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研究

2021/08/01

コロナ禍の収束目指しマップで啓発

データの可視化で感染拡大を“自分事”に

医学部医学科基礎医学系分子生命科学の今西規教授の研究グループが開発し、6月1日から公開されている「リアルタイムな地域への感染症関連情報の提供サイト」。新型コロナウイルス感染症の新規感染者推移を、市区町村別で報じている。現在は東海大学の校舎がある神奈川県、東京都、静岡県、熊本県、北海道における感染者推移が、マップやグラフでわかりやすく紹介されている。

「都道府県単位の感染者数を報じるメディアが多いけれど、範囲が広すぎて視聴者は自分事として捉えにくいのではと常々感じていた」と今西教授。今年度の東海大学
連合後援会研究助成金に「地域へのリアルタイムな感染症関連情報の配信技術の開発」が採択されたことを受け、春から開発に取り組んできた。

サイトには、各都道県の市区町村別新規感染者数を示すコロプレスマップ(統計値により色を塗り分けた地図)が掲載されている。10人増えるごとに色が濃くなり、新規感染者数が多い地域が一目でわかるデザインだ。

日付を指定して過去の感染者数を振り返ることができるほか、人口10万人あたりの新規感染者数(7日間累積)を表すマップや、各地域の推移を比較できる折れ線グラフも掲載されている。

今西教授は、「『感染者が増えているから外出を控えよう』といったように、学生をはじめサイトを見た人が感染対策を意識するきっかけになれば」と期待を寄せる。研究実績を土台に学部をこえた連携で実現

研究グループには医学部奨励研究員の山田実俊さんと、統計データの可視化を専門とする理学部の山本義郎教授、大学院理学研究科の棚橋真弓さんが参画。情報理工学部の内田理教授も協力者として名を連ねる。

データの集計は棚橋さん、サイトへのアップは山田さんが担当する。棚橋さんは昨年から新型コロナ関連の情報を可視化する研究に取り組んでおり、独自にアプリを開発。医学部主催のセミナーにも定期的に参加し、専門的な知識を得てきた。 「ある地域で感染者が増えると隣接する市区町村にも広がるなど、感染推移の傾向が見えてきます。コロナ禍で行動するときの指針にしてもらいたい」と棚橋さん。山本教授は、「研究実績や学部をこえた教育・研究活動の土台があったからこそ実現したプロジェクト」と話す。

山田さんは理学部在学時に山本教授の研究室で学び、大学院総合理工学研究科に進んでからは、内田教授が中心となって開発したTwitterを用いた災害・地域情報共有システム「DITS」「DIMS」の制作に携わった。同システムは、災害時に位置情報とともに投稿された被災情報を集約し、地図上で確認できる。「Twitterはニュース性のある情報を集めやすい。まだ開発途中ですが、『コロナ』で検索をかけて集められる投稿をまとめ、感染防止のために有益な情報を発信していく」と語る。

今後は国内の感染状況に応じて、さまざまな情報を順次提供していく計画だ。今西教授は、「我々の願いは新型コロナの感染拡大が収束し、サイトを更新する必要がなくなること。一日でも早くその日を迎えられるよう、啓発し続けていく」と語っている。

 

(写真上から)
▼研究代表を務める今西教授(左)と、サイトの運営を担当する大学院生の棚橋さん(右上)、医学部奨励研究員の山田さん
▼東海大の校舎がある神奈川県、東京都、静岡県、熊本県、北海道の地域別新規感染者数推移を、市区町村別に色分けしたコロプレスマップ。
▼10人増えるごとに色が濃くなり、感染者が多い地域がわかる。データは折れ線グラフでも確認できる

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