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2021年2月1日号
母国での水素技術活用を目指す
エネルギー輸送網の整備を提唱博士学位の審査に合格果たす
大学院総合理工学研究科
ジョルダヤコヴァ・サウレさん
東海大学で学んだ技術を使って母国・カザフスタンのエネルギー問題を解決したい―。大学院総合理工学研究科3年のジョルダヤコヴァ・サウレさんは、同国の風土や地形を踏まえたエネルギー輸送網を提唱する論文を執筆し、昨年12月12日に開かれた公聴会で博士の学位取得に必要な審査に合格した。
「カザフスタンは、地方に水資源とエネルギーを供給できる環境がある一方、首都ヌル・スルタンの周辺ではどちらも慢性的に不足しています。課題を解決できる社会システムを提案できれば、国の発展にもつながると信じています」と話す。土壌汚染や環境問題に関心があり、日本の技術を学びたいとカザフスタン民族大学で日本語を勉強。2011年に政府が提供するボラシャク奨学金を得て教養学部に留学した。
そこで出合ったのが水素吸蔵合金の技術だ。「ふんだんに降り注ぐ太陽光で発電した電力を使って水を水素に変換すれば、水素吸蔵合金に吸収させられる。合金を都市部に運び水素燃料電池を介して電気と水を取り出せば、カザフの問題解決に活用できると考えた」と話す。
論文では、母国で利用する際に最も有効だと考えられる合金の材料や加工法を提案。さらに、平地が多い地形を生かし、合金を鉄道を使って地方から都市部に輸送するシステムを提案した。
「東海大では多くの先生や友人と出会い、幅広い分野について学べました。10年間の経験を生かし、これからも研究成果の実用化に向けて歩み続けます」