特集:東海大生200人に聞きました
2013年11月1日号
海外渡航のハードルは高い!?
関心はあるものの実際は……

海外の留学者数の減少や海外旅行離れなど、ここ数年とかく指摘される「若者の内向き志向」。その裏づけとされるのが、文部科学省の統計調査による日本人留学者数の減少や、国土交通白書で示された20〜30代前半の出国率の減少だ。東海大生は海外渡航についてどう考えているのだろう。「内向き志向」との指摘に対する意見についても聞いた。 (構成・編集部)





「海外渡航に関心がありますか?」との質問に、73%の学生が「ある」と回答。そのうち半数以上の121人が「海外旅行に興味がある」と答えた。「留学」77人、「海外ボランティア」26人、「海外インターンシップ」15人と続くように、長期的にじっくり取り組む海外体験を求める学生も少なくないことがわかる。
 
アンケートでは、それらに関心を持つ理由も聞いたが、最も多かったのが「異文化に興味があるから」で85人。「語学力を高めたいから」71人、「人間的に成長したいから」
55人と続き、「将来の仕事に生かしたいから」と「海外で暮らしてみたいから」が同数の34人となった。この結果を見る限り、東海大生に「若者の内向き志向」との指摘は当てはまらないようだ。
 
一方で、半数以上の学生が「渡航経験はない」と回答。「金銭面で余裕がなく、就職活動など目の前のことで精いっぱい」(生物理工学部3年・女子)などの声も目立つ。「渡航回数が10回以上」の学生は6人だけで、その1人は、「一歩を踏み出せないのは、自分の語学力に自信がないなど意識的な問題もあるのでは?」(観光学部2年・女子)と指摘している。
 
アンケートでは、留学についての意見も多く寄せられた。今年5月に発表された日本学生支援機構の調査によれば、東海大は「協定等に基づく日本人学生派遣数の多い大学」で全国5位にランキングされている。留学経験のある学生からは、「外国で生活して初めて
気づく日本のよさ、文化の多様性など、行く先々で新しい発見がある」(教養学部3年・男子)との声が。
 
全日空で客室乗務員・教育担当者として海外渡航にかかわってきた舘野和子教授(観光学部)は、「旅行も留学も、時間に余裕がある学生の特権。積極的な情報収集で自らの世界を広げてほしい」とアドバイスしている。

Q. 「近ごろの学生は内向き」との指摘に対してあなたはどう思いますか?

【そんなことはない!】
▽ますます国際化していくので、少しでも海外を知ることは大事だと思う(基盤工学部1年・女子)
▽知らない世界に踏み出して何かを経験することで、よいことも悪いことも、自分がこれから生きていくうえでの大切な選択肢になると思う(海洋学部1年・女子)
▽海外渡航が好きな人は何回も行っている(文学部3年・女子)
▽これからは国内だけでは解決できない問題がますます増え、外国と協力していかなければならない場面が多くなるはず。海外に関心を持つことは必要だと思う(農学部3年・女子)

【そのとおり!】
▽「日本だけでいい。海外疲れそうだし」という友人がいて驚いた。これからはグローバル化に対応できる人材や日本に固執しない考え方が重要になってくると思う(教養学部3年・女子)
▽たしかに海外に留学する日本人学生は少ないと思う。海外からの留学生は多くいるので、不思議に思う(文学部3年・男子)

【こんな理由があるのでは?】
▽ネット上で情報が簡単に手に入るから、関心が薄くなるのも自然では?( 生物学部2年・女子)
▽景気が悪く、金銭的に苦しいことが原因の一つだと思う。国内旅行で十分楽しめるし、外国人と国内で交流が図れる機会も増えた(情報通信学部4年・女子)
▽治安への不安、金銭面、将来への不安などから、興味を持つきっかけすらなくなっているのだと思う(生物理工学部3年・女子)
▽「野望」を持っている人が減ったからでは?(工学部4年・男子)
▽若者が海外だけではなく、日本のよさに目を向け始めたのかもしれない(国際文化学部2年・女子)
▽海外に行って何をしたいのか明確な理由がないからなのでは?(文学部2年・女子)
▽日本は安全で清潔だし、食事も安心(体育学部2年・女子)
▽海外で勉強することや海外へ旅行することがすべてではないと思う(理学部2年・男子)
▽海外への憧れがなくなっただけ(情報通信学部3年・男子)



海外渡航の達人に聞く


思い切って飛び出せば世界観が変わります!
海外研究会委員長
柄 幹男さん(教養学部3年)


「海外研究会」は、海外渡航に関心を持つメンバーの集まったサークルです。僕も大学生になったら海外旅行を楽しみたいと考えて入会した一人。これまでに研究会の仲間と韓国、中国、台湾を訪れました。アジアなら3日程度で主要な観光地を巡れるし、インターネットで早割航空券などを調べればわかるように、方法次第でそんなに費用はかかりません。一度でも行けば世界観が変わります。「お金がかかる」と思い込まず、情報を精査してほしいですね。僕たち「海外研究会」も相談に乗りますよ。
 
僕はサッカーが好きなので、次はイギリスのサッカー観戦ツアーに行きたいと思っています。スポーツでも美術でも音楽でも、興味のある分野をきっかけにすると、海外渡航がグッと身近になります。



学びを広げ深めるきっかけに
観光学部 舘野和子 教授



ゼミの学生15人に夏季休暇の過ごし方を聞いたところ、ほとんどの学生が海外渡航していました。また、受験生への説明会でも、必ず留学についての質問が出ます。東海大生をはじめ、若者の海外渡航への関心は、実は高いのではないでしょうか。
 
海外では、自分の身を守る安全意識や命の次に大事なパスポートの管理など、日本での日常とは違う緊張感が求められます。現地の人との会話でも、その国の文化的背景を理解し発言に注意を払う必要があります。海外渡航にはそれなりの準備が大切です。また、留学して周囲の学生やホームステイ先の家族から日本のことを聞かれて何も答えられず、それが日本文化を学ぶきっかけになったという学生もいます。
 
いくらインターネットが発達しても、実際に訪れてその場所の空気感を味わうことで、必ず新しい発見があります。「百聞は一見にしかず」が海外渡航の体験なのです。幸い、東海大学には充実した海外派遣留学プログラムがあります。早期から学びの計画を立てて臨めば、長期留学も可能です。苦労してコミュニケーションをとりながら視野を広げる経験は、将来、必ず役立つはずです。