News:付属諸学校
2020年8月1日号
コロナ禍でも充実した教育環境を整備
ICTインフラを生かした自宅学習

新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、学校法人東海大学の初等中等教育機関では、4月から始まった各機関での自宅学習期間にも授業動画の配信や課題提出などの際にさまざまな機器やアプリが活用された。2015年度から機器を導入してきた付属大阪仰星高校・同中等部と、昨年度から本格的にICT教育を進める付属札幌高校の取り組みを紹介する。

【大阪仰星高・中】既存システムを活用反転授業に意欲

大阪仰星高・同中等部では、新型コロナウイルス感染症が全国的に拡大し始めた今年2月、小寺建仁校長らによる運営会議が開かれ、自宅学習を見据えた授業方法が検討された。

同校では、全校生徒にタブレット端末「iPad」を配布し、校舎内にWi-Fi環境を完備しているほか、学習支援ソフト「Classi」や、クラウド授業支援アプリ「ロイロノート・スクール」を導入。WEBテストや教材の配信、学習記録の共有などを行ってきた。コロナ禍での自宅学習でもこうしたICT教育の土台を生かし、授業動画の制作・配信やアプリでの課題提出など、オンデマンド型の授業が行われた。

中心となって準備にあたった教頭補佐・教務主任の阿部守勝教諭は、「動画制作に不慣れな教員もいたので、簡単に制作できるアプリを使い、講習会も開きました。教育活動を維持するためにICT化しなければならない状況は、そのメリットをあらためて各教員に理解してもらう機会になった」と振り返る。

従来の授業形態と融合新しい教育の形に
「ICT教育は、インターネット環境さえあれば時間や場所を問わず学習が可能で、休校期間中も教育活動を継続することができましたが、生徒たちの顔が見え、直接コミュニケーションがとれる対面式授業も重要」と阿部教諭。「自宅で動画や課題から知識を得て、対面式授業で演習や学習内容に関する意見交換を行う 猗薪昭業〞のように、うまく融合させることが今後の目標」と意気込む。

新たな教育を形づくるため、学園内の連携も不可欠だという。昨年11月には初等中等教育機関ICT推進委員会=左記事参照=の研修が大阪仰星高で実施され、ICT機器を使った公開授業やディスカッションも行われている。阿部教諭は、「近年、各付属校でICT教育のためのインフラが整備され、昨年度からは教育への生かし方について具体的な議論が進んでいます。全国各地に学校があるスケールメリットを生かし、各校が連携することでよりよい教育の方法を生み出していきたい」と語っている。

(写真)6月15日から通常授業が再開。教室前方のプロジェクターとiPadに教材や資料を映し出すなど、対面式授業でICT機器が活用されている 

 
【札幌高】本格化するICT教育「逆境を財産にしていく」

札幌高では2017年度に全教室にWi-Fi環境を整備し、翌年度には、電子黒板型プロジェクターを設置した。19年度からは新入生全員にタブレット端末「iPad」を配布し、本格的なICT教育をスタートさせた。

「学園内でも先進的な取り組みを進める大阪仰星高・同中等部などを参考に、使用するアプリケーションや授業方法を検討してきました」と研究主任の工藤優樹教諭は振り返る。授業ではクラウド授業支援アプリ「ロイロノート・スクール」を活用。教員が生徒のiPadに問題や質問を配信し、その解答を生徒全員で共有するなど、双方向のやりとりで、学習理解度を高めている。また、学習支援ソフト「Classi」も活用し、学校からの連絡や成績の管理などもタブレット上で行ってきた。

各種ツールを活用し習熟度や体調を把握
新型コロナウイルス感染症の拡大により、同校では3月3日から休校、4月7日から登校を再開したものの、北海道内で感染が再流行したため4月14日から自宅学習期間に入った。

その間は、教員が授業動画を制作し、YouTube生徒の学習習熟度チェックや体調管理にはClassiを活用。生徒が毎日、体温や学習内容、自宅学習上の質問を書き込み、担任教員が確認・解答していった。また、一部の授業や部活動ではWEBビデオ会議システム「Zoom」を使用して教員と生徒がやりとりをするケースもあったという。

工藤教諭は、「新型コロナウイルス感染症の拡大という逆境が、ICT教育の重要性を校内に浸透させるきっかけになった」と語る。「来年度からは全学年の生徒がiPadを持って学ぶようになるので、今回得た財産を生かしてよりよい教育環境を整えていきたい」と話している。

(写真)現代文明論の授業ではテーマごとに生徒たちがタブレットで意見をまとめ、発表し合う

 
【ICT教育推進委員会】コロナ再流行にも「万全の備え」
学校法人東海大学の「初等中等教育機関ICT教育推進委員会」では、4月から各校の自宅学習期間の学習方法を取りまとめてきた。さらに委員間で情報を共有しながら、今後起こり得る新型コロナウイルス感染症の再流行に備えるだけでなく、通常授業のさらなる教育環境充実に向けて議論を重ねている。

2015年に設置された同委員会は各校の教員や東海大学の情報教育センター、総合情報センターの教職員らで構成。年に2回、研究授業や日本マイクロソフト株式会社、Apple Japanといった大手IT企業から研修を受けて、学園独自のICT教育の実現を目指している。
 
08年度08年度に全教室に電子黒板を導入した付属高輪台高校・同中等部や15年度にタブレット端末「iPad」を全生徒に配布した大阪仰星高・同中等部をはじめ、17年度に迎えた東海大学建学75周年記念事業の一環で、「ICT教育環境整備事業」も展開されるなど、各校でインフラ整備が進んでいる。

同委員会委員長の片桐知己治校長(高輪台高・同中等部)は、「機器を活用する教職員のスキルや理解の向上は不可欠であり、本学園のスケールメリットを生かした意見交換の場はICT教育の推進に大きな役割を果たしています」と語る。「万一、新型コロナの第2波、第3波が到来するような事態があっても対処できるよう備えていきたい」と話した。