News:総合
2020年12月1日号
【東京病院】“都心の病院”の役割果たす
新型コロナ重点医療機関として

11月に入り、秋以降減少傾向だった新型コロナウイルス感染症が再拡大している。東京都内の新規感染者数が500人をこえる日が続くなど、都の感染状況は4段階の最高レベルに引き上げられた。東海大学医学部付属4病院のうち唯一東京都区内に位置する医学部付属東京病院は、東京都の新型コロナ重点医療機関として60の病床をコロナ専用にあてるなど、医師や看護師、職員らが一丸となって対応を続けている。

医学部付属4病院では、今年2月に国内で新型コロナの感染拡大が始まった当初から、伊勢原校舎の医学部付属病院を中心に、各病院が密接に連携して未曽有の事態に立ち向かってきた。

渋谷区に所在し、日本有数の繁華街に近い東京病院では、対策調整室や連絡会議、医師合同カンファレンスなど院内の体制を整える一方、都内の感染者数が一気に増加した3月末からは、渋谷区の病院の一つとして渋谷区医師会や保健所と会合を重ねて対応を協議。4月上旬には院内でのPCR検査体制を整えたほか、6月末から東京都、7月中旬からは渋谷区医師会とも連携した「PCRセンター」を開設し、病院前の駐車スペースの一部にテントを設置(その後プレハブの建物に変更)した。
 
西泰弘病院長(医学部教授)は、「当初は人員や設備の都合もあり、なかなかPCR検査もできない状況でした。しかし、4月に政府の緊急事態宣言が発令されて以降、都や区、近隣の医療機関などの外部はもとより、医学部付属病院間の協力のおかげで徐々に体制を整えてゆくことができました」と振り返る。

病棟をコロナ専用に改修 組織的に対応図る
7月には東京都からの依頼を受け、軽症から中等症程度の新型コロナ感染患者の入院も受け入れられるよう病棟の改修工事も開始された。別の病気で入院していた患者に丁寧な説明をしたうえで、理解と協力を得てベッドを移ってもらい、4階病棟の20床を新型コロナ感染者用に変更。7月17日に最初の入院患者3人が搬送された。

「医学部付属の他の3病院とともに、この国難に立ち向かおうという“志”を共有しています。設備の改修以前から、スタッフの訓練も始めていました。伊勢原校舎・付属病院本部の飯田政弘本部長をはじめ、感染対策室、臨床検査医学が専門の浅井さとみ准教授らのサポートを得て、スピード感を持って変化していくことができました」と西病院長は語る。
 

9月23日には3階病棟の40床も新型コロナ専用への改修が完了。呼吸器内科を担当する3人の医師を中心に、他の診療科の医師もほぼ全員が5、6人ずつ3つのチームに分かれ、ローテーションを組んで診察にあたり、看護部も患者の急変に備えたシミュレーションを繰り返すなど万全の備えを図ってきた。また、外来診療や人間ドック、東京病院独自の抗加齢ドックなどは感染防止対策を図り、これまでどおりの運営を続けている。
 
西病院長は「経験豊かなスタッフが思いを一つにして、組織的に取り組んでいます」と話す。11月13日までに計117人の患者が入院。PCR検査数も全体で1700件をこえるなど、地域の医療機関として重要な役割を果たしてきた。

外国人患者にも対応 冬季に向け緊張感高める
さらに、渋谷や新宿近隣という立地上、搬送されてくる患者のうち約
26%が在日外国人ということも特徴だという。これまでアメリカやアルゼンチン、ベトナム、ミャンマー、タイ、中国、韓国など11カ国の出身者が入院。病棟の看護師たちは、さまざまな言語に対応できるよう英語以外の言語による入院時説明用紙の作成に取り組んでいるほか、翻訳機も駆使して外国人患者が安心できる療養環境を整えている。「看護師の皆さんが精力的に、高い意識を持って組織的に対応してくれている」と西病院長。

「新型コロナの感染拡大は第3波が来ているといっていい状況です。冬季はウイルスが生き延びやすく、飛沫も飛びやすい。今後もさらなる患者の増加が見込まれます。“都内でもリスクが高いエリアの病院だ”との緊張感をさらに高め、対応にあたっていきます」
 
(写真上)医師や看護師らが一体となって患者への対応を訓練してきた(写真提供=東京病院)
(写真下)飯田本部長や西病院長らが東京都福祉保健局の担当者らと綿密に対応を協議してきた(写真提供=東京病院)