Column:Interview
2020年8月1日号
【新所長に聞く】大学と世界の懸け橋に
JAMSTECでの経験生かし
海洋研究所 平 朝彦教授

東海大学海洋研究所所長に4月1日付で、海洋研究開発機構(JAMSTEC)前理事長の平朝彦教授が就任した。海洋開発の最前線で国際深海掘削計画の推進などに従事してきた平所長に、同研究所における研究・教育活動の展望を聞いた。

―東海大の印象はいかがですか?
目の前に海が広がる清水校舎は最高の研究フィールド。海洋調査研修船「望星丸」という素晴らしい船舶を所有し、清水港にはJAMSTECの「ちきゅう」が停泊しているので、地球や海洋について勉強したい学生にとって、このうえない学習環境だと感じています。

――ご自身の新しい研究計画はありますか?
これまで南海トラフなどを調査してきた研究成果をデータベース化するほか、駿河湾の生態系や物質循環などに関するモデルも構築していくことが目標です。また、2017年度に東海大が包括連携協定を結んだJAMSTECとの共同研究についても、「駿河湾掘削プロジェクト」を立ち上げ、世界中の研究者や学生、地域住民を巻き込んで推進していきたい。こうした取り組みにおいて、外部機関との懸け橋となることが私の役割の一つだと思っています。

――海洋学部の多様な学科とはどういった連携が考えられますか?
環境汚染が地球温暖化を引き起こすように、人の営みは自然環境に影響を与えます。しかし、深海への影響は現状明らかになっていないため、駿河湾で調査を進めていきたい。私が専門とする理工学の視点だけでなく、歴史、文明、生物など海洋学部の多様な専門家と一緒に研究していければと考えています。

――学生・大学院生へのメッセージをお願いします。
近代は、人の営みが地質学的な変化をもたらす「人新世」という地質時代区分と提唱されており、人と地球の関係は大きな変換期を迎えています。授業の教材として使えるよう関連書籍の制作も進めているので、物事の本質を捉える視点を身につけてもらいたいですね。

 
たいら・あさひこ 東京大学海洋研究所教授、JAMSTEC地球深部探査センター初代センター長などを経て、2012年度にJAMSTEC理事長に就任。19年9月から同顧問。