地震直後からボランティア“本業”の簿記試験にも合格
経営管理に役立つ知識として多くの企業で求められる簿記試験の合格を目指し、熊本校舎で活動している「簿記部」。その部員たちが熊本地震を受けて、「生まれ育った熊本のために何かできることをしたい」と「復興支援チームVukki」としてボランティア活動に取り組んでいる。最初の活動は本震から1週間後の4月23日、熊本市災害ボランティアセンターから派遣されて、ポスティングを行った。一軒ずつボランティアを必要としているかを訪ねて歩き、不在宅にはチラシを入れた。
その後も数日おきに希望者を募って各地のボランティアセンターを訪れ、支援活動に出かけた。物資の仕分けや瓦礫の撤去、募金やボランティアセンターの運営など、活動は多岐にわたった。
堀静夏さん(経営学部1年)は、「カレーの炊き出しを手伝ったときに、“ありがとう”と感謝されて、逆にこっちが元気をもらった」と振り返る。
徐々にメンバーが増え、現在は簿記部だけでなく、顧問の大谷泰彦准教授(熊本教養教育センター)のゼミの学生らも合わせた18人が在籍し、農業支援には農学部の学生も協力。日本財団や大和証券福祉財団の助成金も受けている。
リーダーの吉川裕貴さん(経営学部4年)は、「今後は仮設住宅への支援なども必要になってくると思う。風評被害で観光客が減らないよう、地震後の熊本の見どころを紹介するガイドブックなども作っていきたい」と意気込みを語った。
休講期間中も勉強会ボランティア活動に励む一方で、6月12日の簿記試験に向けた勉強も怠ってはいなかった。普段は週に3回程度集まって、1級から3級の合格者が勉強を教えていたが、「地震後から約1カ月の休講期間中は、家が近い学生で集まって教え合っていた。気づいたら明け方になっていたこともある」と吉川さんは笑う。
結果は2級に4人、3級に8人が合格。部で唯一の1級合格者でもある儀間雅俊さん(同)は、「何もしないでいると落ち込むので、勉強とボランティアを両立できたことが結果につながったと思う」と後輩たちの活躍を喜ぶ。大谷准教授も、「12 人の合格は例年以上。本当によく頑張った」とたたえた。
(東海大学新聞9月1日号掲載)
(写真上)おそろいのビブスで活動するVukkiのメンバー
(写真下)益城町で倒壊した家屋の瓦礫を撤去する