Column:Interview
2011年9月1日号
海外研修航海を振り返る
感動、経験、友人との出会い

来年2月15日に出港する「第43回海外研修航海」の研修学生募集が始まる。船での共同生活や寄港地での出会いを通じて、学生はどのように成長していくのか─。前回参加した岩下真也さん(学生長)と田野香澄さん、そして副団長を務めた岡田工准教授に振り返ってもらった。

仲間との交流は下船後も続く
岩下真也さん(産業工学部2010年度卒)

大学4年の8月に体操競技部を引退するまでは部活一筋だったので、社会人になる前にいろいろな世界を見たいと思って参加しました。望星丸に乗るのも、海外に行くのも初めて。最初の寄港地となったパラオ共和国・コロールでは、これまで行った海の中でいちばんきれいだと思っていた沖縄より数倍も美しい海を目の前にして、テンションが上がりましたね。

参加学生は、学年も学部もキャンパスもばらばら。ほとんどが初対面の人ばかりです。そんな中、学生と団役員のつなぎ役ともいえる学生長として心がけたのは、相手の話をしっかり聞いて、その人がどんな考えを持っているのかを察した上で行動すること。

船に乗ってしまうと、周りには海しかありません。陸上と違って不便なことも多いけれど、皆でアイデアを出し合ってイベントを開催したりするうちに、互いのことが分かってくる。研修航海で出会った仲間とは、船を降りてからもメールや電話で連絡を取り合う仲。今年の夏休みには、湘南校舎の友人が熊本まで遊びに来てくれたんですよ。研修航海で出会った友人は、今でもかけがえのない仲間です。

41日間の船旅は一生に一度の経験
田野香澄さん(文学部4年)

将来の夢はラジオのDJになること。就職活動を控え、「他人と違う経験をすることが、きっと役に立つはず」と母に勧められて参加を決めました。これまでにも短期留学やホームステイで海外に行ったことはありましたが、研修航海はまるで違う。船内での集団生活や現地の人とのふれあいなど、数多くの経験を積むことができました。航海中に開催した赤道祭では、特技を生かしてDJも務めました。

忘れられないのが、洋上で見た海の青さと星の美しさ。日本から南太平洋を巡る船から眺めた海は、透き通るようなブルーやエメラルドグリーン、そして紺色と多彩な表情を見せてくれた。海にはさまざまな青さがあることを知りました。そして、あたり一面を真っ暗な海に囲まれたデッキ上で見た星の輝き。「地球」という惑星の雄大さを実感できた瞬間です。研修航海は、海洋調査研修船を所有する東海大学の学生だから経験できること。41日間の船旅なんて、一生に一度の経験だと思います。

[寄稿]成長を促す「究極」の科目
チャレンジセンター 岡田 工 准教授

海外研修航海を終えた学生たちは、大きな成長を遂げて帰ってくる。出港前日、これから始まる長い航海への不安と初めて訪れる南太平洋の島々への期待が募り、学生たちの顔も緊張していた。望星丸では、狭い居室に学年や学科の異なる学生が41日間一緒に生活する。シャワーは2日に1回、許可がないと洗濯はできず、水の利用制限もある。普段とは大きく異なる生活に、学生たちは戸惑う。

初日の夕食は船長主催の歓迎会だったが、緊張のせいか皆、口数も少なく静かな食事会であった。船が出港すると多くの学生は船酔いを経験する。自分の体が重く感じ、作業のやる気がなくなってくる。それでも互いに助け合い、信頼しながら最初の寄港地を目指す。最初の寄港地のパラオ共和国は“最後の楽園”と呼ばれ、南太平洋の美しい海と小さな島たちが存在する。今までの船酔いや航海への不安もすべて飛んでいく。

赤道祭は学生自身が企画する船内行事である。この行事は出港の10日後にあり、準備時間は限られている。限られた時間と機材を使ってマネジメント力を培い、素晴らしい赤道祭が実現した。残念ながら天候には恵まれなかったが、団役員も学生と一緒にダンスを楽しみ、研修団が一体となった瞬間であった。 「赤道祭には負けないぞ!」という気力で、他の行事もどんどんパワーアップしていった。このように、学生たちはさまざまな行事や体験を通して「集い力」であるコミュニケーション能力と「挑み力」を身につける。そして、海外研修航海全体を通して「成し遂げ力」が身につくのである。

これらは海外研修航海が終了すると自然に身につく力であり、「大学時代で何をしたか?」と聞かれた時に自慢できる経験となる。何人かの学生は、自分の卒業した高校でこの経験を後輩たちに発表するという。海外研修航海は、「究極」のチャレンジセンター科目なのだ。海外研修航海は東海大学の特色のある教育プログラムであり、修了後に「海外研修航海実習」4単位を修得できるのも魅力の一つである。

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(写真上から3枚目)現地の人との交流を楽しんだ(写真中央が田野さん)
(写真下)望星丸船内での岡田准教授

おかだ・たくみ 1966年静岡県生まれ。香川大学大学院工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。