News:付属諸学校
2010年12月1日号
付属高輪台高「2010年度SSH成果報告会」
ディベートで科学的思考を磨く

ディベートを通して生命や環境をめぐる科学の問題を考えよう─。付属高輪台高校(港区)で10月26日、生徒によるディベートを取り入れた授業が公開された。「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)成果報告会」の一環で行われたもの。同校では2007年度から新規5年間の継続指定を受けてSSHの活動を展開している。当日の様子を中心に、4年目を迎えた同校の取り組みを紹介する。

今回公開された授業は、3年生対象の「科学倫理」。科学を歴史や生活の中でとらえ直し、科学技術の進むべき方向を考える力や倫理観を養う科目で、今年度はSSHクラスの生徒45人が受講している。生徒たちは1学期に、科学と歴史・思想とのかかわりを国語や芸術、保健体育など各教科の教員や外部講師から学習。7月からは関心あるテーマごとにグループリサーチを進め、夏休みには八ツ場ダムや特許庁なども見学した。それらの成果発表の方法として、今年度からディベートを採用。実施責任者の梶川克之教諭(地歴公民科)は、「科学の諸問題にはメリットとデメリットの両面がある。双方の立場から議論するディベートは、課題を正しくとらえるために最適な手法」と言う。

安楽死の是非めぐり活発に応酬を展開

当日のテーマは、「日本は積極的安楽死を法的に認めるべきである。是か非か」。夏の「学園オリンピックディベート部門」でも取り上げられ、生徒たちが関心を持ち続けているテーマだ。「肯定側」「否定側」の選手として各4人が登壇。他の生徒は7組に分かれてジャッジを担当した。

本番では肯定側が現状や問題点を分析。積極的安楽死を認める条件や法整備、終末期医療推進の必要性などを述べ、「尊厳を保ちつつ安らかな死を迎えることは患者のQОL(クオリティオブライフ)確保への選択肢を広げる」と主張した。これに対し否定側は、「むしろQОLを奪うことになる」と反論。資料を引用しながら「ホスピスなどが整備されつつある今、生きたいと願う患者に無言の圧力となるのでは」とデメリットを強調した。

ディベートで身に付く論理的な考え方
大人の間でも意見が分かれる難問に、双方とも緊迫したやりとりで挑む。熱心に聞き入っていた生徒たちの判定は5対2。肯定側の勝ちとなった。否定側で発言した岩男拓実さんは「肯定側にも否定側にも一理ある難しいテーマだった」と振り返る。肯定側の平田将大さんも「調べると物事の両面や新たな側面が見えてくる。論理的に考える力を養えた」と話す。同校のSSH運営指導委員として公開授業に臨んだ医療技術短期大学の灰田宗孝学長は、「結論より皆で一生懸命考えるプロセスが重要。よく調べ、本質をつかんだ討議になった」と講評した。

 
(写真上)肯定側代表の立論。円台を挟んで奥が否定側

(写真下)ジャッジ側も熱心に討議
Key Word スーパーサイエンスハイスクール
文部科学省が指定する「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」は、未来を担う科学技術系の人材育成を目的に、理数系教育の充実を図る取り組み。指定校は研究機関などと連携し、独自のカリキュラムを開発する。高輪台高は2004年度から3年間、07年度から5年間の新規指定を受けている。