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2020年7月1日号
地域医療の要として最前線で奮闘
【八王子病院】東京都の新型コロナ陽性患者に対応

新型コロナウイルス感染症の拡大を受け医学部付属八王子病院は2月以来、地域医療支援病院として最前線で奮闘を続けてきた。日本国内で感染が広がり始めた2月には「医学部付属病院部門対策本部」の下に「八王子病院COVID-19対策本部」を設置したほか、14日には都の要請を受けて「帰国者・接触者外来」を立ち上げ、伊勢原校舎の医学部付属病院と連携をとりながら、教職員が一体となって対策を続けてきた。

帰国者・接触者外来では、各診療科から選出された医師と看護師、診療技術部員、事務職員の4人1チームを組織し、連日交代しながら病院外に設置した陰圧テントで診療にあたってきた。近隣の保健所から依頼を受けた感染疑いのある患者はもとより、救急患者や外来受診者の中から発熱があり感染が疑われる患者など1日5件程度に対応。救急患者受け入れ時には他の患者をすべて移動させるなど接触リスクも念入りに回避した。

2月中には新型コロナ専用病棟を設置し、段階的に5床から最大30床を確保するなど入院患者受け入れの準備を進めてきた。また、同時に専門の診療科をサポートする体制も構築。外来、入院、看護、事務の各セクションに責任者を置き、各部署でワーキンググループ(WG)を組織し現場での対応を協議してきた。

八王子病院調整本部の副本部長として各所の対応を図った村田光繁教授(医学部)は、「病院内にコロナ専用エレベーターを指定したほか、看護部を中心にゴミ箱や備品、防護服の着脱など、新型コロナの治療に関するあらゆる事柄の“場所”を決め、院内に常に陽性患者がいることを想定してきた。スタッフの負担もあったが、最終的に院内感染のリスクを回避できた」と話す。

新型コロナ専用病棟のリンクナースとして調整班の委員を務める小山内美穂看護師は、「この病棟は、本来混合病棟として多様な診療科の入院患者を受け持っていますが、今回の新型コロナへの対応は当然誰もが初めての経験。マニュアルもない中で一つひとつ感染を拡大させない方法を考えながら対応していきました」と振り返る。

陽性患者19人を受け入れ各診療科も協力して治療

3月5日には、最初の陽性患者が入院。呼吸器内科と総合内科の2組を入院チームとして組織し、全診療科から応援の医師も配置して治療にあたった。「最初の患者さんの受け入れには緊張感もありましたが、2月から準備を進めていたため落ち着いて対応できました」と小山内看護師。
 
東京都内の感染者が増えていく中、4月に入ると同病院への入院患者も増加。4月24日までに計19人の治療にあたった。治療効果がみられる新薬も患者の同意を得て活用。他の病気を併発した際には各診療科の医師ともミーティングを重ねてきた。

呼吸器内科の医師として患者と向き合うとともに八王子病院調整本部の本部長を務める医学部の坂巻文雄教授は、「早い段階でWGを組織するなど、体制づくりができていたことで治療に専念できた。各診療科では通常の診察も続く中で、山田俊介病院長(医学部教授)をはじめとした病院幹部が適切に判断した結果、スムーズな対応が図れた」と振り返る。

同病院ではさらに、タブレット端末を用いたオンライン回診を導入したほか、ICU病棟内モニターの設置、朝と夕方に各WGトップによるミーティングを通じた情報共有など多様な対策を継続。5月に入り八王子市医師会主導によるPCR外来も敷地内に開設するなど地域の医療機関とも連携した活動を展開している。

6月2日には、同病院に入院していた陽性患者全員が退院となったが、村田教授は「油断が生まれる時期。外部からウイルスを持ち込まないよう、さらに注意しなくてはならない」と気を引き締める。「政府による緊急事態宣言は解除されましたが、我々医療従事者には関係ありません。新型コロナとの闘いはワクチンや治療法が確立されるまで続きます」

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(写真上)COVID-19対策本部のミーティングには、毎回多くのスタッフが参加
(写真下)帰国者・接触者外来用に屋外に設置したテント