特集:東海大生200人に聞きました
2011年2月1日号
携帯電話は社会とつながる窓
自分の分身? それともトラブルの元?

今や持っていない人を探すのが難しいほど、私たちの生活に浸透している携帯電話。社会人になってから使い始めた30代の記者にとって、携帯電話は「あれば便利だが、なくてもなんとかなる」程度の道具だが、大学生にとってはどんな存在なのか? 東海大生200人に聞いた。

「携帯電話( P H S、スマートフォンを含む)を持っていますか?」と聞いたところ「持っている」と答えた学生は99%。予想通り、今やほとんどの学生にとって、携帯電話は欠かせないモノになっているようだ。
 

「いつから携帯電話を使っていますか?」との質問には、「中学生から」89人、「高校生から」86人、「小学生から」22人、「大学生から」3人。中学から高校で持ち始める学生が、全体の8割を超えることが分かった。

文学部広報メディア学科の水島久光教授は、「大人にとって携帯電話は電話をかける、メールを送受信するための『道具』ですが、大学生にとってはファッションや食事と同じくらい日常的なもの。自分の目や手の延長線上であり、無意識に接する『環境』に近いのでは?」と話す。

道具ではなく体の一部となると、なくしたときに喪失感を味わうほか、「とりあえず持っていると安心する」(文学部1年・女子)と思う学生がいるのも納得できる。

気をつけたい迷惑行為やプライバシー侵害

それでは、学生たちは携帯電話に何を求めているのか? 「携帯電話に求めるもの」として最も多い181人が挙げたのが、「電話やメールを行う道具」という通信機器本来の機能。続いて「緊急時の連絡手段」128人、「情報を得るための道具」124人などの声が挙がった。

電話やメールだけでなく、カメラやワンセグ、ミニパソコンとしての機能も充実している携帯電話。しかし、一方では「テスト中に携帯が鳴った」(情報理工学部2年・男子)、「友達に送るメールを親へ送ってしまった」(教養学部3年・男子)などの失敗談も。

「携帯電話を使う上で、どんな行為を不快に感じますか?」との問いには、「電車やバスの中で平気で話す」151人が最も多く、「人や食べ物など、被写体(または店主)の了承を得ずに写真を撮る」32人、「夜中にメールが来る」17人などが続いた。最近では、Twitterがらみのトラブルも話題に上ることが多い。誰もが当たり前に持つ時代だからこそ、あらためて使う側のモラルとマナーが問われる。

受け手の立場や気持ちなどを考慮する余裕を持つことがトラブルを未然に防ぎ、円滑なコミュニケーションへとつながるはずだ。携帯から送るメールや通話の相手だけでなく、その先にある社会全体ともつながっていることを肝に銘じておく必要がある。(構成・編集部)


携帯電話を「環境」から「道具」へ
文学部広報メディア学科 水島久光教授

携帯電話が普及し始めた1990年前後に生まれた大学生は、ピンとこないかもしれませんが、携帯が社会へ与えたインパクトは、テレビと同様、またはそれ以上に大きいと思います。それほど私たちの生活環境は変わりました。

しかし、「いつでも、どこでも」連絡を取れるこの便利な道具は、一方でより深い孤独感やコミュニケーション能力の欠如をもたらす場合もあります。例えば、学生から件名や名前が書かれていない携帯メールが送られてくると、現代は人間関係の手続きが簡略化された時代であるように思えます。

パソコンでメールを送る際、件名を入れない、自分を名乗らない(署名をつけない)という人はあまりいないはずです。携帯メールだとこれらの行為が略され、なおかつパソコンメールほど文章を推敲しない。より感覚的で受け身の環境だと思います。しかし、だからといって携帯の利用を制限したり、持たせないのはナンセンスです。携帯をいかに主体的に使うか、そのためにはまず、携帯でどのように遊ぶかを考えてみてはどうでしょうか。

遊ぶといってもモバイルゲームではありません。携帯の動画機能を使ってショートムービーを作るなどアイデアを駆使し、楽しみの中から共感や連携といった社会性を身につける。「環境」になった携帯を、再び「道具」に戻す過程が必要だと思います。

学生たちの声から
▶ 携帯電話で通話しながら歩いていたら、バイクと接触しそうになった(生物理工学部1年・女子)
▶ 留学中の友達と連絡を取るとき、国際電話だと料金が高く、手紙だと時間がかかる。その点、メールだと金額や時間を気にせずやりとりができてよい(情報通信学部2年・女子)
▶ 会いたいときに会うことができない人といつでも連絡を取り合えるので、遠くにいてもつながっている感じがする(農学部4年・女子)
▶ メールだけだと相手の心をつかむのが難しい。メールをしてこちらが勝手に怒って相手を不快にさせたことがある(文学部3年・男子)
▶ 中国語の発音を携帯に録音して先生に聞いてもらい、発音を直してもらった。ボイスレコーダーを買うお金がなかったので助かった(文学部1年・女子)
▶ 充電が切れたとき、ソーラーフォンで助かったと思ったら太陽が出ていなくてどうしようもない気持ちになった(理学部3年・男子)
▶ 人が倒れているとき、公衆電話を探さなくても救急車を呼ぶことができた。とまどっていても、番号を登録していたのですぐにかけられた(教養学部3年・女子)
▶ 迷子になったとき、ナビサイトに助けられた(海洋学部3年・男子)
▶ 勝手に出会い系サイトに登録され、夜中にずっとメール着信が止まらなかった(法学部1年・男子)
▶ SNSに勝手に登録されていた(工学部3年・女子)
▶ 3年生の2、3月ごろは会社説明会ラッシュで、予約を取るのに苦労したので早くスマートフォンにしたい(文学部4年・男子)
▶ 携帯からのブログ使用が可能になったため、誹謗中傷やブログ炎上などのトラブルが増えたと思う(海洋学部2年・男子)
▶ 携帯のいじりすぎで確実に視力が落ちた(体育学部2年・女子)
▶ テストの範囲を友達がメールで教えてくれたり、悩みごとを電話で聞いてもらえたときは助かった(観光学部1年・女子)