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学生

2012/06/01

学生たちが日食生中継番組を制作

宇宙の“キセキ”を伝えたい!

金環日食観測プロジェクト2012の中核を担ったのが、全国の拠点から日食の映像を集め、生中継する特別番組「宇宙のキセキ」の配信だ。チャレンジセンターのサイエンスコミュニケーターや文学部広報メディア学科の学生たちが制作に携わり、各地の観測会場で上映されたほか、インターネットのヤフージャパンとユーストリームでも同時配信された。
 

「ただ金環日食を見せるのではなく、そのメカニズムを紹介したり、安全に見るための方法を解説することで、東海大学ならでは、学生ならではの中継を届けたい」。番組制作は広報メディア学科の五嶋正治准教授の指導のもと、同学科の学生18人が担当した。今年3月11日に、チャレンジセンター「3・11生活復興支援プロジェクト」の一環で、東日本大震災関連の生放送番組を制作したメンバーたちだ。3月末から、企画会議やリハーサルなどを繰り返してきた。プロデューサーを務めた中島聖斗さん(3年)は、「これまでの経験を生かして、視聴者に楽しんでもらえる番組にしたかった」と話す。

全国7カ所をつなぎ感動の瞬間を伝える

「おはようございます!」。金環食が迫った午前6時45分、番組司会進行を務めるサイエンスコミュニケーター代表の平田将大さん(教養学部2年)と澄田優希さん(理学部3年)の声が、湘南校舎3号館の「東海大学キャンパススタジオ」に響く。解説役として、宇宙物理学が専門の櫛田淳子准教授(理学部物理学科)も加わっている。番組の前半は日食が起きる仕組みや観測時の注意など、事前に収録したVTRを交えながら進行。後半に入ると、平田さんと澄田さんがスタッフと連携をとり、各地の様子を紹介していく。「太陽の欠け方の違い」や「ベイリー・ビーズについて」など臨機応変に実況を交える。

ハイライトとなった金環食では、和歌山、清水、関東と中継をつなぎ、分割画面で同時に起きている様子も紹介した。「視聴者の皆さんと〝奇跡的〞な時間を共有できたことがうれしい」と澄田さんは笑顔を見せた。

世界中が配信に注目 延べ44万人が視聴
ユーストリームアジア社の発表では、番組の延べ視聴者数は約44万人。日本国内はもとより世界各地からアクセスがあったという。ヤフージャパン担当者の野田信介さんは、「ただ太陽を映すだけではなく、学術や社会性に配慮した内容がこれだけのアクセス数につながったのでは」と話す。

無事に1時間の放送を終えると、スタジオに安堵の表情が広がった。「同時に3万人以上の人が見てくれたと聞いたときはびっくりしました」と制作スタッフの木村和香奈さん(文学部2年)。ディレクターの泉亮輔さん(同3年)は、「天候に左右されるイベントなので不安もあったけれど、各地の日食を無事に中継できた」と充実した表情を見せた。「番組を通じて少しでも天文や科学に興味を持つ人が増えてほしい」と番組に携わった学生たちは口をそろえた。



日食の感動体験を共有 科学で人と人とをつなげたい
生中継の司会を担当
サイエンスコミュニケーター代表
平田将大さん(教養学部2年)

日食などの天文はもちろん、環境や科学全般に興味があり、サイエンスコミュニケーター(SC)の活動に参加。今年度から代表を務めています。プロジェクトでは、日食当日に向けて日食科学教室などの運営を担当。生中継の特別番組では企画構成と司会を務めました。カメラの前で話すのは生まれて初めて。本番前はとても緊張しましたが、始まってしまえば後は〝伝えきる〞だけです。各地の日食映像が入りだした後半は緊張する間もないほどで、1時間はあっという間に過ぎました。

放送中、僕たちのいた湘南校舎は雨が降っていたこともあり、日食の感動を届けられるのか不安もありましたが、ちょうど金環になったタイミングで雲の合間から太陽が顔を出してくれた。自分は「何か持ってるな」、と(笑)。本当にうれしかったですね。SCでは今回の日食について、建学祭の展示やフリーペーパー、サイエンスカフェなどで今後も紹介していきます。その中で、一方的に伝えるだけでなく、多くの人とコミュニケーションを持ちたい。「科学を通して人と人とをつなげる」活動を続けていきます。

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(写真上)湘南校舎3号館にある「東海大学キャンパススタジオ」。日々、文学部の学生らによる番組制作が行われている

(写真下)日食の映像は札幌校舎、付属浦安高校、付属高輪台高校、湘南校舎、清水校舎の東海大学の各機関と、和歌山大学、鹿児島の志學館大学からテレビ会議システムとインタネット回線を使って湘南のスタジオに送信。情報技術センターの職員によって集約された

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