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2021年11月1日号
学部の新設に向け各地で多彩な取り組み
来年度に全学的な改組改編を構想

東海大学が建学80周年にあたる来年4月の実施を構想している全学的な改組改編「日本まるごと学び改革実行プロジェクト」に向けて、さまざまな取り組みが展開されている。清水校舎では人文学部設立を見据えて、落語家の春風亭昇太氏に客員教授を委嘱。湘南校舎では新設される建築都市学部のオープニングセミナー、熊本校舎では文理融合学部と農学部の2学部体制における教育を考える公開セミナーが開かれた。

落語家40年の実績を生かし 春風亭昇太氏が客員教授に

春風亭昇太氏が10月1日付で海洋学部客員教授に就任し、5日に高輪校舎で委嘱式が行われた。

昇太氏は、東海大学第一高校(現・付属静岡翔洋高校)を卒業し、湘南校舎の文学部に入学。落語研究部員として数々の学生タイトルを受賞した後、春風亭柳昇師匠に弟子入りした。NHK新人演芸コンクール優秀賞、第55回文化庁芸術祭(演芸部門)大賞などを受賞し、2016年からは日本テレビ「笑点」の6代目司会者となり、公益社団法人落語芸術協会会長も務める。中世城郭に関する著書を出版するなど、日本文化に造詣が深いことでも知られている。

海洋学部海洋文明学科では日本固有の文化などを研究、教育しており、人文学部では学部学科の教育に「クリエイティブ・カルチャー」分野を設け、教育研究の柱の一つとして位置づけられている。現在の海洋学部海洋文明学科から人文学部への円滑な移行、教育効果を踏まえ、これまでの実績を基にした大学への貢献を期待して同氏の出身地である静岡市にある海洋学部客員教授への就任が要請された。

委嘱式で委嘱状を手渡した山田清志学長は、「新設する人文学部では日本の伝統芸能である話芸を扱うことも考えており、この分野を教えてくださる先生として授業をお願いしたいと考えています」と期待を寄せた。

昇太氏は、「客員教授のお話をいただき、若き日に東海大で学んだものとして大変光栄であり、責任も感じています。落語家になって約40年が経ちました。落語は演劇の中の一部であると考えており、世界でも珍しいスタイルの古典芸能です。この中で培ってきたものを学生の皆さんにお話しできれば」と語った。

建築都市学部オープニングセミナー トップランナー招き連続企画

10月2日にオンラインで、建築都市学部オープニングセミナー「建築と都市を切る/つなぐ」が開催された。「Linkage 人・建築・都市を○○でつなぐ」を共通テーマに今年度から23年度まで合計9回の講演が企画されている。第1回目となる今回は蠧建設計のチーフデザインオフィサーで常務執行役員の山梨知彦氏が講師を務めた。

初めに建築都市学部長就任予定の岩崎克也教授(工学部建築学科)が、「本セミナーは建築のデザインだけでなく、構造や設備、まちづくり、照明、ランドスケープなど、建築の世界、建築の都市で活躍するトップランナーをお招きしてこれらの世界の広がりと面白さを伝えていきたいと考えています」とあいさつ。

続いて登壇した山梨氏は、東京木材問屋協同組合の「木材会館」をはじめ、建築学会作品賞を受賞した「NBF大崎ビル(ソニーシティ大崎)」「桐朋学園大学調布キャンパス1号館」、日本建築大賞に輝いた「ホキ美術館」などの業績を紹介。アメリカ同時多発テロや東日本大震災をきっかけにより安全なビルの建築にこだわるようになった一方で、クライアントの意向や環境を生かした使いやすいデザインにこだわり、バルコニーやガラスの壁によって内と外をつなげる工夫を取り入れていった経緯を説明した。

「建築を生み出すことは連続したひとつながりの世界から、ある領域空間を分節する作業なのではないでしょうか。高層建築でありながら環境にやさしく、今までと違った内外の連続性を強く持ち、日本の風土に合った建築によって、都市と建築が連なる中で建築がまちづくりを誘引し、一つの建築から都市をつくり出すという視点が重要」とまとめた。

文理融合と農の2学部体制へ 地域での学びを考える公開セミナー

九州キャンパスと熊本日日新聞社が共催して、第62回公開セミナーLet’s不思議!「地域での学びを通して次世代を担う若者を育てる」を10月24日に熊本校舎で開催した。今回は、同キャンパスが来年度から文理融合学部と農学部の2学部体制となることから、地域と連携した学びと人材育成のあり方について考える機会にすることを目的に企画された。

当日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から会場には高校生と学生のみが来場。セミナーの様子は後日、オンデマンドで配信するハイブリッド形式で行われた。初めに荒木朋洋九州キャンパス長があいさつし、創立者・松前重義博士が教育・研究の指針に掲げた文理融合の理念を説明。「急激に社会の構造が変化する中、本学では地域の課題解決を教育に生かすパブリック・アチーブメント型教育をカリキュラムに取り入れています。今後も2学部で未来を創造する人材の育成に取り組んでいく」と話した。続いて登壇したNPO法人共存の森ネットワーク理事長の澁澤寿一氏が、「『聞き書き』を通した人材育成のすすめ」をテーマに基調講演。農林水産省や文部科学省、環境省などとともに全国の高校生が「森や海の名手・名人」を訪ねる「聞き書き甲子園」の魅力や、この活動を通じた高校生の成長を語った。

続いて「地域の学びを応援する」と題したパネルディスカッションも実施。経営学部の前田芳男教授による進行で、熊本県教育委員会委員で農林業家の吉井惠璃子氏や熊本工業高校工業化学科の中村満教諭と生徒、熊本校舎を拠点に活動するスチューデントアチーブメントセンター「阿蘇援農コミュニティープロジェクト」の河井大明さん(農学部4年)が登壇。それぞれの活動内容や成果、将来像、聞き書きの教育への応用などについて、活発に意見を交わした。

 
(写真上から)
▼山田学長(左)から委嘱状を手渡された春風亭昇太氏
▼内外をつなげる工夫が取り入れられた「木材会館」(撮影=雁光舎・野田東徳)
▼一つひとつの作品を丁寧に紹介した山梨氏
▼改組改編による学部の再編や東海大における文理融合教育の理念を荒木キャンパス長が紹介
▼阿蘇援農コミュニティープロジェクトの河井さんは活動内容やその魅力を語った