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2020年12月1日号
【湘南】伊勢原団地を交流の拠点に
学生がリノベーション案を発表

昔ながらの団地を、学生と地域をつなぐ拠点に生まれ変わらせる―神奈川県伊勢原市の伊勢原団地12号棟を学生が入居できる建物としてリノベーションし、地域コミュニティスペースも充実させることで周辺地域を含めた課題を解決するプロジェクトが進んでいる。工学部建築学科生と大学院工学研究科生の3チームが9月25日にオンラインで開かれた最終講評会でリノベーション案を提案し、11月6日に湘南校舎で表彰式が行われた。

「近年、団地や公営住宅では入居率の悪化や入居者の高齢化、コミュニティの衰退といった課題を抱えるところが多く、空き家も増えています。建築は本来、ハードの部分をつくるのが仕事ですが、健康学部の先生方にも協力いただき、ソフト面にも目を向けて案を考えました」と指導する山俊裕教授は振り返る。

今回のプロジェクトは、東海大学が今年1月に神奈川県住宅供給公社と締結した連携協定の第1弾として始まったが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて大学は休講に。5月の遠隔授業開始以降は2週間に1度、チームごとにリモートで教員らと打ち合わせ、内容を詰めていったが、本来であれば実施するはずだった現地調査や公社のモデルルームの見学はできず、住民への聞き取り調査も行えなかった。それでも学生たちは、「インターネットで文献や資料、現地の画像などを見ながら案を考えていきました」「遠隔でも3D画像やスケッチでイメージを共有するよう心がけた」と工夫を凝らした。

実施設計や現場にも 参加学生の案が形に
講評会は教員5人、公社職員5人が審査し、表彰式では建築学科長の渡部憲教授から最優秀賞、優秀賞、敢闘賞のチームに表彰状が手渡された。今後は実現可能なアイデアを組み合わせて実施設計が進められ、2022年春の入居を目指す。公社の佐々木匠氏は、「学生ならではの視点で考えられた案は新鮮で、ほかの建物を改修する際にも生かせると感じました。設計事務所との打ち合わせや工事監理などにも参加してもらい、現場で学ぶ機会をつくりたい」と語る。
 
建築学科の岩崎克也教授は、「アイデアコンペと違い、入居するというリアルな着地点がある今回の取り組みは、実学的な教材になりました」と話し、後藤純准教授は、「アフターコロナの世界では、今回の提案にあったような、学生が地域の中で安心して過ごせる共有空間が主流になっていくのでは」と展望を語った。

受賞チームの提案


最優秀賞 Aチーム
茂木涼介さん(大学院工学研究科建築土木工学専攻1年)
幕内稜也さん(同)
相沢悠斗さん(工学部建築学科3年)


1階にウッドデッキや開閉テント、手作りのかまどや菜園を設け、東海大が地域住民向けに開いているワークショップなどを実施できる空間に。居住空間は既存の4部屋を1ユニットとして学生8人分の個室を設けるとともに、土足で利用できるダイニングなどの共有スペースを3部屋作り、そこに面しているベランダを通路として利用し横のつながりも生み出した。「入居することで成長できる」をテーマに、ゆくゆくは学生自身が運営も担う計画。


優秀賞 Bチーム
永渕光啓さん(工学部建築学科4年)
酒井賢一さん(同)
池田健太さん(同)


寸法や色にこだわり、部屋に備えつけの開閉式ベッドや天井部分の収納、壁に取りつける折り畳み式のテーブルなど、狭い個室でも快適に過ごせる方法を考えた。建物の南側には学生が集える場として畑や屋根を備えた「ダンダンテラス」を、北側には地域住民と学生が集う広場「伊勢原ウンジ(イセハラウンジ)」を設置。学生はペアを組んで毎月、地域の課題を解決する企画を発表し、その資料を共有スペースに置いて新入生らにも地域の魅力を伝える。


敢闘賞 Cチーム
小山裕史さん(工学部建築学科4年)
難波豪一さん(同)
山田康太さん(同)


新型コロナの影響で「おうち時間」が増えたことで需要が高まっている観葉植物を学生がPublic Gardenで育てて団地の壁面緑化に活用し、軌道に乗ってからは販売して家賃の補助にすることも可能に。個室ではなく5〜8人部屋にすることで家賃を抑えつつ、人間関係のトラブルがあったときは別の階の学生と部屋を交換する案も。1階にはキッチンや工房、屋内外にイベントスペースを設けることで入居した学生が自由に活用できるようにした。