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熊本地震の経験を語り継ぐ

2018/7/1

【阿蘇復興への道】
みなみ阿蘇 野の花コンサートで「語り部」

熊本校舎で活動するチャレンジセンター・ユニークプロジェクト「阿蘇復興への道」が6月17日、熊本県・阿蘇野草園などで開催された「第1回みなみ阿蘇 野の花コンサート~はなしのぶ~」に協力した。

自然保護と地域の文化活動を融合して定着発展させ、地域振興につなげることが目的のイベント。プロジェクトメンバーと基盤工学部の有志学生15人が参加した。会場ではコンサートの警備のほか、「東海大学の活動報告『阿蘇復興への道―南阿蘇黒川地区(学生村)のいま―』」と題して熊本地震の記憶を伝える「語り部」を行った。

リーダーの井手良輔さん(農学部3年)は、「予想以上に多くの方がブースを訪れてくれて驚きました。熊本地震発生直後の2年前と今では阿蘇の状況も変わってきているので、日々の語り部で得た知識や参加者の意見を生かしながら、来場者に南阿蘇の現状を知ってもらえたのではないかと思います」と語った。

同プロジェクトでは、地震で甚大な被害を受けた阿蘇実習フィールドがある熊本県南阿蘇村を中心に、農学部と経営学部の学生約40人のメンバーが、県内外の来訪者の依頼を受けて語り部に取り組んでいるほか、各地で開かれている地震に関するシンポジウムや講演会にも講師として出席。毎年秋には村内にある道の駅「あそ望の郷くぎの」で「南阿蘇大復興祭」も開催している。

井手さんは、「最近では県内でも熊本地震の報道が減り、仮設住宅での生活を続けている人がいることを知らない人も多い。地震を忘れるのではなく、経験を語り継ぐことで、今後起きるであろう災害への対策に生かしてもらえれば」と話す。

地震前の阿蘇を知る3年生が卒業する2020年3月を目途に、熊本地震の経験をまとめた書籍の発行も計画している。メンバーたちは、「プロジェクトにかかわった卒業生らに原稿を寄せてもらい、経験を伝えていきたい」と意気込んでいる。
 
(写真上)写真や資料を使って震災の記憶を伝えた学生たち。副リーダーの河田篤典さん(農学部2年)は、「熊本地震を経験していませんが、阿蘇のために何かしたい気持ちは変わりません。今後も多くの人に地震の経験と阿蘇の魅力を伝えていきたい」
(写真下)南阿蘇で語り部をする井手さん