付属諸学校
2022/01/01付属3校が高校日本一に挑む
バレーボールの全日本高校選手権大会(春高バレー)が、1月5日から9日まで東京体育館で行われる。今年度は付属相模高校、付属札幌高校、菅生高校の男子バレーボール部が各地区の予選を勝ち抜き、本戦出場を決めている。昨年度に続いて無観客での開催となるが、各校がそれぞれの目標に向かって大舞台に挑む。(取材=小野哲史)
【相模高】思いを込め練習に励む
昨年11月の神奈川県予選会で2年連続5回目の春高行きを決めた相模高だったが、決勝ではライバルの川崎市立橘高校に惜敗。瀨木元気主将(3年)は、「出場を決められてホッとしましたが、全国高校総合体育大会(インターハイ)予選と同じく決勝で橘高に負けたのは悔しかった」と振り返る。
今年度から田路尚紀監督(相模高教諭)が就任。昨年度までコーチを務めてきた経験や前監督の流れを踏襲し、「基礎、基本を徹底しつつ、今年度のカラーを付け加える」ことでチームをつくってきた。絶対的なエースがいないため、目指すバレーは「ブロックの的を絞って、打たせて拾うトータルディフェンス」。その意味でポイントになるのが、ミドルブロッカー陣と長谷川杏選手(3年)らサイドアタッカーの決定力だ。
本戦では1回戦を切り抜ければ、2回戦で札幌高とぶつかる。「松田修一監督(札幌高教諭)は、東海大学の3つ上の先輩。一緒に合宿をするなど、ともに学園を盛り上げていこうと切磋琢磨している」と田路監督。
昨年度の春高は「憧れの舞台だったので夢心地でした」と話す瀨木選手も、「最後の春高なので東京体育館のオレンジコートを味わい尽くしたい」と闘志を燃やす。目標はベスト8だが、「春高を特別な試合にせず、一日一日、思いを込めて練習することが結果につながる」(田路監督)と信じて今を過ごしている。
【札幌高】伝統の責任持って戦う
札幌高は昨年11月13日の北海道代表決定戦決勝で札幌藻岩高校をストレートで下し、3年ぶり36度目の優勝。松田修一監督(札幌高教諭)の「(コロナ禍で)合宿などが十分に組めなかったので、1プレーの質を意識させた」という言葉は、特に準々決勝の酪農学園大学附属とわの森三愛高校戦で生かされた。第1セットを落とし、最終セットも接戦にもつれた中、選手の粘りの前に相手が我慢できずに崩れ、勝利を手繰り寄せた。
和田玲央主将(3年)は今大会に向けて「サーブレシーブとスパイクレシーブ、トスの精度の高さが勝負になると思っていたので、とにかく基礎を磨いた」と振り返る。そこが安定したことで、身長193センチの山田祐輝選手(2年)と高いテクニックが持ち味の二川颯斗選手(1年)という両エースが、攻撃面で爆発的な力を発揮できた。
6月のインターハイ北海道予選決勝で敗れて以降、優勝にこだわってもいた。準決勝を突破した時点で全国行きを決めていたが、和田主将は「優勝しか見ていなかった。チームは決勝に行けて初めてスタートラインに立ったという雰囲気でした」と語り、大会後もレシーブやブロックなど守備のレベルアップに励んできた。春高の舞台では「伝統校としての責任を持って、目の前の一戦一戦を戦い抜き、全国優勝を目指して頑張りたい」。
【菅生高】24年ぶりの大舞台
菅生高にとって、昨年10月から11月にかけて行われた東京都予選は苦難の連続だった。「耐えて勝つ」というスローガンをまさに体現してきた。
一次予選では最後の東洋高校戦を前に、得点源の前原蓮選手(3年)が肺気胸で離脱。しかし、会田信一監督(菅生高教頭)が「主将の馬場快人(3年)を中心に長谷川翔乙(2年)や有我颯馬(1年)らが頑張ってくれた」と語ったように、エース不在の穴を全員でカバーして乗りきった。
4校による代表決定戦の直前にはセッターの五十嵐大望選手(3年)が練習中に足をねんざし、万全の状態ではなく、準決勝の駿台学園高校戦は大差の完敗。精神的なダメージを受けてもおかしくなかったが、「まだチャンスはある」(馬場主将)とすぐに気持ちを切り替え、3位決定戦に向かっていった。
相手の早稲田実業学校高等部には6月のインターハイ東京都予選会で敗れていたが、「強化してきたブロックが機能した」(会田監督)ことに加え、この試合から復帰した前原選手が要所で速攻や強打を決めて大活躍。常にポイントを先行し、ストレートの快勝で3回目の春高行きを決めた。
24年ぶりにたどり着いた大舞台。それは、「一つひとつの練習を丁寧に行ってきた」(馬場主将)成果だ。会田監督は「力を出しきれば勝つチャンスは出てくる」と奮闘に期待を寄せた。
(写真上から)
▼チームの主軸を担う瀨木主将
▼試合に勝利し喜ぶ選手たち
▼練習に励む馬場主将
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