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学生の思いを灯籠に込める

2016/11/1

南阿蘇村の復興に向けて

平成28年熊本地震からちょうど半年が経過した10月16日、阿蘇校舎のある熊本県南阿蘇村で、農学部の学生が主催して「みずあかりin南阿蘇」が開かれた。熊本市内で毎年10月初旬に行われている竹灯籠を使ったライトアップイベントを南阿蘇村でも実施し、現在は熊本校舎で学ぶ農学部生たちが村を訪れるきっかけにしようというもの。約150人の学生が参加した。

「みずあかり」は12年前から市民有志らによって熊本城周辺で行われてきた観光イベント。主催するみずあかり運営委員会が震災復興ボランティアに取り組む団体「チーム熊本」にも携わっており、チーム熊本に参画していた熊本校舎の経営学部の学生らが仲介し、南阿蘇村での開催を提案した。これを受けた、農学部の橋村さくらさん(3年)ら14人はイベントの実行委員会を結成。約2カ月前から準備を進めてきた。

「熊本地震で村を離れることになりましたが、何かきっかけがないと村にはなかなか来ることはできません。イベントを開くことで、村や下宿・アパートの大家さんたちとのつながりを再確認したかった」と、橋村さんは語る。

イベント当日は、熊本校舎からバスに分乗した学生たちが、会場となった阿蘇校舎に近い長陽西部小学校跡に集合。それぞれが4月まで暮らしていた下宿やアパートの大家さんら村民と再会し、ともに竹灯籠に火をともした。学生たちは、大家さんらが手作りしたおにぎりや豚汁を手に、熊本に移ってからの暮らしや学生生活、最近の村の様子について語り合った。

「南阿蘇村に住んでいたころは、大家さんに家族のように接してもらっていた。地震で村を離れたけれど、会える機会を逃したくなかった」と学生たちは口々に語った。

その様子を見守りながら、実行委員の学生たちは、「熊本校舎に移っても、村のために私たちにできることはあると思います。今後もさまざまな形で村とのつながりをつくり続け、復興の一助になりたい」と前を見据えていた。

 
(写真上)熊本市内で10月8日から行われた「みずあかり」で使われた竹灯籠に火をともした
(写真下)震災で尊い命を失った農学部生3人らに黙祷した