News:研究
2018年10月1日号
古代エジプトのファイアンスを再現
【文化社会学部×工学部】
文理融合研究で世界初 国際学会で注目集める

文化社会学部の山花京子准教授と工学部の秋山泰伸教授の研究グループが、古代エジプトや西アジアで装飾品やお守りなどに広く用いられていた焼き物「ファイアンス」の製造法を世界で初めて解明した。9月4日から7日までトルコ・イスタンブールで開催された国際ガラス歴史協会の学会で、山花准教授が研究成果を発表。会場に集まった研究者から大きな注目を集めた。

ファイアンスは主に美しい青色を基調とするガラス質の焼き物で、紀元前4500年から紀元後100年ごろまで用いられていた。当時は同様の色を持つトルコ石やラピスラズリが貴重だったことから、その代用品として使われていた。ビーズ状に加工されたものや、豊穣や再生を意味するモチーフが描かれた器などさまざまな種類の遺物が残っており、人々の生活の中で広く用いられていたと考えられている。

一方で、紀元前1世紀ごろに吹きガラスの製法が編み出されると急速に衰退。古代エジプトでは製法が口伝で伝えられ、さらにガラスより工程が複雑だったため、技術が失われたといわれている。

1998年ごろからファイアンスを研究してきた山花准教授は、「復元に向けた研究は60年代に始まったが、これまで世界中で誰も立体物を作れなかった。それが解明できたことは人類の技術史を知るうえでも画期的な成果」と語る。

化学との出会いが新発見につながる
「ファイアンスを復元できたのは、理工系学部や研究所の先生との連携によるところが大きい」と山花准教授。工学部では秋山教授のほか宮沢靖幸教授、葛巻徹教授と古代技術の解明を目指す共同研究を実施してきた。秋山教授とは昨年、古代エジプトで副葬品として用いられていた純硫黄製のビーズ復元にも成功している。

秋山教授は、「山花准教授が持つ歴史学の知見と、我々が持つ化学合成の知識を結びつけたときに新たな発見が生まれた。技術史を知ることは私たちの先端研究にも参考になる面が多い。今後もこの研究をより深めたい」と話している。

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(写真)研究グループで再現したファイアンス