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2018年10月1日号
「ファイアンス」再現のカギとは?
山花准教授・秋山教授に聞く─

古代エジプトなどで広く用いられていたガラス質の焼き物「ファイアンス」の製造法を解明した、文化社会学部の山花京子准教授と工学部の秋山泰伸教授に、研究の背景を聞いた。

ファイアンスの研究は約50年前から本格的に始まり、化学的な分析や残された壁画などから大まかな原料や手順は判明していた。

古代の人々は主原料の石英に炭酸カルシウム、ナトロン(重曹に似た物質)、銅を含む化合物などを混ぜて乾燥させ、成形。焼成は素焼きや本焼きといった工程を経ず、1回のみだったという。山花准教授は、「基本的には現代の焼き物と作り方は一緒。しかし、分析結果から、ファイアンスには陶土が使われていないこともわかっていた。だが成分分析どおりに材料を混ぜても原材料は水あめ状になるだけで立体にはならなかった」と振り返る。

水あめ状のファイアンス練粉に成形可能な硬さを持たせようとはちみつ、牛乳、アラビアゴムなど、さまざまな材料を混ぜて実験してきたが、どれも失敗だった。

研究に行き詰まった山花准教授は秋山教授に相談。意見を交わす中で、ピラミッドの石と石の継ぎ目に漆喰が使われていたことを秋山教授が知ったことが突破口になった。「漆喰は、水酸化カルシウムを水で溶いたもので、空気中の二酸化炭素と反応すると硬い炭酸カルシウムに変化する。炭酸カルシウムはファイアンスから検出されているため、成分分析結果とも矛盾しない。これならうまくいくのではないかと考えた」と振り返る。
 
その後、混ぜる際の温度や濃度などを工夫し、昨年11月ごろに立体物の成形に成功し、温度条件を幅広く変えてもきれいな色が出ることも明らかにした。これによって、色のもととなる銅が身近にあったエジプトでは、青いファイアンスが比較的作りやすかったことがわかった。

遺物として出土しているファイアンスは高さ2メートルにも及ぶものもあるが、それらの復元には至っていないと山花准教授と秋山教授。「時代が下ると青以外にも緑や黄色のものも作られているが、それらの製法も十分には解明できていない。さらに研究を続け、当時の技術の完全復元を実現したい」と語っている。

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