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学生

2012/05/01

第43回海外研修航海が帰港

知識と絆を深めた航海、3月11日に震災関連行事も

学園の海洋調査研修船「望星丸」(国際総トン数2174トン)で南太平洋の島々を巡る「第43回海外研修航海」の研修団が、41日間の航海を終え、3月26日に清水港(静岡市)に帰港した。船内で下船式と入国手続きを済ませた総勢160人の研修団は、帰港式の会場に移動し、友人や家族の出迎えを受けた。航海中の3月11日には、昨年の同日に発生した東日本大震災に関する行事を実施。仲間とともに震災を見つめ直す旅でもあった。

帰港式は清水マリンビルで行われ、研修団の家族や来賓、学園関係者らが多数出席。建学の歌を斉唱した後、松前達郎総長が、「仲間と苦楽を共にした経験は、これからの生活に役立つはずです。航海で成長した皆さんの活躍を心から期待しています」とあいさつした。続いて片山恵一団長(工学部教授)、望星丸の河内尚船長、髙橋命(みこと)学生長(国際文化学部3年=当時)が航海の成果を報告。河内船長は「皆さんの協力のおかげで、無事に帰港することができました」と述べた。式の最後には、団旗の返還と修了書の授与が行われた。

2月15日に清水港を出港した研修団は、コロール(パラオ共和国)、ラバウル(パプアニューギニア独立国)など、4カ所に寄港。現地の大学訪問や、船上交流会などを通じて国際交流を図ったほか、遺跡の見学や天体観測などにも取り組んだ。参加学生からは、「さまざまな国の方と直接話すことで、日本と外国の文化の違いを肌で感じることができました」「船酔いに悩まされたこともありましたが、友人の看病のおかげで乗り切ることができました。この航海を通じて、人とのつながりの大切さを学びました」といった声が聞かれた。

片山団長は、「学生たちは船内という限られた空間での生活を通じて協調性を育み、スポーツ大会などのイベント企画から、責任感を養ってきました。この航海で深めた知識や仲間との絆を、人生の支えとしてほしい」と語った。


東日本大震災から1年
洋上から日本を見つめ、復興支援や防災考える

3番目の寄港地・ヌメアを出港し、コスラエへと向かっていた3月11日。1年前に発生した東日本大震災について考える「東日本大震災とわたしたち~震災から一年、そしてこれから~」を船内で実施した。団役員の教職員からの呼びかけをきっかけに学生が企画。震災を振り返り、被災地への支援方法や、防災について考えることなどを目的とした。

行事の進行を担当した副学生長の一戸俊介さん(教養学部3年=当時)は、「行事の内容などは、学生が中心となって、2週間をかけて議論しました。難しいテーマでしたが、多くの案が出されました」と話す。当日は、ボランティアに参加した学生3人と、実家が被災した学生2人が、被災地での体験や取り組みなどを発表。学生たちは発表を踏まえ、各班に分かれ「震災にどのように向き合っていくか」を議論。続いて、その内容を全員の前で報告し、震災を次の世代に受け継いでいく方法など、今後の目標を述べた。

その後、地震の発生した時刻に合わせて鳴らされた望星丸の汽笛とともに黙とうし、献花。坂本九の「上を向いて歩こう」を合唱した。「困難を乗り越え、前に進んでいこうという思いを込めてこの曲を選びました」と合唱担当の髙橋学生長。学生たちは「日本から離れた洋上だからこそ、震災を客観的に、じっくりと話し合うことができた」と話していた。


持続可能な支援を
関連行事の学生リーダー
西 玄汰さん(海洋学部2年=当時)

3月11日の行事で学生リーダーを務めました。寄港地では、現地の方々から震災の話題が出ることも多く、学生の関心も高かった。行事の内容について活発に意見を交換することができました。私はリーダーとして皆のアイデアを取りまとめたほか、当日には、昨年12月にボランティアで宮城県南三陸町を訪れた経験を発表。被災地ではあまり復興が進んでいないにもかかわらず、ボランティアへの参加者が減少している現実について話しました。この行事を通じて、震災を忘れないことの大切さを再認識できたと思います。地道な支援でも、長く継続していきたい。これからも自分にできることを考えていきます。

 
(写真上から)
▽帰港式では髙橋学生長らが航海の成果を発表した
▽南太平洋の島々でしか得られない貴重な体験があった
▽日本時間の3月11日午後2時46分に合わせて望星丸のデッキに整列し、日本の方向に向かって黙とうした
▽ボランティアや被災地の現状について話す学生たち。震災について再考する機会となった

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