News:研究
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2021年9月1日号
身体性の観点から哲学・脳科学・臨床をつなぐ
【スチューデントアチーブメントセンター】
田中教授がオックスフォードから学術書出版

スチューデントアチーブメントセンターの田中彰吾教授が共同編集・執筆した『Body Schemaand Body Image:NewDirections』(身体図式と身体イメージ:新しい方向性)がこのほど、オックスフォード大学出版局から刊行された。

身体図式と身体イメージの概念や双方の関係を哲学的に整理して解説するとともに、その視点を脳科学の知見や脳神経系疾患などの診断・治療につなげ、身体性に関する研究や臨床への新たな方向性を示唆した学術書。 企画・編集は、田中教授とイスラエルのヨハイ・アタリア氏、アメリカのショーン・ギャラガー氏の3人の哲学者が担当し、編者をはじめ、哲学、心理学、神経科学、精神医学、リハビリテーション、ロボティクスなどの分野で身体性の研究に取り組む、10カ国以上20人が執筆した。身体図式と身体イメージは、身体と意識にかかわる概念。身体図式は自転車の乗り方のように体が覚えていて意識せずに機能するシステムで、事故等で失った体の一部が存在しているように感じる症状(幻肢)などと関連する。一方、身体イメージは体のシルエットのように意識できるもので、体形を過剰に気にすることで発症する拒食症などに関係している。

「幻肢や摂食障害といった症状が起こる原因は、身体図式と身体イメージの観点から説明できると考えられ、適切な診断・治療のためには双方を明確に区分してどちらが原因かを見極めることが重要です。それを提案し、研究や臨床に生かすのが本書の目的です」と田中教授は語る。

同書は、哲学的な理論の解明、脳神経科学の最新知見、具体的な病理の理解の3パートで構成。田中教授は、「運動学習における身体図式と身体イメージ」をテーマに、脳と身体、環境との関係や、目的とする体の動きをマスターする際のコツについて論じた。

「出版のきっかけは、2018年3月に東京大学でアタリア氏と企画開催した本書と同名の国際シンポジウムでした。盟友2人と共編著した本を、学術書出版の最高峰である出版局から刊行できてうれしい。ぜひ多くの研究者に読んでほしい」と話している。

 
(写真上)田中教授
(写真下)『Body Schema and Body Image:New Directions』