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Interview

2016/06/01

今、学生たちに伝えたいこと

特別インタビュー

最大震度7を2度記録し、熊本県内各地などで甚大な被害をもたらした「平成28年熊本地震」。県内にある東海大学の教育研究機関も休講を余儀なくされるなど影響を受けた。熊本校舎の経営学部、基盤工学部などは5月16日に授業を再開したが、農学部は阿蘇校舎の被災により7月1日から暫定的に熊本校舎で授業を再開すべく準備が進められている。そのような状況の中、学生たちに伝えたいこととは――中嶋卓雄九州キャンパス長と農学部の荒木朋洋学部長に聞いた。

“復興”をキーワードに地域に力を与える活動を
中嶋卓雄 九州キャンパス長(学長補佐)

今回の熊本地震は熊本に大きな被害をもたらしましたが、特に4月16日の本震では、農学部の学生3人が志半ばにして尊い命を落とす結果となりました。幸い命こそ救われたものの重傷を負い、今も入院生活を余儀なくされている学生もいます。非常に悔しく残念なことであり、心からお見舞いを申し上げます。

あれから1カ月が経ち、熊本校舎では建物の安全が確認されて授業を再開しました。ただ、現状では余震が続いています。学生諸君には十分に注意して、キャンパスと自宅での生活を送ってもらいたいと願っています。

一方、授業再開までの期間には熊本、阿蘇両校舎の学生たちが熊本市内や震源の益城町など県内各所でボランティア活動に従事していたと聞いています。自らが被災しながらも、災害を新しい力に変え、地域のために行動できる学生たちの姿をとても頼もしく感じている次第です。

他者との連帯を強め積極的に行動しよう

今回の震災は一生のうちに何度も経験するような規模ではありません。そのような事態に直面したとき、人は他者からの支援や自らの行動など人間の本質に触れることになるのです。

だからこそ、学生たちには強く他者と連帯して生活してもらいたい。自らの思いを語り、一人ひとりを尊重しながら意見を聞く。その中で自分がどのようにふるまうのか考え、積極的に動くことが重要です。

授業再開に合わせて、学生たちの活動も再スタートを切りました。本校舎には専門分野や地域と深くかかわるチャレンジセンターのプロジェクトが多数あります。そこに参加する学生たちを中心に、「復興」をキーワードに掲げて地域に力を与えるような活動を展開してもらいたいと期待しています。

また、阿蘇校舎の農学部生については、7月1日から熊本校舎の学生とともに学んでいただくよう、関係機関との調整や準備を進めています。同じ“九州キャンパス”の仲間同士、仲よく学生生活を送ってもらえることと思います。

もちろん、我々教職員も現状を受け止め、最善の授業を提供できるよう備えていきます。そのためにも、よりいっそう情報共有を深め、的確な判断を下していかなくてはなりません。熊本校舎の授業再開を機に、その思いをあらためて強くしています。

学生個々の思い尊重し、きめ細かに対応する
荒木朋洋 農学部長

熊本県内各地に大きな被害をもたらした熊本地震ですが、本学部でも志高く学んでいた、またこれから学びを深めていこうとしていた学生3人が犠牲となりました。学部の責任者として痛恨の事態であり、深く哀悼の意を表します。

また、阿蘇校舎周辺で学生たちとともに暮らし、ときには父母のように温かいまなざしで彼らを見守ってくれた大家の皆さんが運営するアパート・下宿も多くが倒壊するなど多大な被害を受けました。さらに、熊本市街から阿蘇地域へとつながる国道57号線と阿蘇校舎に向かう阿蘇大橋が土砂崩れで失われるなど、キャンパスへのアクセスも重大な影響が出ました。

全員で学位授与式を 熱意を持ってサポート
このような非常事態の発生に際し、大切なのは柔軟な対応であると考えます。まずは“学生が不利益を被ることのないよう”学部やキャンパスの立て直しを進めていかなくてはなりません。

中でも、学習環境はもとより、住環境を整えることが非常に重要です。その際には、学生個々の思いを踏まえ、きめ細かに対処していきたいと考えています。

本学部は、7月1日から暫定的に熊本校舎で授業を再開する予定です。カリキュラムの再設定や授業時間の確保、また実験や実習をどのように行うのか、検討を重ねながら各方面と調整し、準備しているところです。実習や実験を行う場所も外部機関の協力も得て、確保を進めています。農学部にかかわる教職員は誰しもが熱意を持って、学生たちが帰ってくるその日に備えています。 

学生の皆さんには、学年はもちろん、それぞれ置かれている状況が違いますから一概には言えませんが、授業再開に向けて、自ら関心のある分野を中心に学習していてもらいたいと考えています。

私たち教員は、今後も変わることなく全員がそろって学位授与式を迎えられるよう、全力でサポートしていきます。

 
(写真上)「教職員間の情報共有を深め、的確な判断を下していく」と語る中嶋キャンパス長
(写真中)5月16日の授業再開ガイダンスでは、学生たちに向けて「一緒に頑張りましょう」と語りかけた
(写真下)荒木農学部長は「学生が不利益を被ることのないよう立て直していく」と強調

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