News:総合
2013年8月1日号
共同研究が10年の節目迎える
留萌市×新星マリン漁協×東海大学
連携の絆を地域活性化に、新しい増養殖研究も検討

北海道留萌市=キーワード参照=と同市の新星マリン漁業協同組合、東海大学による共同調査試験研究に関する事業協定が、2003年の締結から10周年の節目を迎えた。7月13日には、学園の海洋調査研修船「望星丸」(国際総トン数=2174トン)の船内で記念講演会を実施。今年度から市内の東海大学付属留萌臨海実験所長に就任した櫻井泉教授(生物学部)らが講演し、今後の連携について語った。

事業協定は北海道北西部留萌沖を実験漁場に、環境分野や増養殖関連の研究、調査、実証に取り組むもの。03年の調印後から、当時の北海道東海大学が市と漁協から市内三泊地区の漁港脇に施設提供を受け、留萌臨海実験所を開設している。同実験所ではこれまで教職員や学生らによって、リモートセンシング技術による環境モニタリングや、コンブやガラモといった「藻場」が消失する「磯焼け」の対策研究など、多角的な取り組みが展開されてきた。
 
06年度には人工構造物を使ったエゾバフンウニの人工種苗放流の試験事業も実施。近年では中国からのニーズが高いナマコの増養殖研究も行っており、生物学部海洋生物科学科の技術職員らが、人工種苗生産と放流事業の技術開発支援に取り組んでいる。同学科主任の南秀樹教授は、「今後も学生の実習地としての活用を進め、教育研究活動の充実につなげていきたい」と語る。

櫻井新所長が研究紹介、アカボヤの養殖支援も
今回の記念講演会は、今年4月に北海道水産試験場から着任した櫻井教授らの研究紹介を通じて、市と漁協、大学の連携をさらに深めることを目的としたもの。櫻井教授は「藻場が持つ魚類保育場機能とその整備について」をテーマに、コンブやアマモなどの海藻・海草の役割について解説。魚類の産卵場や保育場、エサ場などとして重要な機能を持つことを紹介した。また、水産試験場で取り組んできた北海道沿岸域での調査結果や魚類の増殖場造成事業について語るとともに、「大学では藻場において稚魚のエサとして重要な小型甲殻類の生産性向上に向けた研究に取り組みたい」と話した。

講演会後には、市や漁協の関係者と学生、教職員による懇親会も実施。留萌市の高橋定敏市長は、「市の基幹産業である漁業の振興は市民の願い。10年にわたる連携の歴史を踏まえて具体的成果を挙げるとともに、市の活性化につなげたい」と期待を話した。櫻井教授は、「節目の年を機に10年先の水産業を考え、市が主導しているアカボヤ(ホヤの一種)の増養殖など新しい支援も学生とともに展開していく」と今後の展望を語っている。

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(写真)講演会で藻場の機能について語る櫻井教授。また、北海道東海大学卒業生で、独立行政法人寒地土木研究所の大橋正臣研究員も講演した
Key Word 留萌(るもい)市
北海道北西部・留萌管内の中心都市で、人口は約2万3700人(6月末現在)。江戸時代からニシン漁で栄えた水産業の街で、現在の漁業の主体はホタテ、ウニ、アワビの増養殖など。カズノコの加工地としても知られる。