる相手を見つけてください。



たなか・しょうご 東京工業大学大学院社会理工学研究科修了。博士(学術)。身体性の観点から心の科学の哲学的基盤を解明している。

 
【学生アンケート調査】●調査期間:2021年6月30日〜8月18日●調査対象者:東海大学在学生(湘南校舎:75人、代々木校舎:8人、高輪校舎:11人、清水校舎:14人、伊勢原校舎:10人、熊本校舎:6人、札幌校舎:6人)●調査回答数:130人●調査方法:東海大学新聞WEB版のアンケートフォームから回答を得る