News:研究
2021年8月5日号
“文理”の研究者が成果を報告
【文明研究所&マイクロ・ナノ研究開発センター】
文化財を科学的に分析

文明研究所とマイクロ・ナノ研究開発センター(MNTC)が6月26日に、湘南校舎のMNTCをメーン会場に、オンラインを併用して「文化財を科学する供祝楹惱蠡▲┘献廛筏擇咼▲鵐妊垢離灰譽ションの多角的研究―」研究発表会を開いた。文明研とMNTCでは2018年から、東海大学が所有する文化財コレクションを高度な光学機器を使って分析し、古代の技術や用途の解明を目指す研究を進めている。今回は、約50人の研究者や学生らが参加し、専門的見地から議論した。

開会にあたり、文明研の山本和重所長が、「この貴重な機会を生かし、今後の研究の発展につなげてもらいたい」と期待を語った。

最初に文化社会学部アジア学科の山花京子准教授の研究室に所属する大学院文学研究科の竹野内恵太さん(独立行政法人日本学術振興会特別研究員)が登壇。古代エジプトの土器のX線CTスキャン画像を解析し、土器成形と調整方法に関する新知見を発表した。続いて、古代エジプトで最古とされる施釉凍石の復元の研究について山花准教授と工学部応用化学科の秋山泰伸教授が発表。さらに、施釉凍石の次に古いガラス質物質「ファイアンス」をX線CTスキャンした結果、材料が時代や用途により変化していることを山花准教授が発表した。

高度な光学機器を駆使 多彩な分野の研究発表
また、コレクションの成分分析を行ってきた東京電機大学大学院工学研究科物質工学専攻助教の阿部善也氏は、ポータブル非破壊蛍光X線分析装置を用いて紀元前2千年紀の古代エジプトとメソポタミアの銅赤ガラスの化学組成を割り出し、地域により製造方法が違うことを明らかにした成果を発表。続いて、竹前廣大さん(大学院理学研究科2年)が、アンタラと呼ばれる笛およびボトル型楽器土器(笛球付土器)をX線CTスキャンし、共鳴周波数(音階)を解析して音が出る構造の検証について紹介。さらに山花准教授と秋山教授が、歴史的にガラスが発明されなかったアンデス地域にガラス玉製ネックレスが存在することに注目し、ガラス玉の復元実験から時代と流入経路をたどった試みについて発表した。

最後に、文学部文明学科の吉田晃章准教授がイメージング研究センターの粟野若枝技術員と共同で、X線CTスキャンの画像撮影を用いて高精度で真贋判定を行える可能性について解説した。

MNTCの喜多理王所長は、「どの発表も、今後の研究を進めるために有意義なものでした。他大学などともさらに連携を深め、本学所蔵文化財を活用した文理融合研究を推進するためにも、研究会を継続していきたい」とあいさつした。

 
(写真上)研究者や学生らによる研究成果は、参加者から高い関心を集めた
(写真下)研究成果を説明する山花准教授