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2016年6月1日号
授業再開で復興への新たな一歩
【熊本】キャンパスに笑顔が戻る

5月に入り、熊本地震の影響で休講・休園していた熊本校舎、付属熊本星翔高校、付属かもめ幼稚園が授業を再開し、学生や生徒らの笑顔が戻り始めている。復興支援に向けた取り組みがスタートし、熊本星翔高やかもめ幼では避難訓練が行われるなど、新たな一歩を踏み出した。授業再開の一日、学生や生徒、園児らの様子を追った。

学生たちがボランティア 学びを生かした支援を 

熊本校舎で経営学部と基盤工学部などの授業が再開された5月16日、「みんな元気そうで安心した」と話すのは、学生会執行委員長の若宮大翔さん(基盤工学部2年)。「地震直後から他校舎の学生会が募金活動をしてくれているのをSNSで見ていたので、とても心強かった」と振り返る。 

休講期間中は、多くの学生がボランティア活動に携わった。経営学部観光ビジネス学科の小林寛子教授のゼミに所属する学生たちは、地震の直後から避難所で物資の仕分けや炊き出し、熊本大学と協力して南日本段ボール工業組合が提供する段ボールベッドの組み立てなどを手伝った。 

石原美晴さん(経営学部3年)は、「車中泊でエコノミー症候群になっている人も多い。段ボールベッドで少しでも不安が解消されれば」と話す。山下智史さん(同)と三浦周磨さん(同)は、「熊本で学ぶ仲間として、何か力になりたいと思った。これからもその時々に必要とされることをしていきたい」と続けた。

高齢者の部屋の片づけを手伝うボランティアをした岡田善貴さん(同4年)は、「片づけ終わった途端、おばあさんが泣き出して、“一人ではどうしようもなかった。ありがとう”と言ってくれた。役に立ててうれしかった」という。各地でボランティアを担った学生の力は、復興への大きな力となったようだ。 

さらに那須安寿佳さん(同3年)は、「熊本城や阿蘇神社などが甚大な被害を受けたのは確かですが、風評被害が起きないように、観光ビジネス学科の学生として何か力になれれば」と話し、基盤工学部医療福祉工学科の溝口恭平さん(2年・東熊祭実行委員長)は、「避難所で活躍している医療従事者を見て、将来の夢がより具体的になった。しっかり勉強したい」と前を見据えていた。

チャレセンも活動再開 熊本の底力をアピール

熊本校舎の授業再開を受けて、同校舎を拠点に活動するチャレンジセンター「先端技術コミュニティACOT」や「メカトロマイスター」などのプロジェクトも活動を再スタートさせている。 

「休講期間中もSNSで震災復興に自分たちが何をできるのか話し合っていました」とACOTのプロジェクトリーダーを務める中島祐人さん(基盤工学部3年)。「LEDを使った街のライトアップで被災者の皆さんの気持ちを盛り上げようとか、センサーを用いて建物の傾き判定ができないかとか……通常の活動に加えて、自分たちの得意分野で貢献できないか考えていきたい」 

メカトロは震災でそれまで続けていた新型ソーラーカーの製作がストップ。メンバーたちは活動再開を受けて、さっそく作業に取りかかっている。プロジェクトリーダーの富田恭平さん(同)は、「日程はきついけれど、8月に三重県や秋田県で行われるレース出場に向けて、なんとか完成させたい。こういうときだからこそ、熊本の底力を全国に発信したい」と意気込んでいる。

【熊本星翔高】久々の再会を喜ぶ
安全を守る避難訓練も 

5月9日に授業が再開した付属熊本星翔高校。登校中の電車内でも、偶然乗り合わせた友人や教職員と再会を喜ぶ姿があった。 

「大丈夫だった?」「避難所で過ごした日もあったけど、皆と会えてよかったよ」と口々に話し、昇降口では思わず抱き合う姿も。3年1組の生徒委員を務める河津穂乃歌さんは、「SNSなどでは連絡をとり合っていたけれど、ずっと会って話したかった。家で寝られるといった日常生活がいかに幸せかを痛感した」と振り返った。 

午前10時から開かれた全校集会では各クラスに集まった生徒に飯田良輔校長が、「熊本の復興には、皆さんたちの力と笑顔が必要です。心配事や悩みがあれば必ず先生方に相談してください」と語りかけた。 

続いて行われたホームルームでは、今後の授業予定が担任から説明されたほか、各家庭の状況に関するアンケートの回収やストレスへの対処法などをまとめた「保健だより特別号」も配布された。同じく生徒委員の藤村由佳さんは、「一日も無駄にすることなく、故郷の復興を願いながら高校生活をしっかりと過ごしたい」と話していた。 

なお5月21日には、在校時に地震が起きた場合の対処法を再確認する緊急避難訓練も行われた。朝のホームルームで、訓練の趣旨やアラームの重要性などが各担任から説明された後、3時間目の授業終了直前に実施。生徒たちはアラームが鳴ると同時に机の下に隠れて頭を守るなど初動を確認し、避難経路に従って松前記念サッカー場に避難。原口謙一教頭が、「地震の際には、命を守ることを第一に行動してください」と訓示し、熊本地震の被害者に対する黙祷を全校生徒でささげた。


【かもめ幼】おかえりなさい“かもめっこ”
一人ひとりの歩みに寄り添う
 

熊本地震の影響で休園していた付属かもめ幼稚園が5月9日から、正午までの短縮で保育を再開。281人の園児が登園した。かもめ幼では震災直後から全園児の安否を確認し、施設の安全を専門業者に依頼して点検。受け入れの体制を整えてきた。 

25 日ぶりに登園した園児たちは、先生に「おはようございます」と、元気いっぱいにあいさつ。抱き合って喜ぶ姿も見られ、「先生やお友達に会えて、とてもうれしい」と笑顔で話していた。 

ピアノに合わせて歌ったり、紙製のこいのぼりを作ったりした園児たち。竹内むつ子園長が園内放送で、「怖い地震がありましたが、心配なことがあったら先生に何でも言ってくださいね。頑張りましょう、かもめっこ」と呼びかけると、園中に「はい!」の声が力強く響いた。 

保護者からは、「余震が続き、まだ安心はできませんが、娘が園にまた通え、日常に少し戻れました」との声が聞かれた。 

かもめ幼では5月12日から通常の一日保育を、16日からは休止していた送り迎えのバスを再開し、全園児約380人の多くが登園。地震に備えた避難訓練も5月中に3回実施した。竹内園長は、「大変な災害で、心に不安を抱えている園児は少なくありません。心のケアを大切に一人ひとりの歩みに寄り添っていきたい」と語った。

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(写真上から)
▼避難所となった熊本市立城東小学校の体育館で、救援物資の仕分けなどを担った学生たち。岡田善貴さん(中央)はリーダーとしてボランティアの指揮をとった
▼ACOTは今後のスケジュールなども確認
▼新型ソーラーカーの製作も再開
▼真剣に避難訓練を行う生徒たち
▼すべての教室を巡り園児らと再会の喜びを分かち合う竹内園長(後列中央)