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学生

2015/01/01

カレラ・ソーラー・アタカマ優勝

チャレンジセンター「ライトパワープロジェクト」ソーラーカーチーム
苦難の道を戦い抜き栄冠を勝ち取る

南アメリカ、アフリカ、オーストラリアの3大陸で行われるソーラーカーの国際大会制覇を達成――。昨年11月13日から17日までチリのアタカマ砂漠で開かれた南アメリカ大陸唯一の国際大会「カレラ・ソーラー・アタカマ」で優勝を果たしたチャレンジセンター「ライトパワープロジェクト」のソーラーカーチーム。海抜0メートルから標高3400メートルの高低差があるなど、他の国際大会には見られない難コースに挑んだ学生たちを追った。

「これほど厳しい戦いになるとは思っていなかった。勝てたことが奇跡のようです」。学生リーダーの若林希さん(工学部3年)は振り返る。

2011年に始まり、今回が3回目の開催となった同大会。主催者側も大会運営に慣れておらず、レース中に突然のルール変更が発表されるなど、これまでの大会では経験のないことも多かった。松﨑隼士さん(同)は、「日本から参加したのは私たちが初めてだったこともあって、ハードな交渉を強いられる場面もあった」と語る。

トップでスタートしたレース初日。だが、州の境を渡る際に海外のチームにだけ課される通関手続きに時間をとられ、2位でスタートした地元のアンタカリ大学に抜かれてしまう。2日目までそのままの順位で追走。機械班リーダーの石坂和也さん(同)は、「法定速度を守るため抜き返すこともできず、じりじりとした展開だった。でも2日まではまだ順調だったほう」と苦笑する。

苦しさを増す後半戦、チーム力で乗りきる
迎えた3日目。ソーラーパネルの充電などスタート前の準備も順調に進み学生たちの士気も高かった。ところが走り出した後にブレーキが利きにくくなるトラブルが発生。途中の料金所で止まりきれずに一般車と接触し、マシンの一部を破損してしまった。応急処置をして走り出したものの、今度はステアリングが左に曲がらなくなってしまい、レース終了時には1位との差が1時間以上に開いてしまった。

「メンバー全員で原因を話し合い気持ちをひきしめたものの、絶望的な気分だった」と石坂さん。松﨑さんは「でも、このまま負けるもんかと怒りに似た感情にも包まれていた」と話す。

そして迎えた最終日。少しでも差を縮めようと奮闘していたさなか、アンタカリ大にパンクトラブルが発生。そのチャンスを逃さず抜き返し、トップでゴールした。

「チームの総合力も大きく高まった」と口をそろえる学生たち。「これからも国際大会で結果を残していきたい」と語っていた。


(写真)大会には学生20人が遠征。2013年にオーストラリアで開かれた国際大会「ワールド・ソーラー・チャレンジ(WSC)」で準優勝したマシン「Tokai Challenger」で5日間にわたる過酷なレースを戦った。学生たちは、「展示やレース前後の交流を通して、他チームのマシンの構造や特徴も詳しく知ることができた。チームでは今年、秋に開かれるWSCに向けて新車を開発する予定です。今度こそWSCで優勝するためにも、ここで得たアイデアを生かしていきたい」と話している

 
●チリの大地で戦った日々●

■11月13日(レース初日 ポソ・アルモンテ~カラマ 267キロ)
トップでスタートしたチームは、未舗装の道路や工事中の区間もあったが順調に走行し、最初のコントロールポイントであるビクトリアに到着。ところが、出発直後の税関事務所で通関手続き中に2位スタートのアンタカリ大に抜かれてしまう。その後は真後ろを追走する形で走行。2分差でこの日のレースを終える。

■11月14日(2日目 カラマ~サンペドロ・デ・アタカマ 175キロ)
頻繁な追い抜きを危惧する大会側の判断により、アンタカリ大の10分後にスタート。標高3000メートルをこえる地点から一気に2000メートルまで駆けおりるなど、アップダウンの激しいコースを走る。大会規定の時速100キロで走行を続け、全チームのトップのタイムでゴールするも、追い抜くことはできず。

■11月15日(休養日)
大会主催のマシン展示イベントに参加。東海大チームのマシンには、大人から子どもまで多くの人が詰めかけた。イベント終了後には、マシンの整備と調整を行った。

■11月16日(3日目 カラマ~アントファガスタ 286キロ)
2日目にトップタイムをたたき出したことから、最初にスタート。コース上に段差が多く、ブレーキを何度もかけながら進んだために足回りのパーツを破損。ソーラーカーをトラックに乗せて運ぶ牽引区間が終わった後の積みおろしで車体を傷つけてしまい、一般車と接触するなど相次ぐトラブルに見舞われ、コンセプシオン大学(チリ)にも抜かれて3位に転落。

■11月17日(4日目 アントファガスタ~ポソ・アルモンテ 369キロ)
スタート直後にコンセプシオン大を抜いて2位に。アップダウンの激しいコースを走行中にアンタカリ大のマシンがパンクし足回りに深刻なトラブルを抱える。同大が修理に時間を要している間に抜き返し、トップでゴール。

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