学生
2021/09/01【ライトパワープロジェクト・ソーラーカーチーム】
コロナ禍を乗り越え2年後の「世界」へ経験をつなぐ
東海大学のソーラーカーが“世界”へ向けて再始動――。東海大学スチューデントアチーブメントセンター・ライトパワープロジェクトのソーラーカーチームが、8月9、10日に秋田県・大潟村ソーラースポーツラインで開催された「ワールド・グリーン・チャレンジ」(WGC)ソーラーカーラリーに出場。国際大会でもしのぎを削るライバルチームに大差をつけ、見事に優勝した。
昨年から世界中で拡大した新型コロナウイルス感染症により、ソーラーカーチームも湘南校舎内や活動拠点であるものつくり館に立ち入れず、対面での活動ができない時期が続いた。しかしその間も、「2021年のブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ(BWSC)に向けて、新型マシンの開発などをオンラインで進めてきた」とプロジェクトリーダーの小野田樹晃さん(大学院工学研究科1年)は振り返る。
オーストラリア大陸3000キロを縦断する世界最大級のソーラーカー大会であるBWSCで、東海大チームは過去に2度の総合優勝を誇る。前回大会の19年もトップと僅差の準優勝となり、リベンジを期して新型マシン開発に取り組んできた。
しかし、今年2月に主催者が新型コロナ禍により21年度の大会中止と23年度の次回大会開催を発表。チームでは、メンバーが経験を積み、23年につなげることを目的としてWGCへの出場を決定。東海大が定める新型コロナ対策のガイドラインに沿いながら、準備を進めてきた。
感染対策徹底し現地へ 高性能マシンの真価発揮
WGCは、全国から高校、大学、社会人らによるチームが集うソーラーカー大会。例年は3日間にわたって競技が実施されるが、今回は新型コロナ感染拡大防止の観点から2日間の短縮日程での開催となった。
期間中は、「ワールド・エコノ・ムーブ」=下記事参照=に出場した電気自動車チームも含め30人のメンバーと、プロジェクトアドバイザーで総監督を務める佐川耕平講師(工学部)、監督の木村英樹教授(同)らが現地入り。事前に2回の新型コロナワクチン接種を終え、現地でもマスクの着用など感染拡大防止対策を徹底した。
低空力かつ超軽量ボディに加えて高効率な太陽光発電とモーター技術を誇るとともに、低転がり抵抗タイヤなどによる優れたエネルギー性能を有する19年型Tokai Challengerは、1周目からトップに立つと順調に周回を重ねる。最後は工学院大学とトップを争う展開となるも、工学院大が制限速度違反のペナルティーを犯したこともあり、初日をトップで終えた。
悪天候でルール変更も 2位以下に大差をつける
2日目は台風9号から変化した温帯低気圧の影響で強い雨が降り続いたため、4時間半遅れの午後0時30分からの出走に。さらに、コースコンディション悪化のため1周25キロのフルコースから6キロのショートコースに変更。通常、周回数を競う大会は、2日間の周回数をもとに換算するポイント制で順位を決定する方式となった。トップからスタートした東海大チームは安定した走りを見せ、2位以下に圧倒的な差をつけトップでチェッカーフラッグを受けた。
ドライバーとしても学生たちを牽引した佐川講師は、「大会に向けた準備や、期間中のさまざまな課題への対応などの経験は現場でこそ得られるもの。学生たちは大会を通じて成長を見せてくれた」と成果を語る。小野田さんは、「新型コロナ禍で思うように作業が進まないジレンマもありましたが、自分たちにできる限りの準備をして大会に臨んだことで結果に結びつけられた」と充実した表情を見せていた。
YouTubeで公開予定
YouTube東海大学新聞編集部チャンネルでソーラーカーチームの動画を公開中。ぜひご覧ください!
電気自動車チーム WEM2部門で好成績
ライトパワープロジェクト・電気自動車チームが8月7、8日に、秋田県・大潟村ソーラースポーツラインで開催された電気自動車の省エネルギーレース「ワールド・エコノ・ムーブ」(WEM)に出場。1周6キロのコースを走行し、その距離を競う鉛蓄電池部門オープンクラスに「ファラデーマジック2」=下写真=で臨み準優勝した。また、1周1・1キロのコースを、市販されている電動式のミニカートで走行してその距離を競う「エコノムーブ・ライト」にマシン「INAZUMA VII」で出場し、見事に優勝した。
ファラデーマジック2は、電気系統にトラブルなどがあり思いどおりのエネルギーマネジメントができないといった事態もあったが、トップと1周差の11周回を記録した。ドライバーを務めた石原悠史さん(工学部3年)は、「今大会が初出場となるメンバーも多くいる中、想定していたレース運びができなかった。反省を生かして今後につなげていく」と話す。
INAZUMA VIIのドライバーを務めた亀山裕一郎さん(同2年)は、「出るからには勝ちたいとマシンの開発を進めてきた。ドライバーの体重は軽いほうが有利なので、大会に向けて本気でダイエットし、体重を7キロ落とした成果も出せたと思う。ピットからメンバーたちが後続車両とのタイム差やペースなど適切な指示を送ってくれたことで順調にドライブでき、最高の結果となりました」と話していた。
(写真上から)
▼チャレンジャークラスでの優勝をはじめ、グリーンラリーでも優勝。初めて総合優勝にあたるグランドチャンピオンも獲得した
▼マシンに指示を送る木村教授(左)ら
▼初の総合優勝を遂げた
▼エコノムーブ・ライトを制した「INAZUMA VII」(中央)
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