農学部の実習や研究を行う阿蘇実習フィールドに「農学実習場A・B」が整備され、3月18日に竣工式が執り行われた。農学部と大学院農学研究科が設置されていた同フィールドは、2016年の熊本地震で甚大な被害を受け授業ができない状況となったため、同年7月に熊本校舎に拠点を移して授業が再開されていた。18年度からは、フィールド内の安全が確認できた場所から実習や研究での使用が本格的に再開されている。
今回整備された建物は、実習授業時に熊本校舎から通ってきた主に農学部2年の学生たちの拠点として活用することを目的に、昨年7月から着工された。実習場A、Bともに鉄骨造で、Aは地上1階建て床面積1016・2平方メートル、Bは地上2階建て床面積996・29平方メートルで、どちらも耐震性を高めるために考慮する係数(重要度係数)は文部科学省が原則としている1・25を満たすなど、耐震性の高い建物となっている。
実習場Aには事務室のほか座学を行うための実習室が3室あり、学生が食事や休憩をとるためのスペースとして自販機・給茶イートインコーナーも配置。健康面もサポートできるよう救護室も設けられた。さらに、標本資料保管顕微操作室や環境分析資料処置室もあり、教員の研究活動などにも活用される計画。
実習場Bは1階に農産物試料調整作業室と更衣室やシャワー室を配置。ロフト形式の2階は主に資材の置き場所となる。
竣工式には山田清志学長や荒木朋洋九州キャンパス長(学長補佐)、岡本智伸農学部長ら教職員をはじめ、九州学生会の役員、熊本県の田嶋徹副知事、熊本県南阿蘇村の吉良清一村長など多数が出席。神事で建物の安全を祈願した後、テープカットが実施された。続いて、岡本学部長や農学教育実習センターの阿部淳センター長の案内で参加者が施設を見学した。
山田学長は、「熊本地震後も本学が熊本県で農学教育・研究活動を展開していく決意が形となり感慨もひとしお。建物の完成がこれまで支援をいただいた皆さまへの恩返しの第一歩となる」と語り、荒木キャンパス長は、「実習場の建物を活用して本格的な実習授業も再開する。今後も“南阿蘇村でしかできない農学の教育研究”に取り組んでいく」と力強く語った。
(写真上から)
▼手前の実習場Aは地上1階建てで実習室やイートインスペースを配置。奥の実習場Bは作業室や更衣室などが置かれている
▼山田学長(中央)らによるテープカット
▼岡本学部長(右端)の案内で室内を見学