研究
2019/12/01落合教授・畔津教授らのグループが
エンジン内部の可視化技術で自動車大国ドイツと連携
日独の技術を融合し、謎に包まれているエンジン内部の現象を解明する―。工学部の落合成行教授と畔津昭彦教授が中心となって取り組む研究グループ「ピストンリング周りの燃料とオイル挙動の明確化研究」が10月18日付で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2019年度「国際研究開発/コファンド事業/日本―ドイツ研究開発協力事業(CORNET)」に採択された。自動車技術先進国の日本とドイツの研究機関や企業が連携し、2年間にわたるプロジェクトを展開する。
研究グループには、落合教授と畔津教授のほか、高橋俊准教授が参加している。畔津教授が開発した、エンジンをはじめとする機械内部の油の流れを可視化できる「フォトクロミズム」の技術と、高橋准教授が開発した液体や気体など複数の物質の流れをシミュレーションする「混相流解析法」を融合。東京都市大学と自動車メーカーによる技術協力団体「自動車用内燃機関技術研究組合」と連携したこれまでの研究で、自動車エンジンの心臓部にあたるピストンリングの稼働中に、内部で潤滑油とガソリンがどのように流れているのかを世界で初めて明らかにするといった成果を収めてきた。
今回採択されたプロジェクトではこの体制をベースに、ドイツのミュンヘン工科大学とハンブルク工科大学、同国の自動車メーカーによる技術研究組合「FVV」と共同研究に取り組んでいく。
落合教授は、「ドイツ側は、エンジン内部での油の消費量を解明する技術を持っており、日本側の技術と組み合わせることでより正確な現象の解明が可能になる。この部分の現象を把握することで、二酸化炭素や排出ガスの削減に向けた知見も得られる」と期待を寄せる。
自動車業界では、自動運転や電気自動車が注目を集めているが、ガソリンやディーゼルを燃料とするエンジンは、自動車の動力としてだけでなく、発電機などでも今後もニーズが高まることが予想される。「技術先進国である両国が連携し、より高効率なエンジンの基礎・応用研究を展開する必要がある。共同プロジェクトを通して、社会に貢献できる成果を出したい」と語っている。
環境技術の展示会で 研究ユニットを紹介
落合教授らの研究グループは、総合科学技術研 究所が昨年度から展開している研究ユニット「メソ領域における流れの可視化による新たな技術の創出」にも参画している。このユニットでは、東海大の持つさまざまな解析技術を融合させ、ナノメートルサイズから、数十センチをこえるマクロレベルまでの幅広い領域での液体や気体の流れの可視化を目指している。技術開発を担う工学部の5研究室のほか、政治経済学部や法学部の研究室、企業が連携。経営や知的財産活用の観点も踏まえ、総合的に研究を展開している。
11月19日には名古屋市で開催された「産×学連携〈クリーンテック〉技術展」に出展。同研究所の岩森暁所長らが、来場者にユニットの概要や個々の研究内容を紹介した。岩森所長は、「東海大の持つ独自技術を生かし、技術の社会実装を見据えた産学連携によるコンソーシアム型研究拠点の創出を目指しています。新たな共同研究のモデルをつくり、さらなる 学際型研究の生成と展開につなげたい」と話している。
(下写真)岩森所長(左)がユニットの活動を紹介
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