特集:東海大生200人に聞きました
2011年1月1日号
厳しさを増す3年生の就職戦線
自己分析と企業研究が鍵

文部科学省と厚生労働省は、今春大学卒業予定者の昨年10月1日現在の就職内定率を前年度比4.9ポイント減の57.6%と発表した。就職戦線は厳しさを増し、これから“就活本番” を迎える3年生の中には、不安を抱える学生も多いのでは? そこで今回は、3年生200人に就職活動に関するアンケートを実施。就活に対する悩みや不安を聞いた。

「就職活動に対しどんな不安がありますか?」との問いに、最も多かった答えは「内定がもらえないのではないか」131人。本紙では毎年同時期に同様のアンケートを実施しているが、この質問に関しては1年前の98人を大幅に上回る結果となった。連日、新聞やテレビなどで就職戦線の厳しさが伝えられており、“就活本番”を迎える3年生の不安は増す一方だ。

「就職活動を終えた4年生に聞いてみたいことはありますか?」という問いにも、「何社目で内定をもらえたか」(情報理工学部・男子)、「卒業間際まで内定をもらえなかったときに焦りはなかったか」(国際文化学部・女子)などの声が多かった。キャリア支援センターによると、近年はインターネット上で100社近くエントリーし、エントリーシート(ES)を提出するなどして実際に受けるのが30社から40社。そのうち10社から20社程度、面接に進むのが一般的だという。ES、筆記試験、何度も繰り返される面接と長期化も予想される採用試験。だが同センターの染谷宏次長は「確かにここ数年選考は厳しくなっていますが、面接が1、2回増えたところで、聞かれることや、やるべきことは変わらない」と語る。

就職活動はES作成で決まる!?

企業によって選考の仕方やESの項目、面接の質問事項はさまざまだ。しかし問われているのは、あなたがこれまで何をしてきて、会社に入って何をしたいのか、どんな人間なのかということ。昨年6月に4年生を対象に行った本紙アンケートでは、「ESに時間をかけたので、面接も自信を持って答えられた」(工学部・男子)、「自己PRや学生時代に頑張ったことは、どの企業でも問われるので力を入れた」(農学部・女子)との声が目立った。「志望業界や企業を絞れない」(体育学部・女子)、「面接対策は何をしたらいいのか」(法学部・男子)という3年生の声に、染谷次長は「自己分析と企業研究を繰り返し、ESを練り上げることが大切。困ったときは、キャリア支援課などに相談を」とアドバイスをしている。 (構成・編集部)


就職活動を終えた「4年生に聞く!」

就活本番を迎える3年生から寄せられた疑問・質問の中から特に多かったものを、学生モニターの4年生に答えてもらいました。

Kさん(芸術工学部・女子) デザイナー職に内定
Sさん(文学部・女子)   自動車・営業職に内定
Tさん(農学部・男子)   農業・生産管理職に内定
Mさん(理学部・男子)   大学院進学

3年生の1月ごろは何をしていましたか?
また、何をしておけばよかったと思いますか?


Kさん:ES記入、SPIの勉強、インターンに参加していました。振り返ってみると、人の意見に流されすぎていた気がします。逆に、親の意見に対しては「今の就職活動は違うんだよ!」など、反発しすぎていたように思えることも。「先生や支援サイトの人が言っていたから」など他人任せな考えはせず、「自分の意思で行動する」練習を少しずつでもしていくことが大切だと思います。どれだけ就職活動の形が変わっても、結果は昔と同じく面接などで決まるので、近しい大人にアドバイスをもらうのも手ですよ! また、この時期に就職活動関係の本を読んでおくのもいいと思います。『就活のバカヤロー』(光文社新書)は読みやすくてお勧めです。

Sさん:マスコミ関係の説明会や対策に追われていました。今、振り返ってみると、もっと筆記試験の対策を十分にやっておけばよかったと思います。説明会やセミナーに行くのもいいと思いますが、就職活動の本番は4、5月です。周りに流されず、焦らず、冬の間に試験や面接の対策をしておくのがベストだと思います。

Tさん:地元での就職を希望していたので、地元で行われていた就職セミナーや合同説明会に参加していました。振り返ると、インターネットなども利用して、合同説明会に参加しない企業の情報も集めておけば良かったと思っています。

Мさん:私は2月ごろまでキャリア支援課主催の学内セミナーに参加して業界研究を行っていたほか、学外での会社説明会にも足を運んで学内の説明会とは違った雰囲気を実感しました。しかし、大学4年間では専門の物理学を探究する面白さが分からなかったため大学院に進学することを決め、普段の授業や定期試験を大切に取り組みました。

ESや面接などは、場数を踏めば慣れるものですか?
有効な対策があれば教えて下さい。


Kさん:ESは、いくらやっても自分が理解していなければ良いものはできないと思います。自分の書いたESが会社の方々にどんな印象を与えるのか、考えながら書くといいと思います。自分の書いたものを先生に見てもらったり、就職活動対策本の例を見て勉強するなども良い方法だと思います。ただ、攻略本の中でも「サクッと内定」や「内定の近道」など、「これを読めば簡単に内定がもらえるよ!」というものはあまりお勧めできないものが多かったので注意です。面接では、前回はなぜ失敗したのかをきちんと振り返るうちに、よくなっていくと思います。面接ではその会社や自分の上司になる人の印象がよくわかるので、どんどん場数を踏むのがいいと思います。私の場合、話すネタを作るためや自分をよく知るために、「自分はどういう人間か」を100個書き出し、全ての項目を説明できるようにしました。実際に書き出してみると矛盾点なども見えてくるので、お勧めです。

Sさん:ESは、慣れてきたら思い通りに書くことができました。参考書などを見てやるのもいいですが、私は先輩のエントリーシートを参考にしてやりました。面接に関しては、私自身、人と話すことは好きだったので、あまり苦にはなりませんでした。でも、周りの友人などを見ると、やはり面接で苦労した人が多かったようです。

Tさん:実際にESは出すことはありませんでしたが、ESは事前に用意できるものなので、よく練っておく必要があると思います。面接は場数を踏めば慣れますが、慣れすぎる可能性もあるので気をつけた方がいいですね。

Мさん:ESも面接も、回数を重ねれば慣れると思います。ただ、多くの会社を片っ端から受けるのは適切ではないと思います。数社に絞り、それらの会社で「どんな仕事をしたいのか」「何を成し遂げようとするのか」をしっかり考えたり、企業研究することに時間をかけるべきだと思います。

モチベーションを保つ方法や、効果的に就職活動を進める方法はありますか?

Kさん:「自分のやりたいことを残しておく」という方法はお勧めです。「あの本を読みたいな」というものがあったら買わないように取っておく。「一社面接を受けたらあれを買う!」など、就職活動は嫌でもその先に楽しみがあれば、やる気は出ます。ずっと続けて就職活動をしなければならないというわけではないので、少し休息期間があってもいいかもしれません。少し休み、「これだ!!」と思った会社を見つけた時はその会社に全力投球する。リズムを作ると、少し気持ちが元気になります。

Sさん:周りの内定者の多くは、3、4月から集中して就職活動を始めた人が多かったです。12月くらいから動いていると、どこかで気合が入らなくなってしまう時期があります。私の場合は、2月ごろでした。一般企業の場合は長期戦になることも見越して、あまり早く動くのは控えたほうがいいかもしれません。その間に面接やESでもネタになりそうな課外活動などに積極的に参加してみるのもアリです。

Tさん:モチベーションを保つには、メリハリをつけるのがとても大切だと思います。ダラダラやっていても疲れてしまうだけですから。息抜きの仕方は人それぞれだと思いますが、運動をしたりアルバイトをしたり、自分が楽しいと思うことをやるのがいいと思います。

Мさん:息抜きの仕方としては、卒研に打ち込むとかサークルに顔を出してみるとか、就職活動とは違う環境で気分転換するのがいいと思います。そして、再度、気持ちを新たに挑む。就職活動を進めるには、こまめにキャリア支援センターの方や先生方に相談する方が効果的だと感じました。                                       

就職活動を振り返って、後輩たちへのアドバイスを!

Kさん:就職活動は嫌なものですが、結果が出た時はうれしいですよ! その楽しみを発見できるように全力投球です! 悩んでもいいのです。むしろこの機会に自分のことをしっかり悩むことで、修正するなり受け止めるなり、自分なりに自分のことを知ってゆくいい機会にすることがよいかと思います。

Sさん:就職活動をやる上で一番重要なことは、切り替えの時期だと思いました。5月に志望していたマスコミ業界の春採用が全滅。秋採用まで粘ろうか、まだ採用活動を行っている他企業に変えようかと迷った時期がありました。しかし、周りの人の助言もあり、気持ちを切り替えて一般企業を受けたところ、すぐに2社から内定をもらいました。特定の業界に絞って、まだ就職活動を頑張っている友人もいます。ですから、私の選択が正しかったのかはいまだにわかりませんが、いずれ「ターニングポイント」はやってくるはず。その時は自分の考えだけで判断せず、周りの人とよく相談して自分の道を決めましょう。

Tさん:『リクナビ』や『マイナビ』などの就活専門サイトを使うこともいいですが、本当に行きたい企業がある場合は、電話をするなど積極的にアタックする方がよいと思います。また、身近にいる先輩の話を聞くのもよいのではないでしょうか。

Мさん:よくテレビや雑誌などで、多くエントリーしたり選考を受けたりしたほうが決まりやすいと言われていますが、数が多ければいいというものでもありません。多くの企業を受けると1社を知り勉強する時間が減るので、自分がそれぞれの会社で何をやりたいのか分からなくなります。働きたい会社を絞り、その会社のことをもっと知り、自分に何ができるのかを考えるようにした方がよいと思います。大学生活を振り返ってみると、自分が打ち込んできたものを就職後にどのように生かすかを考えておくとよいと思いますよ。僕は大学院進学を選択しましたが、それも「就活したくないから大学院進学、勉強したくないから就職」と考えて決めるのではなく、「もっと勉強・研究したいから大学院進学、早く社会に出て貢献したいから就職」という視点で考えて決めるほうがいいと思います。

学生たちの声から

▼キャリア支援課で教えてもらった履歴書やESの書き方、就活体験談が参考になった(生物理工学部・男子)
▼少しずつ活動の仕方が分かって、楽しくなってきた(総合経営学部・男子)
▼4月から「キャリア形成」の授業を履修。先生に質問する機会があって助かる(理学部・男子)
▼社会に出ていない私たちは未熟なので、厳しい意見も多く聞きたい(情報通信学部・女子)
▼キャリア支援課に履歴書の相談に行って、アピールポイントのアドバイスをしてもらえて良かった(政治経済学部・女子)
▼保護者対象の就職説明会に両親が出席。協力的になり、話をする機会が増えた(海洋学部・男子)
▼今現在何をすれば就活の役に立つのか、そのつど情報がほしい(文学部・女子)
▼もっと早くからガイダンスなどを開けば、学生の意識向上にもつながるのでは?(教養学部・女子)
▼就職活動は自主的にはやりにくいので、大学のガイダンスや講座を増やしてほしい(農学部・男子)