News:付属諸学校
2020年6月1日号
“今できること”に取り組む生徒たち
自宅学習期間の部活動

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、各付属校では学校内での部活動を自粛してきた。 そんな中、付属高輪台高校吹奏楽部、付属大阪仰星高校ラグビー部、付属福岡高校サッカー部といった全国クラスの実力を誇るチームが、“今できること”に励んでいる。(5月29日記)

【高輪台高吹奏楽部】リモート合奏で日本を元気に!

高輪台高は3月から自宅学習期間となり、吹奏楽部は自宅で自主練習に取り組んできた。出場予定だった3月の全日本アンサンブルコンテストも中止が決まり、「生徒たちが意気消沈しているのが音でわかった」と、顧問の畠田貴生教諭は振り返る。

そんな中、新日本フィルハーモニー交響楽団が 動画投稿サイトYouTubeで配信したリモート合奏を見た部員が、「自分たちもやろう」と提案。高輪台高の定番曲『宝島』を約100人の部員が自宅で演奏し、その映像をつないだ約5分の動画を4月22日に配信した。スネアドラムなど自宅に持ち帰れない楽器を担当する部員は、水を入れたコップやイスで代用。再生回数は約1カ月で14万回をこえる反響を見せた。その後も新入生に向けた定番曲の振り付け練習動画など、生徒たちが中心となって企画している。

コロナ禍でも前を向いてきたが、5月10日に秋の全日本吹奏楽コンクールの中止が発表されると、4年連続の金賞を目指していた部員たちは一様に肩を落としたという。畠田教諭は翌日のオンラインミーティングで、「泣きたいだけ泣いて、少しずつ気持ちを取り戻していこう」と呼びかけた。1週間後には生徒たちから、「高輪台にしかできないことをしよう」と声が上がり、現在は新たな成果発表の形を考案中だ。

畠田教諭は、「頑張っている生徒たちを見ると、我々大人はそれに応えなければと思う。日ごろから“吹奏楽で日本を元気に”と言い続けてきたので、今こそ音楽の力で多くの人にエネルギーを届けられれば」と語った。

【大阪仰星高ラグビー部】料理で思考の訓練 家族への感謝を込めて

大阪仰星高ラグビー部は、2月の近畿高校大会で4年ぶりに優勝し、3月の全国選抜高校大会への切符を手にしていた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により大会は中止となり、同校の休校と合わせて部活動も休止。この期間中、選手たちは部活動の再開に向けて自宅でのトレーニングに励んでいる。

さらに料理好きな湯浅大智監督(同校教諭)の発案で、選手たちは週に1度家族全員分の夕食を作り、写真付きの日誌を監督に報告。筋力だけでなく、台所で“思考回路”も鍛える。

「メニューの選定、食材の用意、調理の順番、 盛り付け方などが思考力を培う訓練になる」と湯浅監督。「目標に向けて必要なスキルと練習方法を検討し、グラウンドで表現するというように、ラグビーに置き換えることができます。また、いつも支えてくれる家族が仕事や家事にどれだけ労力を費やしているか気づき、恩返しする機会にもなる」と意図を語る。

冬の全国高校大会で5度の優勝を重ねているチームの目標は、今年度も高校日本一。しかし、いつコロナ禍が収束するかわからず見通しは不透明だ。湯浅監督は、「高校生のスポーツ大会を開催することが最優先事項だとは思えないけれど、もし開かれるのなら優勝を目指します。その過程は選手の人生にとって大きな財産になる」と話す。

一方で、「日本一という目標は大会の主催者に用意してもらったものであり、選手たちには日々の生活の中で自分なりの目標を見いだしてもらいたい。今は皆が家族と笑顔で過ごす毎日が最も大切。こんな状況だからこそ、目配り・気配り・心配りの精神で思いやりの心を養ってもらいたい」と語っている。

【福岡高サッカー部】OBプロ選手にインタビュー「楽しみながら成長を」

福岡高サッカー部が4月から5月にかけて3回にわたって、Jリーグで活躍する卒業生とWEBビデオ会議システム「Zoom」を用いたオンラインミーティングを開いた。福岡高は4月から休校しており、同部の活動は Zoomをつないでの週3回の筋力トレーニングのみ。その間、選手や保護者から進路に関する相談が増えていたことを受けて、「何かヒントになれば」と同部のスタッフが話し合って企画した

4月28日の第1回には2、3年生100人以上が参加。愛媛FCの西岡大志選手が事前に募った質問に答えながら、主将を務めた高校時代や試合に出られなかった大学時代を振り返り、あきらめないことの大切さを語った。

「第1回のミーティングを知った卒業生が“協力するよ”と次々と連絡をくれました。普段から後輩を気にかけてくれていてとてもありがたい」と企画に携わった伊藤良太コーチ(福岡高教諭)。

5月7日にはサンフレッチェ広島の清水航平選手が有志の選手たちに、11日には愛媛FCの西岡大輝選手が3年生に向けて、高校時代の取り組みやプロになるために必要なことのほか、自宅でできるトレーニングも紹介。清水選手は、「同じピッチでプレーできることを願っているので頑張って」とエールを送り、西岡選手は、「目標を達成するには自分で考えて 感じながら行動することが重要」と語りかけた。

高橋輝主将(3年)は、「3選手とも“サッカーを楽しむことが大切。そうしなければ成長しない”と話していたことが印象的でした。早くみんなとサッカーがしたい。収束したら、全国高校選手権に向けて一丸となって頑張る」と活躍を誓った。

 
(写真上から)
▼動画第2弾の『みんなで踊ろう 風になりたい』は、合奏とダンスを披露する高輪台吹奏楽部の定番曲。「入部予定の1年生に部の明るい雰囲気を伝え、家でも振り付けを練習してもらえるように」と企画した
▼今年度チームリーダーを務める近藤翔耶さん(3年)が調理した一汁三菜の夕飯。「家族もおいしいと言ってくれた。課題の有無にかかわらず作ろうと思うほど料理が楽しい」と話す
▼Zoomで会話する西岡大輝選手(上写真)と高橋主将(下写真)。選手たちはメモをとりながら熱心に話を聞いていた